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弁護士小森榮の薬物問題ノート

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弁護士小森榮の薬物問題ノート
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1,000件を超える薬物事件の経験を集約して、弁護人のための実務書をまとめました。鑑定、予試験、尿の押収など、薬物事件に特有の手続は、とくに力を注いでいます。
もう一歩踏み込んだ 薬物事件の弁護術
小 森  榮:著
発行:現代人文社(GENJIN刑事弁護シリーズ15)
税込価格:3,996円

ご注文は、現代人文社ホームページへ
http://218.42.146.84/genjin//search.cgi?mode=detail&bnum=20221


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米で警報!致死量わずか2rの最強麻薬出回る

2016/09/26 22:14
「最強の麻薬」「死のオピオイド」といわれるカルフェンタニルが、いま米国の乱用市場に出回り、オーバードーズによる死亡事故が多発しています。米麻薬取締局(DEA)は、9月22日に全米に向けて警戒情報を出し、注意を呼びかけています(下記参照@)。

カルフェンタニル(4-カルボメトキシフェンタニル)は、強力な作用を持つ合成麻酔薬フェンタニルの構造類似体(アナログ)で、その作用の強さはモルヒネの1万倍、フェンタニルと比べても100倍といわれます。
強い効き目から大型動物の全身麻酔用に使われることもありますが、人への使用は想定されていないので、正確な1回使用量は分かりません。もしも、人に使うとすれば、1回の使用量はマイクログラム(1グラムの100万分の1)単位になるでしょう。
DEAによれば、わずか2ミリグラムが致死量になりうるということです(下記参照A)。

画像

↑カルフェンタニルの致死量はわずか2ミリグラム
DEAの資料から、ペニー硬貨と比べた2ミリグラムの粉末(下記参照A)

こんなものが、いま米国の乱用薬物市場に紛れ込んで流通しています。最近問題になっているのは、「ヘロイン」として密売される白い粉末に、カルフェンタニルが混入されたもので、いつものヘロインだと思い込んで、同じように使ったユーザーが、たちまちオーバードーズに見舞われ、救急搬送されたり、命を落したりする事故が相次いでいるのです。

カルフェンタニルだけではありません。近年、米国には様々なフェンタニル類似薬物が流入し、オーバードーズ事故が急増しているのです。
オピオイド系鎮痛薬の乱用が広まり、乱用者のなかにはさらに効き目の強いヘロインに手を伸ばす人も少なくない米国では、乱用薬物のマーケットでオピオイド系の成分の需要が、かつてないほど高まっています。そこへ、中国の化学会社が生み出す、多様なフェンタニル系の薬物が流れ込んでいるのです。

●相次ぐ中毒事故
ヘロインによるオーバードーズ事故の集中発生が急増し始めたのは、8月末のことでした。
オハイオ州シンシナティ地区では、8月末の6日間に174件のヘロイン過量摂取事故が発生しました。同じころ、ニュージャージー、ケンタッキー、インディアナ州でも、ヘロインのオーバードーズ集中発生が報告されています(下記参照B)。
さらに地元のニュースサイトによれば、9月24日、オハイオ州のクリーブランド地区では、ヘロインの過量摂取による中毒死が相次ぎ、わずか24時間のうちに7人が死亡するという事態に至りました(下記参照C)。

現在、原因物質を特定するための調査が進められていますが、「ヘロイン」として密売された粉末に、カルフェンタニルなどの薬物が混ぜられていたのではないかとみられています。

●捜査官にも被害が発生
ごくわずかな量で致死的なオーバードーズが起こりうるのが、フェンタニル系薬物の特徴です。しかも、呼吸器や粘膜、ときには皮膚を通じて吸収されることもあります。そうなると、事故の現場に臨場した捜査員に、中毒事故が起きることも考えなくてはなりません。

