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弁護士小森榮の薬物問題ノート

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弁護士小森榮の薬物問題ノート
ブログ紹介
地方裁判所で取り扱う刑事事件の約15%を占めているのが、覚せい剤事件です。実際の事件の多くは、若者が安易な考えで薬物を乱用したというもので、本来は犯罪と無縁なはずの彼らが、犯罪者として処罰されてしまうことが、私には残念でなりません。
私が弁護士として、薬物事件に取り組むなかで直面する、薬物乱用にまつわる諸問題の断片をつづってみます。
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薬物をもっと知らなくては|英国の親向け資料3

2009/07/05 20:56
ロンドン市が10代の子どもを持つ親のために用意したリーフレット「子どもの方が親より詳しい?Do Your Children Know More Than You?」は、薬物について、親がきちんとした情報を提供することが重要だと説いています。多様な薬物ごとに、コンパクトにまとめられた説明から、要点を読んでみましょう。
ロンドン市のサイト内 親のためのリーフレット
http://www.cityoflondon.gov.uk/NR/rdonlyres/D2F202CB-AB32-4A4B-A1DB-C1253F1B6D64/0/SS_ParentsLeafletDoyourchildrenknowmoreaboutdrugsthanyou.pdf

●大麻
《作用》
・ ユーザーはリラックスしておしゃべりになる。
・ 大麻を調理して食べると作用はより強くなり、コントロールしにくくなる。
・ 食べ物がやたらにほしくなることがある(よく「マンチー」と呼ばれる)。
《健康上のリスク》
・ 大麻の喫煙にはタバコと同様の危険性がある。
・ 精神疾患に関係がある。
・ 学習や集中といった能力を損なう。
・ 使用後は疲れて元気が出ないことがある。
・ ユーザーは無気力になり、感情の動きがなくなることもある。
・ 雰囲気や状況によってはパラノイアや強い不安に襲われることもある。

●コカイン、クラック
《作用》
・ 気分が良くなり、自信を感じる。警戒感が強くなる。
・ コカインの作用は少なくとも30分ほど持続する。
・ 使用後にさらにコカインがほしくなることがよくある。
・ クラックにはコカインと同じ作用があるが、作用はより強く、ハイになっている時間は5〜10分と短い。
《健康上のリスク》
・ コカインとクラックは依存性が高い
・ 使用後1、2日は倦怠感や抑うつを感じ、場合によってはこの状態が長引く。
・ 胸の痛みや心臓のトラブルを引き起こし、致命的なものになることもある。
・ 大量使用によってけいれんを起こすことがある。
・ クラックとコカインは同じ危険性をもたらすが、作用感をより強く感じるので、クラックはコントロールがとくに難しい。
・ 注射器を共有すると、ユーザーはB型、C型肝炎やHIV/AIDSに感染する危険にさらされる。

●エクスタシー(MDMA)
《作用》
・ ユーザーは感覚が敏感になり、周囲と調和しているように感じる。
・ 音や色彩を強く感じ、感情の動きが強くなる。
・ 使用者は長時間踊り続けることができる。
・ 作用は3〜4時間持続する。
・ 不安感に襲われることがある。
《健康上のリスク》
・ 使用後は1日程度倦怠や抑うつを感じることがある。
・ 休憩やじゅうぶんな水分補給をせずに激しいダンスを続けると、体温上昇や脱水状態の危険がある(ユーザーは、アルコールを含まないジュースやスポーツ飲料、水などを1時間当たり500ミリリットル程度、少しずつとるとよい。)。
・ エクスタシーの使用は肝臓や腎臓のトラブルに関係がある。
・ エクスタシーの使用が、脳の損傷を引き起こし、後年になってうつ病をもたらすと心配する専門家もある。
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ポルトガルの体験|世界薬物報告書2009年版2

2009/07/04 15:55
6月下旬に発表された『世界薬物報告書2009年版』を読みながら、薬物問題への取り組みについて考えてみたいと思います。
2009年版の特集は「予期せぬ結末との直面:薬物コントロールとブラックマーケット」というもので、薬物関連犯罪の問題を問いかけるものです。薬物コントロールとは何かという、本質的な問題への考察を含んでいるので、少しずつ、丁寧に読みながら、考えていきたいと思います。

当ブログで、この報告書に触れたとたん、ポルトガルでの「非犯罪化」事例に関するコメントが寄せられたので、まず最初に、ポルトガルのケースから検討してみましょう。
United Nations Office on Drugs and Crime, Confronting Unintended Consequences:Drug Control and the Criminal Black Market, World Drug Report 2009,p.168
http://www.unodc.org/unodc/en/frontpage/2009/June/world-drug-report-2009-released.html

ポルトガルでは、薬物使用を「非犯罪化」して8年になります。ちょうど、BBCニュースもこの問題を取り上げていたので、そのビデオを紹介します。ビデオの貼り付けががうまく作動しないようなので、下のリンクでみてください。
BBC NEWS Portugal drug experiment pays off
http://news.bbc.co.uk/2/hi/europe/8130163.stm

さて、『世界薬物報告書2009年版』168ページから引用します。
「ポルトガルは、近年、薬物使用者を拘束しないと決定した国のひとつである。国際麻薬統制委員会によれば、ポルトガルによる2001年の薬物使用の「非犯罪化」は、国際条約の規定範囲内にあるものである。薬物の所持は依然として禁止されているが、制裁は、刑事法ではなく行政法規の下で行われる。個人的使用の目的での少量の薬物所持は、逮捕の対象ではなく、出頭命令が下される。薬物は没収され、被疑者は委員会に出頭しなければならない。被疑者の薬物使用形態が審理され、罰金(わが国の過料にあたるものでしょうか)が科されるか、治療に回されるか、プロベーション(保護観察)の対象とされることとなるだろう。薬物取引の事案は、従前と同じように起訴されるが、ポルトガルで摘発された薬物取引事犯の件数は、ヨーロッパの平均値に近いものである。こうした状態は、完全な薬物禁止制度の下で薬物を避けてきた人たちを引き続き薬物から遠ざけるいっぽうで、薬物使用者に対しては拘禁刑ではなく治療を奨励している。警察からの出頭命令を歓迎しない人のなかには観光客もおり、結果的に、ポルトガルの政策はドラッグ・ツアーの増加を招かなかったと報告されている。また、薬物関連の問題の多くは減少したようである。」

しかし、「非犯罪化」によって、望ましい結果だけがもたらされたわけではありません。もう少し引用を続けます。
「この取り組みは議論を呼んでいる。ポルトガルは、この政策を導入後、薬物使用の増加をみたが、しかし、同時期にヨーロッパの多くの国では同様の増加があった。大麻の使用はやや増加したにとどまったが、コカインおよびアンフェタミンの使用率は、低水準から顕著に倍増した。さらに、2001年から2006年の間に、コカインの押収が7倍に増加したことは驚異的である。同時期にヨーロッパの数カ国でコカインの押収が急増したが、2006年にはポルトガルはいきなり世界第6位のコカイン押収となった。同期間には、殺人の発生数が40%増加したが、薬物取引に関係するものである可能性がある。発生率自体は低水準であり、リスボンはヨーロッパでも安全な都市のひとつではあるが、この期間では、ポルトガルはヨーロッパで唯一、殺人の顕著な増加を示している国である。」

末端の薬物使用者に対して、刑事罰を科すことを見合わせ、別な方法で問題解決を図る。ここでいう「非犯罪化」とは、こうした政策のことです。決して薬物使用を解禁するものではなく、また、薬物取引を認めるものでもありません。刑事罰を受ける心配がなくなったことで、薬物使用者が、安心して治療機関にやってくるようになったというプラスの面もありますが、反面、薬物使用が一時的には増加し(その後は減少しているが)、薬物マーケットが活発化してしまうという影響が出ているのも現実です。
この点について、次回でもう少し掘り下げてみたいと思います。
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薬物をもっと知らなくては|英国の親向け資料2

