弁護士小森榮の薬物問題ノート

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zoom RSS 医療用大麻について―その3

<<   作成日時 : 2017/01/20 13:10   >>

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中断していた医療用大麻の連載記事を再開します。
先行記事は
■第1回 医療用大麻について(2016/11/26)
 http://33765910.at.webry.info/201611/article_2.html
■第2回 医療用大麻について―その2 (2016/11/30)
 http://33765910.at.webry.info/201611/article_3.html

3 連邦法と州法の衝突
 1980年代から90年代にかけて、米国社会が薬物に対する不寛容さを強めていくなかで、医療用大麻の容認を求める声もしばらくは低調でしたが、やがて、カリフォルニア州でエイズ問題が顕在化し、また先進国共通の問題としてがん患者が増加し、エイズやがんの化学療法による吐き気や食欲不振といった症状に見舞われた患者たちが自己治療的に大麻を使うことが増え、医療用大麻を求める声が再び大きくなり始めました。
 医療用大麻州法の第二波は、1996年にカリフォルニア州が、住民投票を経て、医療用途での大麻使用を可能にする州法を成立させたときに始まり[@] 、今日に至っています。(同年、アリゾナ州でも医療用大麻州法が住民投票に付され、多数票を獲得しましたが、州議会によって同法の制定は拒否されました。)

 しかし、連邦法では依然として大麻はスケジュールT薬物であり、医療用の使用は認められていません。医療用大麻をめぐって、州と連邦との間の確執が、再び展開されることになりました。
前述したように、1970年代からの第一波では、医療用に大麻を処方する医師に対して、連邦麻薬取締局が麻薬処方資格を取り消すという動きに出ましたが、第二波として新たに制定された州法では、この点について解決が図られ、医師が患者に対して直接大麻を処方することを避ける形がとられるようになりました。つまり、患者を診察した医師は、その患者の症状に対して大麻が有効であると思われる場合には、医療用大麻の使用を推薦する書面を作成し、州の機関がこの推薦状に基づいて、医療用大麻使用患者を認定するという方式が採用されるようになりました。医師が専門的な知見に基づいて意見を述べることに関しては、連邦政府も麻薬取締局も、口をさしはさむことはできないわけです。

 ところが、第二波では、また新たな局面が浮かび上がり、州法において明確に規定されていなかった医療用大麻供給所に対して、連邦政府の摘発が続きました。
 医療用大麻を容認する州法の多くは、認定された患者と介護者が、患者の治療に使うために一定量の大麻草を栽培し、収穫した大麻を所持することを認めています。そして、登録された会員患者に大麻を提供するのが、州の免許を受けた医療用大麻供給所です。医療用大麻供給所は、個々の患者が自ら栽培する代わりに、協同組合によって大麻草の栽培や大麻の管理を行い、非営利で、会員に大麻を供給します。たとえばカリフォルニア州では、患者及び介護者が協同組合(cannabis cooperatives)を結成して、大麻を栽培することができるとしています。
 その一方、連邦が定める規制物質法は、大麻の栽培や分配、分配目的の所持は違法行為としています。1998年、連邦政府はカリフォルニア州で稼働していた協同組合に対して、連邦法に違反して大麻を栽培し、分配しているとして、その活動の仮差止請求を行い[A] 、その後は類似手法による摘発・取締まりが続きました。
 2009年10月、オバマ政権は、医療用大麻を容認する州法を整備した州では、医療用大麻の認定患者の摘発を見合わせるとしたガイドラインを発表し[B] 、ようやく連邦法と州法との間である意味での和解が成立しましたが、供給所をめぐる衝突は、まだ着地点が見えていません。

 2011年10月、米連邦がカリフォルニア州内の収益追求型の医療用大麻供給所に対して、重点的な取り締まりを行うと発表し、州内では、連邦司法省の要請に従って閉鎖する供給所が相次ぎ、また閉鎖要請に応じない供給所に対する強制捜査や関係者の逮捕も報じられました。
 たとえば、2013年1月、サンディエゴで2店の医療用大麻供給所を運営する男性に対して、サンディエゴ連邦地裁は、100か月(8年4か月)の拘禁刑と犯罪収益の没収を言い渡しました。被告人は、1000キログラムを超える大麻の供給、薬物関連施設の運営、マネーロンダリングなどで起訴されていました[C] 。判決メモによると、この被告人には、カナダ産の高品質大麻の密売にかかわった経歴があり、当時の主要な大麻の入手相手が2008年に逮捕された後、医療用大麻の取り扱いに転身したとされています。通信傍受などによって明らかになったのは、被告人が、非営利組織であるはずの医療用大麻供給所を利用して、大麻を大量に販売し、多額の収益を得ていた事実です。2か所の供給所は、1日平均5千ドルから7千ドル(約45万円から64万円)の大麻を販売していました。供給所の1店では1,732人の会員が登録されていましたが、その大半は18歳から22歳の若年者でした。
 しかし、カリフォルニア州で展開されている医療用大麻供給所に対する取り締まりで、連邦法違反に問われている被告人は、このケースだけに限りません。ニューヨークタイムズが2013年1月の記事で取り上げているのは、カリフォルニア東部で医療用大麻供給所を経営していた34歳の男性です[D]。彼は、2009年に供給所を設立し、75人の従業員を雇用し、会計士や弁護士を顧問にし、800万ドルの年商をあげていました。前科はなく、大学を出て様々な業種で働いた後、起業した男性です 。記事は、カリフォルニア州法にのっとってビジネスを展開し、連邦法によって起訴されたこの男性の上に、米国の大麻政策の大きな矛盾を描き出しています。

[参照と出典]
@ Proposition 215, or the Compassionate Use Act of 1996
A United States v. Oakland Cannabis Buyers’ Cooperative(May 14, 2001)
B MEMORANDUM FOR SELECTED UNITED STATES ATTORNEYS,October 19, 2009
C DEA>San Diego Man is Sentenced to 100 Months for Running Marijuana Dispensary and Money Laundering(January 24, 2013)
http://www.justice.gov/dea/divisions/sd/2013/sd012413.shtml
D NewYork Times, In California, It’s U.S. vs. State Over Marijuana(January 14, 2013)

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内 容 ニックネーム/日時
医療大麻に関して、
去年8月にDEAは大麻のダウンスケジュールを
エビデンス・安全性・乱用・条約を危惧して
拒否しています。

医療大麻を解禁している州は、
エビデンスが低くとも医療効果は多少期待でき、
オーバードーズでまず死ぬことはないことと。

人口1割以上の大麻乱用者を取締まると
別の弊害が出てくるからしたくないことと。

売人と接触し違法大麻を買われるよりも
薬局で買ってもらったほうがマシだから。
解禁したってところでしょうか。

実際は医療目的じゃなく『嗜好大麻の金儲け』
が横行しているみたいですね。

医療大麻解禁はエビデンスの確立が最重要ですが
麻薬に関する単一条約で大麻を付表IVから
外さない限り
州政府と連邦政府との対立は続くでしょう。
猫次
2017/01/21 02:18

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