じっさい、捜査現場では中毒事故が発生しているといいます。今年6月、DEAサイトで「フェンタニル―法執行における現実の脅威」という、捜査官向けの啓発ビデオが掲載されました。
ビデオに登場するのは、ニュージャージー州の捜査員2名です。彼らのチームは、捜査現場でフェンタニル系の薬物と思われる粉末を発見したのですが、簡易検査のために袋を開けようとして、誤って少量の粉末が飛び散り、その場にいた2人がたちまち中毒症状に陥ったのです。幸い、迅速な医療措置のおかげで命拾いしましたが、「身体の機能がとまり、死ぬと思った」と語っています(下記参照D)。

●無知が生んだ悲劇
ユーザーが次々にオーバードーズ事故を起こすような品物は、売り手の側からみても失敗作です。これでは、愛好者が広がらず、大きな利益が生まれないからです。
ところが、誰も望んでいないはずの致死性ドラッグが、次から次へと、乱用市場に現れているのです。

技術の進歩によって、新種の薬物が際限なく生み出され、しかもインターネットを通じて簡単に入手できるのが、今の時代です。お手軽に原料を個人輸入して、素人が適当に調合したものが、乱用薬物として流通するなかで、このようにケタ違いに危険性の高い品物が出回ってしまうことも、ありがちです。無知が生み出した悲劇と言えるでしょう。

つい先年、危険ドラッグ流行の末期には、日本でも、こんなケースが多数出現したものです。幸い、日本は危険ドラッグの危機をとりあえず乗り切りましたが、米国では、未だに危機が進行しています。
こうした新たな危険要素が、日本に飛び火してこないよう、祈るばかりです。

[参照]
@DEAの報道発表
DEA Issues Carfentanil Warning to Police and Public(September 22, 2016)
https://www.dea.gov/divisions/hq/2016/hq092216.shtml
Aカルフェンタニルについての資料・米DEA
Carfentanil: A Dangerous New Factor in the U.S. Opioid Crisis https://www.dea.gov/divisions/hq/2016/hq092216_attach.pdf
Bオハイオ州での中毒事故集中発生の報道
The Washington Post>'This is unprecedented': 174 heroin overdoses in 6 days in Cincinnati(August 29)
https://www.washingtonpost.com/news/morning-mix/wp/2016/08/29/this-is-unprecedented-174-heroin-overdoses-in-6-days-in-cincinnati/
C地元ニュースサイトの記事
WCPO>Cleveland area has 7 drug overdose deaths in 1 day(Sep 25, 2016)
http://www.wcpo.com/news/state/state-ohio/cleveland-area-has-7-drug-overdose-deaths-in-1-day
D捜査官向けの啓発ビデオ
Fentanyl―A Real Threat to Law Enforcement
https://www.dea.gov/video_clips/Fentanyl%20Roll%20Call%20Video.mp4
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ドゥテルテ大統領が訪日・・・私たちはこの人物をどう迎えればいいのか

2016/09/23 15:08
フィリピンのドゥテルテ大統領が10月に訪日することになりそうだと、ニュースが報じています。フィリピンは外資誘致を積極化しており、製造業を中心に日本からの投資を呼びかけるのが狙いだといいますが・・・。
麻薬撲滅の名の下で、住民の殺害さえ許容するという超法規的な粛清を強行し、その手法が国際的な非難を呼ぶと、米大統領や欧州連合、国連事務総長さえ口汚くののしるという、大統領の対応に、問題はいまや、国際的な経済、外交、防衛といった問題にまで拡大し始めました。

さて、この人物の訪日にあたって、私たち日本人は、どのように迎えたらいいか戸惑ってしまいます。
ドゥテルテ大統領と「麻薬撲滅」活動の問題、今日までの経緯をざっとまとめてみました。

●ドゥテルテ大統領による強行策
フィリピンは7000を超える島からなっていますが、国土の面積は日本の約8割、人口は1億人強と、日本をひとまわり小ぶりにしたような国だと考えればよいでしょうか。
貧困、失業、治安などとともに、この国を長年悩ませてきたのが薬物乱用問題です。2016年の大統領選では、治安の回復や薬物問題の早期解決を掲げたドゥテルテ氏は、広く国民の支持を集めて当選、6月末に新大統領に就任しました。