2009/07/03 23:11
乱用される薬物が多様化しています。
前々回で紹介した、ロンドン市が10代の子どもを持つ親のために用意したリーフレット「子どもの方が親より詳しい?Do Your Children Know More Than You?」は、薬物について、親がきちんとした情報を提供することが重要だと説いています。アルコールやタバコも含めた多様な薬物ごとに、コンパクトにまとめられた説明から、要点を読んでみましょう。
ロンドン市のサイト内 親のためのリーフレット
http://www.cityoflondon.gov.uk/NR/rdonlyres/D2F202CB-AB32-4A4B-A1DB-C1253F1B6D64/0/SS_ParentsLeafletDoyourchildrenknowmoreaboutdrugsthanyou.pdf

●アルコール
《作用》
・急性の作用は、飲酒量、年齢、性別、心理構造、精神状態や他の要因によって異なる。
・短期的には、ユーザーは抑制レベルが低下してリラックスし、また、反応時間および意思決定は影響を受ける。
・大量飲酒により感情は気分は浮き沈みし、協調運動が失われ、ブラックアウトや意識を喪失することもある。
・吐き気や気分の悪さが起こりうる。
・飲酒は社会的に容認される楽しみではあるが、飲酒によって人間関係や健康を損なうこともある。
・アルコールは鎮静剤である。
《健康上のリスク》
・依存
・肝臓の損傷
・アルコール中毒性せん妄(訳者註:
・無意識状態で嘔吐することによる窒息の危険。
・他の薬物と併用した場合には、過量摂取は特に危険で、死につながることもある。
・胃の異常。

●タバコ
《作用》
・ニコチンは心拍を早め、血圧を高くする。
・始めて喫煙すると、めまいを感じることがある。
・習慣的な喫煙者は、タバコでリラックスし、空腹を感じなくなるという。
《健康上のリスク》
・タバコは非常に習慣性が強い。
・喫煙者はセキをし、胸の病気にかかりやすい。
・長期的な使用は、がんや心臓病につながりやすい。
・英国(UK)では、タバコに関係して年間2000例の手足の切断手術がある。
・英国(UK)では、喫煙が、年間12万人の若死の原因になっていると推定されている。
・タバコを甘く見ていると、結局、健康を損なうことになる。

●アンフェタミン類(覚せい剤)
《作用》
・興奮―ユーザーは自信とエネルギーに満ち溢れているように感じる。
・緊張や不安を感じることもある。
《健康上のリスク》
・使用後は疲れと抑うつ感が1、2日にわたって続き、時にはさらに長引くこともある。
・数日間、繰り返して大量使用すると、パニックや幻覚を起こすことがある。
・長期間使用すると、心臓に負担をかける。
・長期大量使用は、精神疾患につながることがある。
・注射器の使いまわしにはB型、C型肝炎やHIV/エイズに感染する危険がある。
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処方薬問題に米国中が注目|Mジャクソンと鎮痛薬の続報4

2009/07/02 17:45
マイケル ジャクソンのニュースに関連して、アメリカのメディアはいっせいに処方薬乱用の問題を取り上げ始めました。そのひとつ、7月1日放送のCBSニュースは、アメリカでは5000万人近くが処方薬乱用を認めていることから、39の州では処方薬監視プログラム導入を検討していると伝えました。
番組は、処方薬依存から脱出しようとしている女性を取り上げています。彼女は落馬事故の際に処方された鎮痛薬から、依存に陥り、1日当たり30錠の鎮痛薬を使う状態になり、さまざまな方法で処方箋を手にいれ、さらに不法販売されているオキシコンティンやヴィコドンなどの鎮痛薬を1錠20ドルで買ったこともあります。
全米の警察はいま、処方薬の不法販売の取り締まりに乗り出しています。ニュースは、ニューオリンズでのドクターショッピング摘発の様子を伝えています。フロリダ州では、ペインクリニックの増加に加え、処方薬監視プログラムの未整備のせいで、処方薬の追跡調査が困難だといいます。
アメリカでは、毎年700万人近くが処方薬を乱用しているといわれます。乱用者の数からいえば、コカインやヘロインより多いわけです。フロリダ州麻薬対策局の責任者は、「処方薬には、不法薬物ほど有害ではないというイメージがある」といいます。そして、この現象を「伝染病」だと警告しています。
CBSNEWS Rx Abuse And Prevention July 1, 2009 4:26 PM
http://www.cbsnews.com/video/watch/?id=5128661n&tag=mg;eveningnews

上記のCBSニュースはうまく貼り付けられなかったので、
処方薬に関連したCNNビデオを貼り付けておきます。
こちらは、アメリカ人の5人に1人が、強い鎮痛作用のある処方薬を、医療目的以外で使用していると警告する内容です。処方薬の過量摂取で28歳の娘を失った母親が、マイケルの場合と同じだと、悲劇を語ります。


CNN Prescription drug abuse
http://edition.cnn.com/video/#/video/bestoftv/2009/07/01/ldt.prescription.abuse.cnn?iref=videosearch
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子どもはなぜドラッグに手を出すの?|英国の親向け資料

2009/07/01 23:12
「コカインと大麻の区別もつかないで、親が子どもを薬物から守ることができますか?」こんな問いを突きつける、親のための薬物乱用防止リーフレット。英国の例から紹介します。
ここ数年、世界の主要国では、青少年の薬物使用動向は減少傾向を示しているものの、相変わらず、成長期の子どもたちにとって大きな脅威であることに変わりはありません。とくに、出回る薬物の種類が多様化している現状は、親たちをいっそう混乱させています。親の世代が経験しなかった多様なドラッグが、子どもの生活圏にあふれているのです。
だったら、親がきちんと薬物について知るしかないでしょう。そう提案するのは、ロンドン市が10代の子どもを持つ親のために用意したリーフレット「子どもの方が親より詳しい?Do Your Children Know More Than You?」です。
ロンドン市のサイト内 親のためのリーフレット
http://www.cityoflondon.gov.uk/NR/rdonlyres/D2F202CB-AB32-4A4B-A1DB-C1253F1B6D64/0/SS_ParentsLeafletDoyourchildrenknowmoreaboutdrugsthanyou.pdf

英国内務省のサイト内 親のためのリーフレット
http://www.homeoffice.gov.uk/materials/Parents_Leaflet.pdf
画像

●子どもは、なぜ薬物に手をだすの?
10代の子どものほとんどは薬物を使っていないし、仮に手を出してもたいていはすぐにやめています。薬物を使い続けて問題を起こすのは、ほんの一握りです。不法な薬物に手を出しても、普通は、健康上の影響を受けていません。青少年にとっては、薬物に関するトラブルより、アルコールの飲みすぎによるもののほうが多いのが実態です。
10代の子どもが薬物を使う理由はさまざまです。
・ 友達の影響
・ 心地よさが気に入って
・ 単純な好奇心から
●薬物にはどんな危険性があるの?
薬物使用にはリスクが伴うのは間違いありませんが、青少年のほとんどは、薬物を使っても、健康に目立った影響を受けることなくすごしているのが事実です。危険性だけを強調しすぎるのは、逆効果かもしれません。
薬物については、とにかく情報が大切です。信頼できる情報源から入手した事実に基づいて、薬物乱用の影響と危険性を子どもに伝えること。大切なのは、ヘロインも大麻も同じというふうに薬物一般ではなく、薬物の種類ごとに危険性を考えること。親が、薬物の危険性に関して、実際的な見方をしているとわかれば、子どもは親の言うことをきちんと聞くようになります。
●乱用される薬物の種類は
アルコール /タバコ /アンフェタミン類(覚せい剤)/大麻 /コカイン、クラック /ガス、有機溶剤 /ヘロイン /LSD、マジックマッシュルーム、幻覚剤 /ケタミン /OTC薬
(以上、上記のリーフレットから抜粋しました。)