就任早々、新大統領は公約に従って、「フィリピンから薬物問題を一掃する」という課題に積極的に取り組み始めたといいます。
ところが、その手段となったのは、警察による末端の密売人と乱用者に対する、超法規的な取り締まりだったのです。重武装した取締まりチームが貧困地区をパトロールし、薬物密売人や乱用者に自首を促します。捜査に抵抗を示す場合には、射殺することも容認されました。警察ばかりでなく、各地で組織された自警団や正体不明の暴力集団も、この活動に加わったといわれます。

8月23日、フィリピン議会上院の合同調査委員会でフィリピン国家警察の幹部は、新大統領の下で麻薬撲滅作戦が始動してからの2か月で、警察は10,153人の薬物乱用者を逮捕し、多量の薬物を押収したと証言しました。
しかし、その裏で、多くの市民が「取り締まり」の名の下で殺害されていたのです。警察によって殺害されたのは756人、ほかに1160人が殺害されたといいますが、その多くに、自警団が関与しているとみられています(下記参照@)。

新大統領の肝いりでスタートした「麻薬一掃」活動ですが、これは正式な国家としての取り組みに位置付けられたものではなく、政府からの、公式な方針などの発表はありません。

●フィリピンの薬物問題の現状
この国で最も広く乱用されているのは覚せい剤で、現地では「シャブ」と呼ばれることからもわかるように、もともとは日本の犯罪組織が持ち込んだものです。
 ・1位・・・覚せい剤
 ・2位・・・大麻
 ・3位・・・コカイン
画像

↑フィリピン政府の危険薬物委員会のサイト(下記参照B)

この国に約180万人の薬物乱用者がいるといいます。ここで示された180万人という数字は、過去1年以内に違法な薬物を使った人の数で、人口の1.8%にあたります。これまでに1回以上薬物を使ったことのある人は6.1%で、480万人に及びます。
フィリピンでは、長年にわたり、薬物乱用問題が重要政策課題の一つとされ、政府の下に置かれた危険薬物委員会が薬物対策の中枢を担ってきました。同委員会が定期的に実施している、全国規模の薬物実態調査の2015年版の概要が先日報道発表され、右肩上がりで増え続ける薬物乱用の実態が明かされたところです(下記参照A)。

危険薬物委員会のまとめによると、性別では圧倒的に男性が多く、その中心年齢は31歳、過半数が無職で、都市部に住む低所得層が中心です。平均乱用年数は6年以上、覚せい剤を中心に他の薬物も使用しています(下記参照B)。

日本と比べると、フィリピンの薬物乱用状況は、かなり深刻だと言えるでしょう。
ちなみに、日本の調査では、過去1年以内に覚せい剤、大麻、危険ドラッグなどの薬物を使った人は0.1%。これまでに1回以上使ったことがある人は、2.5%となっています(下記参照C)。

●取り締まり体制
薬物犯罪の取締りにあたる主要機関は、フィリピン麻薬取締局Philippine Drug Enforcement Agency (PDEA)で、全国16の支局と16か所の分析ラボを備えた組織です。組織の構造や規模などは、日本の厚労省麻薬取締部の現状に似ているように思います。
捜査官の人数が限られているため、麻薬取締局の活動対象は大型事案に絞られるといいます。しかし、取り締まりの最前線や司法組織にまではびこる汚職や、体制の不備などのため、密輸や密売を取り仕切る犯罪組織の摘発は遅々として進まず、逮捕した組織幹部を起訴できないまま捜査を打ち切ることもしばしば起きているといいます。

いっぽう、末端の密売人や乱用者に対する取り締まりは、主に警察が担当しています。
東南アジア諸国の例にもれず、フィリピンの薬物法制も大変厳しいもので、たとえば5グラム以下覚せい剤の単純所持に対しても、長期の拘禁刑が科されます。

●ビリビッド刑務所スキャンダル
マニラ市郊外に新設された、2万人以上を収容するビリビッド刑務所をめぐって、内部で薬物密売が行われているという疑惑が、長く取りざたされていました。2014年12月、当時の大統領の特命を受けて、警察と軍が数回にわたって同刑務所に対して強制捜査を行い、驚くべき実態が明らかになりました。
刑務所内で発見されたのは、エアコン装備の特別室、ジャグジーバスや温水シャワー、ブランド腕時計や札束を入れた金庫が備え付けられた部屋や、高級ウィスキーを並べた房もあったといいます。収容者の身辺から押収されたのは、覚せい剤、携帯電話、多額の現金、携帯型パソコン・・・。
メディアはこぞってこの話題を取り上げ、有罪判決を受けた薬物密売組織の大物たちが、刑務所内で「王様みたいに暮らしている」と報じ、この問題は国民的スキャンダルになりました。
この問題は2016年の大統領選挙で大きな争点となり、ドゥテルテ現大統領はビリビッド刑務所問題の徹底究明と麻薬問題の短期解決を公約に掲げて当選したわけです。

[参照]
@CNN Philippines' War on Drugs(Sep 07, 2016)
http://edition.cnn.com/specials/asia/philippines-drugs-war
Aフィリピンの薬物乱用実態全国調査
2015 Nationwide Survey on the Nature and Extent of Drug Abuse in the Philippines
調査結果は、下記のニュース記事によりました。
DDB: Philippines has 1.8 million current drug users - Rappler(September 19, 2016)
http://www.rappler.com/nation/146654-drug-use-survey-results-dangerous-drugs-board-philippines-2015
Bフィリピン危険薬物委員会
Dangerous Drugs Board (DDB)
www.ddb.gov.ph/
*乱用実態に関する統計は2015 Statisticsでまとめられている
C薬物使用に関する全国住民調査(2015年)
国立精神・神経医療研究センターのサイト内
http://www.ncnp.go.jp/nimh/yakubutsu/report/pdf/J_NGPS_2015.pdf
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刑の一部執行猶予、気になる対象者の選定

2016/09/19 23:51
大麻事件で2度目の裁判を受けた有名人の長男に対して、一部執行猶予の判決が言い渡されたそうです。
今年6月に導入された一部執行猶予制度、導入から3か月目となる今では、取り立てて報道されることもなくなりましたが、こうして、有名人の事件報道などを通じて、私たちの目に触れることになります。新制度も、どうやら裁判実務に根を下ろし始めたのでしょうか。

<ニュースから>*****
●元チェッカーズ長男に有罪 大麻所持で
大麻取締法違反(所持)などの罪に問われたT被告(22)に、東京地裁(伊藤ゆう子裁判官)は16日、懲役1年4月、うち4月を保護観察付き執行猶予2年とする判決を言い渡した。
被告は元人気バンドチェッカーズの元メンバーの長男。6月19日に東京都渋谷区で大麻約0・7グラムなどを所持していたとして起訴され、検察側は懲役2年を求刑していた。以前にも大麻取締法違反罪で有罪判決を受けており、事件当時は執行猶予期間中だった。
2016年9月16日 19:48産経ニュース
*****

そういえば、7月上旬に横浜地裁で判決を言い渡されたロックバンドの元メンバー(55)のケースでは、覚せい剤事件で執行猶予中に再犯した被告人に対して、やはり一部執行猶予判決が下されていました。
 事件・・・覚せい剤の使用
 被告人・・昨年9月に覚せい剤事件で執行猶予付き判決を受けて執行猶予中
 判決・・・懲役1年6月、うち4月を2年間の保護観察付執行猶予