青少年の薬物乱用の実態が、急速に変化しているのは、英国も日本も同じです。実際、このリーフレットが取り上げる多様な薬物の中には、私にとっても、あまりなじみのない物質も含まれています。
でも、このリーフレットが言っているのは、私がこの数年来、クチを酸っぱくして説いていることと同じなのです。青少年は、トレンドに敏感だけれど、彼らの仕入れている情報は一面的なもの。大人が信頼しうる情報を提供すれば、しっかりと聞いてくれます。でも、「薬物はすべて」というとらえ方や、特殊なケースで起きた被害をことさら強調したり、大げさな害で脅すような言い方には、彼らは耳を貸してくれません。
青少年に薬物を使ってほしくない、そう考えるなら、大人はもっと勉強しなければなりません。どんどん変化していく乱用実態に追いつくのは、たいそう骨も折れますが・・・。

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ブロンからリタリンまで|日本での処方薬・市販薬乱用問題

2009/06/30 23:48
●4人に1人は医薬品から
覚せい剤や麻薬などの使用によって引き起こされる精神疾患で治療を受けている人たちがいます。全国の精神科病院を通じてその実態を調べた調査によると、患者の4人に1人は、主たる使用薬物が医薬品という結果がでています(尾崎茂ほか「全国の精神科医療施設における薬物関連精神疾患の実態調査・平成18年度厚生労働科学研究」2006)。
使用していた医薬品は、睡眠薬、抗不安薬、鎮痛薬、鎮咳薬、リタリンなど、なかでも目に付くのが、ブロンなどの鎮咳薬(せき止め)とリタリンです。

●市販薬・処方薬の乱用問題
〔睡眠薬遊び・1960年代〕
睡眠薬をもてあそぶ少年たちが、警察の補導線上に現われたのは昭和35年頃で、東京都内の盛り場で補導された一部の青少年の間に、睡眼薬を服用して不純異性交遊にふける者などがみられた。その後、睡眠薬を飲みすぎて自殺騒ぎを起した少女をめぐって、睡眠薬を常用する不良グループが明るみに出たり、睡眠薬を服用した少年の強盗傷人事件や窃盗、脅迫、暴行などの非行があいついで起って、睡眠薬遊びが大きな社会問題化した。警察庁で、昭和37年1月から5月までの間に、全国から報告を求めた睡眠薬服用少年の補導数は1,665人で、そのうち警視庁管下のものは58%におよんでいるところから、東京都に集中していたことがわかる( 昭和39年版犯罪白書 第四編/第一章/二/5より抜粋)。
〔ブロン乱用問題・1980年代〕
1980年代、市販鎮咳薬ブロンの乱用が社会問題化。当時販売されていた鎮咳シロップには、ジヒドロコデイン、メチルエフェドリンなどの成分が含まれており、乱用者は効果を求めて何本もガブ飲みし、鎮咳薬を入手するための窃盗や、家族に対する暴力事件などが続きました。
その後、製薬会社は、メチルエフェドリンを処方から除き、また販売時には本数を制限するなどの対策が講じられましたが、しかし、これら成分を含む市販薬は他にも多数あります。かつてのブロン乱用者が、その後も類似成分を含む市販薬の乱用を繰り返している例があるそうです。
〔リタリン乱用問題・2000年代〕
リタリンは、中枢神経興奮作用を有するメチルフェニデート製剤で、わが国では1958 年に発売され、主にうつ病の治療薬として頻繁に処方されてきました。しかし、リタリンは依存性が高いため、大量の薬剤を連日使用する乱用者が現れ始めました。また、覚せい剤に類似した作用があるため、多幸感を得るためにリタリンを大量使用する乱用者が後を絶たず、複数の医療機関から大量の薬剤を入手してインターネットなどで不正売買するケースや、処方箋の偽造、また患者の求めに応じて安易に処方する医師の存在が明るみに出るなど、多くの問題を生み出しました。さらに、2006年にはリタリンに幻覚・妄想状態の下で残虐な殺人事件も起きてしまいました。
こうした状況のなかで、製薬会社は2007年、リタリンの効能から「うつ病、うつ状態」を削除し、また適正な処方が行われるよう管理体制を強化しました。この変更によってリタリン乱用問題は解決に向かい始めましたが、その後も外国からの不正輸入品を密売したケースが摘発されるなど、不正流通がみられます。また、入手できなくなったリタリンから、覚せい剤に乗り換えた、という話を聞くこともあります。

●医薬品と麻薬
覚せい剤や麻薬などは危険な「悪いクスリ」、これに対して市販薬や処方薬は安全な「良いクスリ」。子どもたちに、こんな風に教えることだけは、とにかくやめましょう。麻薬と医薬品とは、基本的に良く似たものなのです。今日、麻薬として厳しく禁じられているなかには、もともと、よく効く万能薬や、期待の新薬として、医療に使われてきたものがたくさんあります。
市販薬や処方薬にも、覚せい剤や麻薬に似た性質を持つものがあります。不注意に扱ったり、適正量を超えて大量に飲んだりして、中毒事故を起こしたり、薬物依存に陥ったりした例が、こんなにあるのです。
市販薬や処方薬の使い方を誤って、薬物依存や副作用で苦しんでいる人、精神疾患を背負ってしまった人たちは、本人も、家族も、長い苦しみと戦っています。そして、苦痛のなかで、自殺や過量摂取による事故、万引きや暴力事件さえ起きることがあるのです。Mジャクソンの死に、医薬品が関係しているのではないかと囁かれている今、医薬品との付き合い方について、もう一度、見直してみたいものです。
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10代の5人に1人が処方薬乱用|Mジャクソンと鎮痛薬の続報3

2009/06/29 23:26
マイケル・ジャクソンの訃報に接したこの機会に、処方薬乱用について子供と話し合いを!アメリカの薬物乱用防止サイトThe Partnership for a Drug-Free Americaに、こんな呼びかけが掲載されました。
アメリカでは、いま、ティーンエイジャーの5人に1人が鎮痛薬を乱用していて、乱用者の数ではエクスタシーやコカインをしのいでいるという調査結果も発表されています。Mジャクソンと鎮痛薬の関係が取りざたされているなかで、10代の鎮痛薬乱用の問題が注目されているのです。
http://www.drugfree.org/Portal/About/NewsReleases/abuse_of_prescription_drugs

子どもたちの処方薬乱用は、家族や友だちから薬を手に入れることが最初のきっかけになるといいます。子どもを鎮痛薬乱用から守るポイントは、家族が医薬品をきちんと管理すること。同サイトが提唱するのは、モニター、保安、廃棄の3ステップです。
■ステップ1 モニター
家族が服用している処方薬をすべて、錠剤の数を数えてきちんと記録すること。また処方箋や購入記録もきちんと保管すること。子どもが持ち出しても気づかないような管理をしていれば、おとなが子どもたちの処方薬乱用を助長していることになります。
■ステップ2 保安
処方薬は現金や宝飾品と同じように、鍵のかかる場所に保管すること。また、祖父母や友人など周りの人にも、同じ感覚をもってもらうことも大切だといいます。調査では、処方薬を乱用する子どもの半数以上が、親戚や友人の家からこっそり持ち出したことがあると回答しています。
■ステップ3 廃棄
家中の使わない薬品を集めて、子どもがいない時間に廃棄すること。実は、子どもたちは、捨てられた医薬品をゴミのなかから拾い出すこともあるので、安全に廃棄するには、それなりの配慮が必要です。コーヒーかすなどと一緒に別な容器にいれて、捨てること。また、処方薬の包装には、患者の氏名や薬品名などの個人情報も入っているので、これを消すこともお忘れなく。
http://www.drugfree.org/NotInMyHouse/steps.aspx