薬物事犯者に適用される一部執行猶予は、2タイプありますが、上の2ケースでは刑法27条の2に定める、刑の一部の執行猶予が適用されました。
これは、初めて実刑判決を受ける被告人が主な対象者とされていて、その典型的な例が、執行猶予中(保護観察付も含む)に再び罪を犯した人です。上の2ケースのように、薬物事犯として初めて裁判を受け、更生を誓ったにもかかわらず、執行猶予判決を受けて社会復帰して間もなく、二度と手を出さないと決意したことも忘れて、再び薬物を使い始めて、二度目の裁判を受ける人が、残念ながら後を絶ちません。

こうした場合、再犯防止のために継続的なケアが望ましいのは、言うまでもありません。本来なら、最初に裁判を受けた後、薬物を断ち、生活を切り替えなければならなかったのに、具体的な対策をとることができなかったのか、あるいは、当人の覚悟が不十分だったのか、短期間で再犯に至ってしまったのですから。

こうした事案では、刑の一部を執行猶予として、釈放後も引き続き保護観察の下で、専門的なプログラムを受けさせるという判決には、説得力があると言えます。
でも、同じように執行猶予中に再犯に至ってしまった多くの被告人のうち、どの事案に対して一部執行猶予を言い渡すのか、その選択は、かなり微妙になってきます。

なにしろ、執行猶予中に再犯して、一部執行猶予判決を言い渡された場合は、全部実刑判決の場合と同様に、前の刑の執行猶予は取り消され、宣告されていた刑を実際に受けなくてはなりません。2件分を合せた服役の期間は相当に長くなり、釈放後に、実際にプログラムを受けるのは数年先のことになるのです。
その数年先に、被告人がどんな形で社会復帰するか、判決の時点でそこまで見通すことは、かなり難しいでしょう。

一部執行猶予判決を言い渡すにあたって、生活状態の不安定な被告人の場合は、数年先に長期の保護観察を受けることに不安がつきまとうことでしょう。いきおい、服役後の住居が確保されていて、被告人の帰りを待つ家族がいる・・・そんなケースを選択しがちになるのではないでしょうか。

しかし、こうした環境にある被告人は、あえて保護観察という制度に頼らなくても、本人や家族の力で更生できる可能性が高いということを忘れてはいけません。自力で更生できる被告人にとっては、社会復帰後も長期にわたって保護観察を義務付けられることは、ときには円滑な社会復帰の重荷になることだってあり得ます。
むしろ、自力での更生を支える体制が不十分なため、否応なしに再犯リスクが高くなってしまう被告人に対して、社会復帰後の生活を長期間監督し、支援してこそ、一部執行猶予制度は真価を発揮するのではないでしょうか。

保護観察の受け入れ体制を考えれば、当面は、一部執行猶予は限られた事案に対して適用していくことになるでしょう。その対象が、ほんとうに適切に選択されるかどうか、私には、そんな点が気になっています。
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10月14日からデパス、アモバン等が向精神薬に

2016/09/15 23:32
エチゾラム(代表的な製品名はデパス)等3物質を向精神薬に指定する政令が、昨日9月14日に公布されました。施行は30日後の10月14日から(下記参照@)。
公布を受けて、製薬会社も「お知らせ」を発表し、関係者に注意を促し始めました(下記参照A)。

前記事でも述べたように、施行後は、デパスやアモバン(同成分のジェネリック医薬品も)は向精神薬として規制され、許可を受けない個人輸入や譲渡、譲渡目的所持などは麻薬及び向精神薬取締法違反として厳しく取り締まられることになります。

■向精神薬に指定される物質
@化学名:(RS)−6−(5―クロロピリジン−2−イル)−7−オキソ−6,7−ジヒドロ−5H−ピロロ[3,4−b]ピラジン−5−イル=4−メチルピペラジン−1−カルボキシラート
別名:ゾピクロン
➢代表的な製品名はアモバン、数種類のジェネリック製品もあります。
A化学名:4−(2−クロロフェニル)−2−エチル−9−メチル−6H−チエノ[3,2−f][1,2,4]トリアゾロ[4,3−a][1,4]ジアゼピン
別名:エチゾラム
➢代表的な製品名はデパス、ほかにも多くのジェネリック製品があります。
B化学名:7−ブロモ−5−(2−クロロフェニル)−1,3−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾジアゼピン−2−オン
通称:フェナゼパム
➢日本で承認された製品はありません。
*なお、前記事で紹介したように、パブリックコメントの案では、ゾピクロンの鏡像異性体(S体)であるSゾピクロンも指定されると記載されていましたが、今回の報道発表をみると、Sゾピクロン(製品名ルネスタ)については触れていません。正式な通知文書などがまだ確認できませんが、今回の指定ではSゾピクロンを特に指定対象として特定していないようです。

■政令の公布と施行
政令の公布・・・2016年9月14日
施行予定・・・・2016年10月14日

●処方薬乱用の現状
処方薬のなかでも、睡眠薬、抗不安薬には乱用による問題が、いつもつきまとっています。その実態を継続的に取り上げている調査研究として、国立精神・神経医療研究センターなどが継続的に行っている「全国の精神科医療施設における薬物関連精神疾患の実態調査」の報告書をみてみましょう。

最新の2014年調査では、精神科医療機関で薬物関連障害患者の治療を受けた1,579 例のうち、「主たる薬物」が処方薬(睡眠薬・抗不安薬)だったのは13.1%、覚せい剤、危険ドラッグに次いで第3位となっています。また、対象者の18.4%が最近1年間に処方薬を治療目的以外で不適切使用したことがあるという結果も出ています(下記参照B)。 同調査では、処方薬(睡眠薬・抗不安薬)が主たる薬物であるかどうかにかかわらず、現在もしくは過去において乱用したことのある処方薬の薬剤名に関する情報も収集していますが、なかでも、最も多くの患者が乱用していた薬剤が、エチゾラム(120 例)でした。

報告書は、次のように述べ、警鐘を鳴らしています。
「今回、乱用患者数の多さが特に突出していた薬剤がetizolamであった。この薬剤は向精神薬指定がなされていないために長期処方が可能であることから、乱用者にとってはきわめて入手が容易である。また、われわれが埼玉県薬剤師会の協力を得て実施した薬局調査(松本ら, 2011b)では、向精神薬のなかではこの薬剤が最も重複処方(一人の患者に対して同時期に複数の診療科から重複して処方されること)されていることも判明している。おそらく適用症が多岐にわたること、後発品が多いために、処方医の側でも重複に気がつかないケースも少なくないと推測されるが、このような事情も乱用者にとっては入手を容易にする要因となりうる。すべての診療科の医師に対して注意を喚起する必要がある。」
画像

↑上記調査で10例以上の患者によって乱用されていた処方薬(睡眠薬・抗不安薬)
(下記参照Bより転載)

上の表にリストアップされた睡眠薬、抗不安薬のほとんどは、乱用のおそれがあり、また乱用された場合に重大な有害性があるとして向精神薬に指定されていますが、1位のエチゾラム(デパス等)と、11位のゾピクロン(アモバン等)は、これまで向精神薬に指定されていませんでした。そのため、様々な診療科で多様な症状に対して気軽に処方され、長期処方や重複処方といった問題も起きていたといいます。乱用者にとっては、入手しやすいクスリだったといえます。
今回の指定は、まず、この2種を向精神薬として規制することで、安易な処方を引きしめることが、第一の狙いなのでしょう。

●最近、処方薬の個人輸入がとくに気になる
同時に、向精神薬として規制することは、ユーザーの安易な入手に対しても警鐘を鳴らすことになります。
これまで、デパスやアモバンに関しては、他人への個人的な譲渡や、個人輸入といった行為に対して、とくに取り締まりが行われることがなかったことから、ユーザーのなかには、処方薬を安易に他人とやり取りしたり、外国から個人輸入することを漫然と繰り返してきた人も、少なくありません。