これはアメリカの話です。日本では、子どもたちに深刻な処方薬乱用が広まっているという情報は、いまのところないようです。でも、少しニュアンスは違いますが、日本でも深刻な処方薬乱用はあるのです。
次回は、日本の話題です。
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オピオイド系鎮痛薬と乱用|Mジャクソンと鎮痛薬の続報2

2009/06/28 22:20
今日の内容は、牧野由紀子氏と小森榮による共同執筆です。牧野由紀子氏は、元厚生労働省麻薬取締部主任鑑定官。薬物分析の専門家です。

薬物使用によって、ドパミン神経系やセロトニン神経系が活性化される・・・、これが薬物乱用によってもたらされる多幸感の正体です。こうした刺激を反復するうちに、脳内に報酬回路という特有の回路が生まれ、これが、繰り返して薬物を摂取したいという願望を生み出し、薬物依存を形成していくのです。活性が高く、脳にすばやく到達する薬物ほど、依存性が高いといわれます。

あへんには優れた鎮痛作用があり、昔は万能薬として用いられたこともありますが、乱用するときわめて強い依存性が生じ、麻薬として乱用が広まったことから、現在では、その供給や利用は厳格に管理されています。
あへんの作用を生み出しているのは、生あへん中に含まれているモルヒネ等のアヘンアルカロイドで、生あへんから取り出した純粋なモルヒネは、鎮痛薬として利用されています。しかし、モルヒネには、きわめて強い依存性があり、薬物依存につながりやすい危険性があり、またさまざまな副作用もあるため、医薬品として使用するにあたって、慎重な処方や経過観察が必要です。
いっぽう、モルヒネと同様に、生あへんから取り出される多様なあへんアルカロイドも、貴重な医薬品材料として活用されています。とくに、依存性や副作用がモルヒネと比較して弱く、鎮咳や鎮痛作用に優れた、コデイン、ジヒドロコデイン、オキシコドンなどを主成分とした医薬品は、広く使用されています。また、あへんから取り出される成分に類似した働きをする合成麻薬も、使用されています。ただし、モルヒネと比べて弱いとはいえ、多量に使用したり、連続使用すれば、モルヒネと同じような弊害をもたらす危険性があることは当然です。
いまアメリカで問題になっている処方薬乱用とは、本来、疾病による痛みを抑えるために処方され、医師の監督の下で注意深く使用されるべき鎮痛薬を、処方された患者以外の人が、多幸感を得るなどの目的で(つまり麻薬の代用品として)乱用しているという現象で、もっとも乱用が広まっているのがオピオイド系鎮痛薬なのです。

オピオイド系鎮痛薬乱用の問題は、まず、重症の薬物依存を生み出してしまうということ。オピオイド系の麻薬には、基本的に身体依存性という性質があり、依存者が急に使用を中断すると、極端な神経失調状態をきたし、死に至る危険もあります。乱用の危険に気づいてやめようとしても、その辛さに、また乱用を再開してしまうという状態に陥ってしまうのです。
第二に、過剰摂取の危険。オピオイド系の麻薬は、使用を続けると短期間に耐性が形成されます。耐性とは、同じ効果を得るために、以前より多量の薬物を必要とする状態のことで、乱用者は、効果を求めてどんどん使用量を増やしてしまい、過剰摂取してしまうのです。アメリカでオピオイド系鎮痛薬の乱用が警告されているのは、こうした過剰摂取による死亡事故が続き、2005年には8500人以上が亡くなるという事態が起きているからです。
第三に、こうした薬物を使用することで起きる、麻薬類似の精神作用による多様なトラブルや、処方薬の不正流通に関わる犯罪など。多くの麻薬と共通した問題が起きています。

さて、Mジャクソンの死亡に関して、デメロールという鎮痛薬の名があげられているので、これについて。デメロールというのは、ペチジン(メペリジンともいう)を含む鎮痛剤の商品名です。ペチジンは、1937年に発見された合成薬で、モルヒネと同様の作用を示しますが、鎮痛作用はモルヒネより弱く中等度の疼痛に使用されます。

日本では武田薬品や田辺三菱が医療用医薬品として販売していおり、その利用目的は
1.激しい疼痛時における鎮痛・鎮静・鎮痙、2.麻酔前投薬、3.麻酔補助等です。
注意すべき重大な副作用としては、
1).連用により薬物依存を生じることがあるので、観察を十分に行い、慎重に投与する。また、連用中における投与量の急激な減少ないし投与の中止により、あくび、くしゃみ、流涙、発汗、悪心、嘔吐、下痢、腹痛、散瞳、頭痛、不眠、不安、譫妄、振戦、全身筋肉痛・全身関節痛、呼吸促迫等の退薬症候が現れることがある。
2).呼吸抑制が現れることがあるので、息切れ、呼吸緩慢、不規則呼吸、呼吸異常等が現れた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行う、と添付文書に記載があります。
更に、過量投与により、1.徴候・症状:過量投与により、呼吸抑制、意識不明、痙攣、錯乱、血圧低下、重篤な脱力感、重篤な眩暈、嗜眠、心拍数減少、神経過敏、不安、縮瞳、皮膚冷感等を起こすことがあると記載されています。
このように、添付文書にも副作用等の注意事項が多く記載されており、慎重な投与や管理が要求されている医薬品です。
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マイケル・ジャクソンと鎮痛剤|続報

2009/06/28 12:42
AFP通信のBBニュースが、マイケル・ジャクソン死亡に関連した記事を掲載しました。
●米麻薬取締局、処方薬誤用への注意呼び掛け M・ジャクソンさん死去を機に
http://www.afpbb.com/article/life-culture/health/2615600/4309486

上記の記事を読んで、さっそくDEAのサイトを開いてみました。
いま、米国で警戒が高まっている処方薬乱用について、深刻な実態を伝える記事が掲載されていますので、簡単に紹介します。

処方薬の乱用/ 現在利用可能な最新データによれば、2005年には、処方薬の鎮痛剤に関連した過剰摂取によって全国で8500人以上が死亡しており、2001年対比で114%と増加した。2004年から2006年の間に、鎮痛剤の非医療的使用による救急搬送は39%の増加。
処方薬の不正流通/ 不正流通する処方薬のなかで、オピオイド系鎮痛剤はもっともよくみられる。不正流通の手段は、処方箋薬剤の横流し、窃盗、インターネット上の悪質な薬品販売サイト、友人や知人からの入手といった初歩的なもの。
DEA Recent Report Confirms Dangers of Prescription Drug Abuse; Young Adults Hardest Hit
http://www.usdoj.gov/dea/index.htm

オピオイド系の鎮痛剤乱用について、順次、さらに続報を掲載します。
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マイケル・ジャクソンと鎮痛剤|世界薬物報告書2009年版

2009/06/27 22:57
週末に発表されたばかりの、『世界薬物報告書2009年版』を読んでいるところへ、テレビニュースの音声が聞こえてきました。マイケル・ジャクソンの死因に鎮痛剤使用が関係しているようだとのこと。
●ジャクソンさんの死因解明、毒物検査も実施 鎮痛剤利用とも
米ロサンゼルス郡検視局は26日、前日に急死した人気歌手マイケル・ジャクソンさんの解剖を実施した。同局のクレーグ・ハーベイ報道担当は、今後4─6週間で毒物検査などをさらに行い、詳しい死因を特定すると述べた。
同報道担当は、ジャクソンさんは何種類かの処方薬を使用していたことは事実であるとも述べた。薬の種類には触れなかった。
ただ、外傷や事件性を示す証拠はなかったとしている。
ジャクソンさんと親しかったブライアン・オックスマン弁護士は、ジャクソンさんが鎮痛剤などを大量に使用していたとし、これを中止させるため家族に注意を促していたとの事実を明らかにした。同弁護士は、少年性的虐待疑惑の公判でジャクソンさんの弁護人を務めていた。
CNNロサンゼルス http://www.cnn.co.jp/showbiz/CNN200906270002.html