数か月前、私は事件処理のために、インターネット上の「pharmacy(薬局)」を名乗る販売サイトや、輸入代行業者のサイトについて、調べたのですが、その急増ぶりを改めて実感しました。そういえば、わが国で危険ドラッグ販売が沈静化したころから、この種のサイトが急速に増え始めたように思います。

睡眠薬や抗不安薬は、ED治療薬やダイエット系の治療薬とともに、こうしたサイトの主力商品として、幅を利かせています。デパスのジェネリック、あるいはデパス同成分とうたう製品も、多数見かけました。
本来なら、医師の処方で使うべきものが、実に簡単に手に入るのです。

今回の向精神薬指定を機に、違法な個人輸入に対して警告を発するために、違反者の摘発にも力がはいることでしょう。でも、違反者を摘発するだけでは片手落ちです。デパスやアモバンに限らず、医師の処方を受けずに、睡眠薬や抗不安剤を個人輸入して使うことの危険性を広くアピールし、ユーザーの意識を引き締める啓発活動が行われることに、期待します。

なお、向精神薬乱用問題の重大な側面として、自殺との関係について簡単にまとめた記事が当サイト内にあります(下記参照C)。よろしかったら、こちらもご参照ください。

[参照]
@厚生労働省の公報
「新たに3物質を向精神薬に指定し、規制の強化を図ります」平成28年9月14日
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000136558.html
Aサノフィ(株)、日医工(株)
「アモバンⓇ錠 7.5」「アモバンⓇ錠 10」向精神薬指定のお知らせ
http://www.nichiiko.co.jp/data2/55330/12_information/o-amoban_t-20160914bI1(2).pdf
B研究報告書・2014年調査
「全国の精神科医療施設における薬物関連精神疾患の実態調査」
http://www.ncnp.go.jp/nimh/yakubutsu/report/pdf/J_NMHS_2014.pdf
Cサイト内過去記事
「向精神薬密売事件が照らす、自殺との深刻な関係」2015/11/15
http://33765910.at.webry.info/201511/article_7.html
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近日デパス、アモバンが向精神薬に指定される見込み

2016/09/12 16:29
この数か月療養生活を送っていた私は、世間の流れに疎くなっていましたが、先日、当サイトの読者から質問を受けたことから、デパス等を向精神薬に指定する手続きが進んでいることに気付きました。

今回、新たに向精神薬に追加される予定は、つぎの3物質です。
@ゾピクロン(製品名アモバン等)
Aエチゾラム(製品名デパス等)
Bフェナゼパム(日本では未承認)

すでにパブリックコメントによる意見公募が締め切られ、現在は、政令の公布を待つ段階に来ています。予定では、9月中に政令を公布し、周知期間を経た後、10月から向精神薬としての規制が施行されることになっています(下記参照@)。

遡って調べてみると、今年3月8日に開催された「依存性薬物検討会」において、これら3物質について向精神薬指定相当との結論を得て、準備が進められてきたということですが、同委員会の議事録は公開されておらず、医療関係者向けの情報が出たにとどまっています。

<向精神薬として規制される対象>
@(RS)―6―(5―クロロピリジン―2―イル)―7―オキソ―6,7―ジヒドロ―5H―ピロロ[3,4―b]ピラジン―5―イル=4―メチルピペラジン―1―カルボキシラート 【別 名】ゾピクロン
睡眠薬として広く処方されています。日本での商品名はアモバン、ジェネリック医薬品も数種類販売されています。今回の規制では、ゾピクロンの鏡像異性体であるSゾピクロン(商品名ルネスタ)も同時に向精神薬として指定されるということになっています。