おや、そのテーマについて、この報告書で、つい先ほど読んだばかりです。
というわけで、国連薬物犯罪事務所編『世界薬物報告書2009年版 WORLD DRUG REPORT 2009』の紹介は、まず、処方薬乱用問題から。

青少年の薬物使用に関して、「米国とヨーロッパの数カ国では、青少年の不法薬物の使用が総合的に減少しているという兆候がみられる。しかしながら、特に米国において、青少年の処方薬乱用が増加しているという報告が多数ある。更なる調査を要する点ではあるが、これらの報告は、青少年が不法薬物から、より入手しやすく社会的にも容認されやすい調剤薬物へシフトしている可能性を示唆している(23ページ)。」

「南北アメリカ大陸地域では、オピオイド(あへんアルカロイド系薬物)使用が最も多いのは米国で、2007年には520万人が鎮痛剤を医療用以外で使用したと報告されている(このレベルは2002年以来固定している)。これは、米国中で行われている、オピオイド調剤(とくにオキシコドン)の不適切な処方と使用の問題をきわめてよく反映したものである。治療受け入れおよび中毒死の症例は増加している(56ページ)。」
画像

●グラフは、中毒死症例に占める処方薬中毒の割合(上記報告書56ページより)
クリックで、グラフが拡大します。

国連薬物犯罪事務所編『世界薬物報告書2009年版 WORLD DRUG REPORT 2009』
http://www.unodc.org/unodc/en/frontpage/2009/June/world-drug-report-2009-released.html

上記で指摘されているように、アメリカでは数年来、青少年の処方薬、とくに鎮痛剤乱用が問題になっています。グラフでも示されているように、鎮痛剤使用による中毒死が増えていることから、あへんアルカロイド系の成分を含む薬剤がもっとも危険性が高いといわれています。なかでも非難されているのが、オキシコドンを含む鎮痛剤。オキシコドンとは、あへんから単離されるアルカロイドのひとつで、モルヒネに近い性質をもっています。

米国の薬物乱用問題研究機関NIDAの2008年の報告書は、薬物乱用の全国的な傾向のひとつに、処方薬の乱用をとりあげています。「懸念されることのひとつに、18歳から25歳の年齢層で、調査前1ヶ月以内に使用した薬物として処方薬が増加し、2002年には5.4%であったものが2006年には6.4%になったことがあげられる。この増加は、主に、OxyContinやVicodinなどの鎮痛剤使用によるものであり、12歳以上の人口においては、処方薬の鎮痛剤の非医療的使用に新たに参入する人口は、マリファナのそれとぼぼ同じとなっている。」
NIDA InfoFacts: Nationwide Trends
http://www.drugabuse.gov/pdf/infofacts/NationTrends08.pdf

さて、マイケル・ジャクソンのニュースと関連して、しばらくはこの話題が続くことになりそうです。この際、処方薬の問題についても、ちょっと気合をいれて勉強しておくこととしましょうか。
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それでも簡易尿検査で逮捕しますか|覚せい剤で誤認逮捕

2009/06/27 00:22
●正式鑑定で陰性、釈放=覚せい剤使用で逮捕の男性−山口県警
山口県警は25日、覚せい剤取締法違反(使用)容疑で逮捕した無職男性(32)の尿を科学捜査研究所で正式鑑定した結果、覚せい剤成分が検出されず陰性となったため、同日釈放したと発表した。
組織犯罪対策課や周南署によると、男性は24日午後、「車で交通事故を起こしたかもしれない」と電話し同署を訪れた。しかし、車に事故の形跡がなく、つじつまの合わないことを話すなど言動に不審な点があったことから、同署が尿中の覚せい剤成分を調べる簡易検査を実施。陽性となり、緊急逮捕した。
男性は調べに「最近、風邪薬を飲んだ。覚せい剤は打っていない」と否認していたという。
同課は「簡易検査に加え、言動が不審だったことなどを考慮して緊急逮捕した。類似の薬を服用するなどして陽性反応を示した可能性や、簡易検査キットに不備があった可能性もある」と説明。「簡易検査のみに頼らず、慎重に判断していきたい」としている。 
6月25日21時43分配信 時事通信
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090625-00000228-jij-soci

覚せい剤使用が疑われるケースで、近年、警察の捜査現場では、簡易検査キットが使われるようになってきています。これまでは、押収した尿を科学捜査研究所で鑑定して、その結果を待って逮捕していたのですが、採尿した直後に簡易検査キットを用いて簡易検査を行い、その結果によって緊急逮捕の手続きをとる方法を採用する例が増えているのです。警視庁(東京都)では、2006年ころから導入され始めました。
しかし、簡易検査キットでの検査は、決して万全ではありません。これは、あくまでも予備的な判断をするための簡易検査で、市販のキットには必ず、誤判定の危険性があるという注意書きが入っています。簡易検査の結果は裁判の証拠としても認められないもので、簡易検査をした後、科学捜査研究所で正式な鑑定を行います。
簡易検査には、誤判定はつきものです。誤判定の確率はそれほど高いものではありませんが、ゼロではないのです。その結果だけに頼って、身体を拘束することがほんとうに必要なのでしょうか。
尿を押収したその場で、急いで逮捕しなければならない、警察のこうした基本姿勢が、誤認逮捕を生み出してしまうのです。薬物事件の被疑者のほとんどは、言動がどこかおかしいものの、その場で拘束しなければ他人に危害を加えるわけでもなく、行方をくらましてしまうわけでもありません。実は、今日も見知らぬ若者から電話で、警察に尿を提出したが、逮捕されるかどうか不安だ、という相談を受けました。不安を抱えながらも、結果が出る日を待ちわびている人がほとんどです。

尿中覚せい剤を簡易検査キットで検査して、その結果、誤認逮捕。実はこれが最初の例ではありません。2007年には、捜査官の不慣れによる誤認逮捕例もありました。
●覚せい剤検査でミスし誤認逮捕(2007年10月30日 福岡県警)
福岡県警朝倉署は、覚せい剤使用を調べる簡易鑑定の結果を「陽性」と見誤り、無職男性を覚せい剤取締法違反容疑(使用)で誤認逮捕し、釈放したと発表した。
同容疑で男性宅を家宅捜索した際、注射器1本と覚せい剤の空袋とみられる4つの袋を発見。男性の左腕にも注射痕が見つかったため任意同行を求め、同署で簡易鑑定を実施。この鑑定では尿を付着させた試験紙の上に浮き上がる線の本数によって陽陰性を判断するが、捜査員が線を1本数え間違えて、「陽性」と見誤った。男性も「3、4日前に覚せい剤を使用した」と認めたため、同署は男性を緊急逮捕。しかし科学捜査研究所による正式鑑定の結果「陰性」と判明した。(2007/10/30付 西日本新聞朝刊より)

そういえば、2007年は薬物事犯の誤認逮捕が相次ぎました。さすがに、その後しばらくは、こうした報道に接していなかったのですが、またしても誤認逮捕が繰り返されたわけです。捜査関係者のみなさん、それでもまだ、一刻を争って逮捕することにこだわりますか。
●また誤認逮捕 科捜研 鑑定結果を回答ミス(2007年4月27日 三重県警)
●抗うつ剤をMDMAと誤認して男性を現行犯逮捕(2007年7月23日 警視庁)
●大麻と誤認、女性を現行犯逮捕(2007年7月4日 大阪府警)
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大麻、アイス、コーク何でもあり|イラン人薬物密売グループ逮捕

2009/06/25 22:13
●覚醒剤や大麻、スクーターで配達 密売イラン人2グループ摘発
東京・赤坂や世田谷で覚醒(かくせい)剤を密売したとして、警視庁組織犯罪対策5課は覚せい剤取締法違反などの疑いで、港区南青山のイラン国籍の3人と客の男女25人を逮捕した。容疑者2人は赤坂で、残る1人は世田谷で活動する麻薬密売グループに所属していたという。
同課は2グループの拠点だったマンション5室や使用していたスクーターを捜索。合わせて末端価格2128万円分の覚醒剤約259グラム、乾燥大麻約184グラム、大麻樹脂約163グラム、コカイン約55グラム、MDMA112錠や注射器などを押収した。
2グループは、世田谷区の路地裏で待ち合わせた客に、スクーターで薬物を運び、売り渡していたという(抜粋)。
6月25日12時45分配信 産経新聞
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090625-00000578-san-soci

同じ事件を報じた時事通信の記事には、押収された薬物などの写真が掲載されていますが、覚せい剤、大麻、コカインと多様な薬物が並び、いまの日本の薬物情勢のひとコマをそっくり切り取ったような写真です。
●覚せい剤販売のイラン人ら逮捕=警視庁
6月25日13時9分配信 時事通信
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090625-00000017-jijp-soci.view-000

ほんのひと昔前まで、日本で乱用される薬物といえば、覚せい剤かシンナー、それ以外の薬物は、ごくまれに押収される程度、という状態が続いていました。変化が目に付き始めたのは平成7、8年ころでしょうか。外国人密売人が、覚せい剤とともに大麻樹脂を売り込むようになり、「チョコ」という言葉とともに若者に広まり始めたのです。その後、平成13年ころからは、覚せい剤の品薄状態を埋め合わせるように、多様な薬物が密売されるようになっています。
いま、日本でいちばん需要が多いのが覚せい剤と乾燥大麻、さらに好みに応じてコカイン、大麻樹脂、MDMAなども。密売人が取り扱う薬物の種類は、どんどん増えています。
最近、私が担当した外国人密売人の事件では、彼らが販売していた薬物は、@アイス(覚せい剤)、Aエクスタシー(MDMA)、Bコーク(コカイン)、Cケタミンなど。いちばん高価なのは覚せい剤で、0.3グラム入りの袋で2万円。コカインとケタミンは0.5グラム入り、エクスタシーは3錠入りで、各1万円。「日本人はアイスが好きだけれど、高い。いろいろ揃えていないと、お客がつかない。」彼はこんな風に言っていました。
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英国と日本で、大麻工場のニュース

2009/06/24 23:49
英国(UK)では、この1、2年、住宅内で大量の大麻を栽培する、いわゆる「大麻工場Cannabis factory」摘発のニュースが続いています。地方の目立たない一軒家を借りたアジア人のグループが、住宅内で大量の大麻を栽培していたというもので、ベトナム系不法移民の検挙が続いています。

22日のBBCニュースは、「大麻工場」で栽培に当たっていた25歳の中国人青年が、2年8か月の拘禁と、国外退去処分の命令を受けたと報じました。
逮捕された中国人は、犯罪組織の末端にいた栽培係で、家中大麻で埋め尽くされた住宅のキッチンに住み込んで、栽培している大麻草に肥料や水をやるのが彼の仕事でした。背後にいる犯罪組織は、住宅の窓をふさぎ、表通りの電線から不法な電気配線で電気を引いて、大量の大麻栽培に必要な電力を盗んでいたということです。
BBC>Scotland>Cannabis factory gardener jailed 22 June 2009
http://news.bbc.co.uk/2/hi/uk_news/scotland/tayside_and_central/8112887.stm

この事件は、今年の2月に、スコットランドの田園地帯にあるオールド・ミル・ビルディングという町の住宅で、600本の大麻草が栽培されているのが見つかったというもの。こうした「大麻工場」では、違法な電気配線工事をしており、さらに給水ホースが電気配線のすぐ近くを通っていたりして、火災の危険性が極めて高いということです。捜査当局者によると、「大麻工場」のサインは、●窓がふさがれた建物、●土が運び込まれる、●大麻特有の強いにおいなど。建物に出入りする人はあるが、ごく短時間しか建物内に人がいないことが多いのも特徴ということです。
BBC>Scotland> Police operation at cannabis farm  16 February 2009
http://news.bbc.co.uk/2/hi/uk_news/scotland/tayside_and_central/7892517.stm

そういえば、最近、日本でもこれとよく似た事件がありました。そのひとつ、160本の大麻草が栽培されていた、群馬県吉井町で摘発された「大麻工場」に関連して、ベトナム人被告人の裁判のニュースが6月19日の毎日新聞に掲載されていました。
●吉井の大麻栽培:ベトナム人被告に懲役4年を求刑 /群馬
高崎市吉井町の民家で大麻草約160本を売買目的で栽培していたとして、大麻取締法違反罪に問われたベトナム人被告の初公判が前橋地裁であり、被告は「間違いありません」と起訴内容を認めた。検察側は懲役4年を求刑、即日結審した。
検察側は冒頭陳述で、昨年9月ごろ、被告は知人のベトナム人に、大麻草を栽培して金をもうける話を持ちかけられたと指摘。高崎市吉井町の民家で、大麻草に光を当てるためのランプを取り付け、配電室を設置するなど栽培設備を作った上、今年2月上旬ころから大麻草約160本を栽培したと主張した(抜粋)。
毎日新聞 関東版 2009年6月19日
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090619-00000113-mailo-l10
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パーティ・ピルズのうそ|脱法ドラッグへの警告11

2009/06/23 23:01
国によってはまだ法規制されていないBZPやTFMPPなどを含んだ錠剤タイプのドラッグ、いわゆるパーティ・ピルズ。日本では、この成分は麻薬に指定され、輸入はもちろん、所持や使用に対しても厳しい取締りの対象になっているにもかかわらず、Legal(合法)という言葉を安直に解釈して、英国などから個人輸入する例が増えています。

近年規制されたニュージーランド(パーティ・ピルズ発祥の地)や、現在規制が進んでいるヨーロッパでは、こうしたBZP錠剤の危険性を知らせる情報が多数発信されているので、そのなかから、パーティ・ピルズの「うそ」を集めてみました。

●うそ1、植物の栄養剤
インターネット上でパーテー・ピルズを販売するサイトでは、この種の錠剤を「植物の栄養剤」などと称して販売していて、パッケージにも、同じ言葉が印刷されています。ニュースで話題になったダブスの場合、「葉や根を元気にする」「花壇1平方メートル当たり1錠」などと表示しています。ピペラジン誘導体は農薬にも使われているので、似たような成分を含む園芸用の肥料でもあるのでしょうが、その根拠は私にもわかりません。植物系の喫煙用ドラッグを「お香」と称して販売しているのと同じ感覚ですね。

●うそ2、植物が原料
BZP錠剤は、若者たちにリーガル・ハイLegal Highs、ハーバル・ハイHerbal Highs、などと呼ばれています。実際、内容物としてビタミン類や植物などの成分をあげている商品もあるといいます。
でも、精神作用をもたらしているのは、BZPなどの合成麻薬。植物とは似ても似つかないものなのです。

●うそ3、BZPを排除
すでにBZPが規制されたニュージーランドと、規制が進行中のヨーロッパで、同じような報告がありました。「BZPを排除BZP Free」と表示された錠剤から、BZP類似の合成麻薬が見つかる例が多く、BZPそのものを含有するものもあるということです。
BZP類似の成分としては、3CPP(日本では麻薬)、TFMPP(日本では麻薬)、MBZP(日本では指定薬物)、4MPP(日本では指定薬物)などがあります。

●うそ4、安全
BZPの原料になっているピペラジンは、いろいろな化学製品に使われています。また、虫下しの成分としてもおなじみです。ピペラジンは、たしかに安全性が確認された成分だといえるでしょう。でも、その誘導体のベンジルピペラジンは、まったく別物です。医薬品の成分として幅広く使われた実績もなく、むしろ、危険性が高いとして医薬品への使用を見送られた経歴をもつ成分です。
ピペラジンから作られる成分だから安全、という情報が、クチコミで広まっているそうですが、これは大うそです。

●日本では大うそ、「合法」
たしかに英国ではBZP錠剤は「合法Legal」として販売されていますが、まもなく法規制される見通しです。BZPがすでに規制されているのはオーストラリア、米国、日本、ニュージーランドとヨーロッパの一部(ベルギー、デンマーク、ギリシャ、マルタ)。
日本は、麻薬に指定して、この合成麻薬を厳しく取り締まっています。日本では、決して「合法」ではありません。
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「不正大麻・けし撲滅運動」ただいま実施中

2009/06/22 22:51
毎年初夏に行われる「不正大麻・けし撲滅運動」、今年は5月1日(金)から6月30日(火)までの2か月を実施期間として、ただいま実施中です。この時期に、役所の薬務関係のオフィスに行くと、「不正大麻 けし」の見分け方といったポスターが貼ってあるのに気づきます。
厚生労働省 不正大麻・けし撲滅運動の実施について
http://www.mhlw.go.jp/houdou/2009/04/h0424-1.html

日本では、5、6月は、大麻が育ち始める季節。山林や原野でこっそり大麻栽培をしている人たちは、たいてい4、5月ころに小さな苗を定植します。今ころはだいぶ背丈も伸びて、大麻草特有の葉っぱを広げ、目立たない花をつけ始めている時期でしょうか。
こんな植物をみかけたら、要注意です。大麻草かな?と気になったら、警察、麻薬取締部)、各都道府県の薬務課、保健所などに連絡を。
画像


昨年は、日本のあちこちで大麻栽培が摘発されて話題になりました。そのせいか、恒例になっているパンフレットやポスターでも、今年は、大麻に関する情報がいくらか協調されているようです。
ポスター http://www.mhlw.go.jp/houdou/2009/04/dl/h0424-1a.pdf
リーフレット http://www.mhlw.go.jp/houdou/2009/04/dl/h0424-1b.pdf
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パーティ・ピルズって何?|脱法ドラッグへの警告10

2009/06/21 00:13
法規制されているメタンフェタミンやMDMAの代わりに、当時は未規制だったBZPを含む錠剤が、パーティ・ピルズと呼ばれて広まり始めたのは、ごく近年のことです。錠剤タイプで販売されることが多く、パーティ・ピルズやハーバル・ハイなどと呼ばれています。また、合法エクスタシーとして出回っている場合もあります。ヨーロッパで出回っているパーティ・ピルズのほとんどは、インド製だといわれています。

パーティ・ピルズの多くは、BZP(1‐ベンジルピペラジン)や、それに類似したピペラジン類と、他の薬物を配合していますが、代表的な配合は、BZPとTFMPPを組み合わせたもので、MDMAに似た作用があるといわれます。

BZPの健康影響について、EUの薬物問題研究機関EMCDDA がまとめた『EMCDDAリスク・アセスメント』に詳しい解説があるので、その一部を簡単に紹介します。
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BZPはピペラジン誘導体です。原料となるピペラジンは虫下しとして広く使われている薬でどこでも入手することが可能で、BZPの合成も比較的簡単なため、BZPを使ったドラッグが急速に広まったといわれます。
BZPは、もともと抗うつ薬として開発されましたが、間もなく、アンフェタミン類似の中枢神経興奮作用があることが確認されて、実用化は中止されました。BZPの中枢神経興奮作用は、D‐アンフェタミンの10%程度とされます。

BZPは多幸感をもたらし、音楽やダンスへの集中感を高めますが、頭痛、不安、妄想、幻覚、パラノイアなど多くのマイナス作用も報告されています。また、この薬物と関係するとみられる死亡事故も複数ありますが、複数の成分を含む薬物を摂取したケースが多く、死因を特定できていません。
出典:EMCDDA RISK ASSESSMENTS8 Report on the risk assessment of BZP in the framework of the Council decision on new psychoactive substances

BZPの乱用が広まったのが近年のことであり、健康影響に関する研究はまだ途上にあり、具体的な結論を出すにいたっていませんが、専門家の多くが、BZPなどを含むパーテー・ピルズが若者に広まっている現状を憂慮し、その危険性について警告を発しています。

なお、BZPは現在、合法な国もありますが、日本では麻薬として輸入、所持、使用が厳しく禁じられています。青少年諸君、英国でLegalだからといって、気安くインターネットで個人輸入しようなどと考えてはいけませんよ。
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マインド・キャンディという名の錠剤|脱法ドラッグへの警告9

2009/06/19 23:52
●国際郵便で合成麻薬、米人英語助手2人逮捕…沖縄
沖縄県警は19日、いずれも県教委に所属する米国人英語指導助手の2容疑者を麻薬取締法違反(輸入)の疑いで逮捕した。
発表によると、両容疑者は共謀し、「マインドキャンディー」と呼ばれる麻薬入り錠剤(合成麻薬)44錠をインターネットで英国の業者に注文。4月10日、成田空港への国際郵便で輸入した疑い。
同空港の税関が錠剤が入った郵便物に気づき、沖縄地区税関を通じて県警に通報した。両容疑者は「違法な薬物とは知らなかった」などと供述している。両容疑者は昨年8月に来日して県教委に採用され、糸満市の中学校、那覇市の県立高校で英語を教えていた。
6月19日21時29分配信 読売新聞
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090619-00000880-yom-soci

パーティ・ピルズという名の錠剤型のドラッグが、英国を中心に広まっています。そのほとんどが、BZPやその類似物質のTFMPP、3CPP、MBZP、4MPPなどを含んでいるため、専門家はこれをBZP錠剤と呼んでいます。上記の記事に登場する「マインド・キャンディ」も、インターネットショップでパーティ・ピルズとして販売されているので、おそらくBZP錠剤の仲間だと思います。
錠剤タイプのドラッグとして販売されているものでは、BZPとともに、他の麻薬などが配合されている例が多いのですが、BZPとMDMAを含む錠剤を摂取した若者が死亡した事故が数例あり、この組み合わせはとくに危険だと警告されています。最近ではBZPと、類似構造をもつTFMPPが配合されたものが多数確認されています。(http://www.usdoj.gov/dea/pubs/states/newsrel/2008/sanfran121608.html
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BZP(麻薬)
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TFMPP(麻薬)

BZPにはアンフェタミンに似た中枢神経興奮作用があり、また使用者はMDMAによく似た作用を感じるといわれ、MDMAの代用として、錠剤型ドラッグに使われてきました。

日本では、BZP、TFMPP、3CPP は麻薬に指定されており、一般人が所持することや使用することも処罰対象になっています。輸入はもちろん禁止されており、所持や使用より重い罰則が定められています。アメリカ合衆国では、もっとも厳しく規制されるスケジュールTに入っているはずだと思います。
BZPに対する規制が遅れていたヨーロッパでも、いま、BZPに対する規制が進んでいる最中で、英国でもすでに禁止策の具体的な検討が進められています。(詳しくは、脱法ドラッグへの警告8  http://33765910.at.webry.info/200906/article_12.html
英国では、合成麻薬に対する規制が遅れ気味だったことから、多様な脱法ドラッグ(Legal High)が販売されてきました。そのなかで、BZPなどを含む錠剤型ドラッグは、パーティ・ピルと呼ばれ、比較的安価で、またインターネットやヘッドショップなどで気軽に入手できるため、10代を中心に乱用が広まり、ちょっとした社会問題になっています。英国のメディアには、最近、頻繁にLegal Highの話題が登場しています。
英国でLegal(合法)と呼ばれていても、日本では「麻薬」というものも、たくさんあります。青少年諸君、英国でLegalだからといって、気安くインターネットで個人輸入しようなどと考えてはいけませんよ。
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大麻を吸うとどうなる?|英国の大麻乱用防止TVスポット

2009/06/18 23:17
薬物の作用を説明するテキストには、たいてい、大麻の作用として、次のような項目があげられています。
・心臓の鼓動が早くなる
・身体のバランスがとれなくなる
・目が赤くなる
・感覚が鋭くなった気がする
・時間がゆっくり感じられる
・おしゃべりになったり、笑いが止まらなくなることもある
・特定の考えに取り付かれたり、人が悪口を言っているように思う(パラノイア)
・やたらにものを食べる
・パニックを起こすこともある
楽しい気分になることもあり、ときにはマイナス面の作用が強く現れて、ひどい目にあうこともある・・・。
うーん、言葉で説明するって、なかなかむずかしいですね。

この40秒のビデオをみてください。大麻を吸うとどんなことが起きるか、なんとなくわかります。
Frank ' Cannabis ' TV ad 2009 40 sec advert
http://www.youtube.com/watch?v=p-_g5Cdc0BY

英国内務省に所属する青少年向け薬物乱用防止機関のFRANKが作成した、TVスポットの2009年版です。英語がわからなくてもOK。せりふはほとんどありません。目で見て、感じ取って、なんとなく理解できます。もちろん、政府機関の作成したフィルムですから、大麻のマイナス作用をクローズアップしたものですが。

大麻を吸った少年のマインドに、まず訪れるのは無害そうにみえる作用の数々。
●ハッピー ●おしゃべり ●くすくす、うへへ・・・ ●むしゃ、むしゃ、くちゃ、くちゃ・・・
次に、マイナス作用の数々がやってきます。
●パラノイア ●パニック ●記憶の消失  など
大麻のプラス面だけにに関心が集まりがちな中高生に、ぜひ見せていただきたいビデオです。

もう少し知りたい方には、FRANKのサイトがおすすめです。このビデオと関連した内容を動画で体験できます。ダウンロードに少し時間がかかりますが、ガイド通りに動かしていくと、大麻のマイナス面の作用について、よくわかります。英語が聞き取れなくても、だいじょうぶです。
Cannabis―Experience how cannabis can mess your mind
大麻の体験  大麻はあなたのマインドをこんな風に混乱させます。
http://www.talktofrank.com/cannabis.aspx
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着色覚せい剤が出回る、日本版ストロベリー・メスか?

2009/06/17 23:57
厚生労働省九州厚生局麻薬取締部小倉分室(北九州市)に覚せい剤取締法違反(営利目的所持)容疑で摘発された男2人が、赤く着色された覚せい剤を「赤ちゃん」の隠語で20歳代の若者を中心に売りさばいていたことがわかった。
一般的な白色のものよりも人気が高かったという。覚せい剤捜査に詳しい福岡県警幹部の話でも、最近押収された覚せい剤に赤いものが散見されているという。捜査当局は、若者らの間で色つき覚せい剤の使用がファッション感覚で広まる恐れがあるのではないかと警戒を強めている。
2人が扱った覚せい剤は3種類あり、赤く色付けされたものは「赤ちゃん」、一般的な白色のものは「白ちゃん」、少し水気を帯びて湿っぽいものは「水ちゃん」の隠語で呼んでいた。
(2009年6月17日 読売新聞)
http://kyushu.yomiuri.co.jp/news/national/20090617-OYS1T00631.htm

そういえば、今年3月には兵庫県でピンクの着色覚せい剤が押収されたというニュースがありました。最近、着色された覚せい剤が、あちこちで出回っているようです。一般的な覚せい剤は白(無色)または褐色がかった色のものが多く、赤やピンクのものはこれまで、あまりみかけませんでした。

●通称「紫いも」ピンク色の覚せい剤、兵庫県警が押収
兵庫県警が、覚せい剤取締法違反(所持)容疑で逮捕した女から、ピンク色をし、「紫いも」の通称で取引されている覚せい剤を押収していたことがわかった。ピンク色の覚せい剤が他府県でも押収されていることから、県警は、ファッション性を高める目的で着色されて広がっている可能性があるとみて、流通ルートの解明を進める。覚せい剤はジュースなどに混ぜて海外から密輸され、再精製する際、その色が残ることがあるという。このため、県警は、ピンク色の液体に混ぜて着色している可能性もあるとみている。
2009年3月5日読売新聞より抜粋

このニュースで思い出すのは、2007年ころアメリカで起きた「ストロベリー・メス騒動」です。イチゴ味、バナナ味などのキャンディ風に味付けされたメタンフェタミン(覚せい剤)が出回り、子供相手に売込みされているといった情報が、メディアで大量に流れたのです。当時、アメリカではメタンフェタミンが猛烈な勢いで広まっている最中。いよいよ子供までターゲットにするのかと、世間の関心が集まりました。

●子どもターゲットに「甘い」麻薬出回る 米国
麻薬成分に甘味料などを混ぜ、菓子のような名前をつけたドラッグが米国内で出回っている。売人たちは10代の子どもをターゲットにしており、薬物汚染の低年齢化が懸念されている。
2007年5月10日朝日新聞より抜粋

ところが、情報の発信源とされたDEA(米国麻薬取締局)は、イチゴ味のメタンフェタミンが全国的に広まっている事実はないと否定。結局、ストロベリー・メス騒動は、空騒ぎのまま立ち消えてしまいましたが、その後、イチゴのフレーバー入りのコカイン(2008年)、グレープ・キャンディのフレーバー入りのメタンフェタミン(2009年1月)などがポツ、ポツと報告されています。
(DEA MICROGRAM BULLETIN, VOLUME 42, NUMBER 1, JANUARY 2009 VOLUME 41, NUMBER 7, JULY 2008)

ストロベリー味の覚せい剤は、ありそうで、ないもののひとつ。こんなにドラッグが広まっているのだから、ファッション感覚をさらに高めれば、10代にもアピールするに違いない。誰でも思いつきそうなことです。実際、このようなドラッグの出現もありうると、多くの人が漠然と予想しています。
幸い、これまでのところ、新発想を取り入れて着色したり、フレーバーを加えたりした覚せい剤が大規模に広まる動きはみられません。所詮は、アイディア倒れに終わっているようです。しかし、手を変え、品を変え、いろいろ試しているなかから、次世代のドラッグが生まる可能性は無視できません。新趣向ドラッグの出現に対しては、やはり警戒が必要ですね。
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野外イベントの季節に向けて、薬物回収ポストの出番

2009/06/17 01:37
脱法ドラッグの記事を読んでいたついでに、BBCニュースのスコットランド版に、こんな記事を見つけました。
●ロックコンサートにドラッグ回収ポスト
ネス湖のほとりで開かれる数万人規模のロックコンサート、ロックネス2009。昨年のイベントでは18歳の少年の薬物に関係した死亡事故があったことから、参加者に薬物なしでの参加を呼びかけているとか。
会場の入り口には、"amnesty bins"と呼ばれるポストが設置される予定。これは、自分が持ってきた薬物を安全に捨てることのできる、いわば薬物回収ポストです。このポストに捨てた薬物に関して、とがめを受ける心配はないということです。
事故を繰り返さないよう、厳重警戒の下で行われた今年のロックコンサート。薬物の押収は減ったのでしょうか。
Drug 'amnesty bins' for RockNess  BBC NEWS 8 June 2009 12:41 UK
http://news.bbc.co.uk/2/hi/uk_news/scotland/highlands_and_islands/8089325.stm

さて、梅雨があけたら、日本でも本格的な野外イベントの季節が到来します。この夏も、リゾート地ではコンサートやダンスのイベントが開かれることでしょう。昨夏は、群馬県で行われた「レーブ」の会場で、薬物持参の青少年が逮捕されて話題になりました。音楽イベントを警戒したり、禁止する動きもあるようです。
音楽やダンスと薬物は、ともすればワンセットになりがちです。夏、太陽、ダンスに中枢神経興奮系薬物の作用がプラスされると、高体温による熱中症状態が起きやすくなるため、野外でのイベントには薬物による事故の危険がつきまといます。さらに、アルコールが加わると、危険は格段に大きくなります。

夏の計画を立てている皆さん、ダンスや音楽と薬物、この危険な組み合わせについて、どうか忘れないでください。
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