A4―(2―クロロフェニル)―2―エチル―9―メチル―6H―チエノ[3,2―f][1,2,4]トリアゾロ[4,3―a][1,4]ジアゼピン 【別 名】エチゾラム
抗不安薬として幅広く使われています。日本での商品名はデパス、ジェネリック医薬品も多数販売されています。
エチゾラムの適用症は、神経症やうつ病による不安、緊張、抑うつ、睡眠障害から、頸椎や腰の痛み、筋収縮性頭痛など、日本では多様な症状に広く処方されています。

B7―ブロモ―5―(2―クロロフェニル)―1,3―ジヒドロ―2H―1,4―ベンゾジアゼピン―2―オン
成分の一般名はフェナゼパム、日本で承認された医薬品はありません。ソビエト時代のロシアで医薬品として開発され、現在もロシアや東欧で製造・使用されています。近年、ヨーロッパなどで娯楽目的の乱用が広まり、英国は2012年6月にクラスC薬物に追加して規制対象としました。
なお、本年3月、国連麻薬委員会において、フェナゼパムを向精神薬条約の附表Wに追加することが決議されているので、今回の指定は、この追加に対応して、国内での規制を行うためのものです。

●改正にともなう公報の徹底を
これまで、処方薬問題が話題になるたびに、デパスやアモバンの名が取りざたされてきましたが、この情報に接して「ようやく」と感じておられる方も多いでしょう。麻薬や向精神薬については、譲り渡しや個人輸入などが厳しく規制されていますが、その指定を受けていないものについては、直接取り締まることが難しく、「野放し」という声を聞くこともありました。

しかし問題は、長年にわたって取り締まりの圏外に置かれてきたことから、漫然と個人輸入を繰り返してきたユーザーが少なくないという事実です。今回、デパスやアモバンが向精神薬に追加されることで、これらの個人輸入は、麻薬及び向精神薬取締法違反として厳しく摘発されるということを、一般人に対して広く周知徹底することが望まれます。

2015年春、関税法の改正によって、それまで摘発の対象になっていなかった指定薬物に対する税関の取り扱いが変更されましたが、その結果、続々と摘発されたのは、「ラッシュ」を海外の販売サイトから個人輸入した人たちでした。指定薬物の個人輸入については、長年にわたって、事実上、税関での摘発対象となっていなかったことから、個人輸入を繰り返してきた人が多く、関税法の改正によって摘発の対象になることを十分に認識しないまま、改正後も、漫然と輸入を続けた人たちが、実に多かったのです。

適切な規制を行うことは、重要な乱用対策です。しかし、長年にわたり、事実上「お構いなし」のまま推移してきた領域については、十分な公報を行い、個人輸入や譲渡が違反行為として取り締まりの対象となることについて、一般人に対してしっかり周知徹底しなければなりません。
法令の改正によって、違反者として摘発される人たちがむやみに増えることは、決して望ましいことだとは思えません。
画像

↑向精神薬事犯の推移・厚労省サイト(下記参照A)より

<向精神薬に関する主な違反>
●向精神薬の輸入、輸出、製造、製剤、小分け
 単純犯・・・5年以下の懲役
 営利犯・・・7年以下の懲役(2百万円以下の罰金併科あり)
 (麻薬及び向精神薬取締法66条の3)
●向精神薬の譲り渡し、譲渡目的所持
 単純犯・・・3年以下の懲役
 営利犯・・・5年以下の懲役(百万円以下の罰金併科あり)
 (麻薬及び向精神薬取締法66条の4)

[参照]
@パブリックコメントのために公開された情報
「麻薬、麻薬原料植物、向精神薬及び麻薬向精神薬原料を指定する政令の一部を改正する政令」(案)及び「麻薬及び向精神薬取締法施行規則の一部を改正する省令」(案)に関する意見募集について」案の公示は2016年7月19日
http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=495160131&Mode=1
A向精神薬事犯の推移
厚労省サイト内「不正麻薬の取締り」より
http://www.mhlw.go.jp/bunya/iyakuhin/yakubuturanyou/gyousei-gaikyo/dl/torishimari_h25-04.pdf
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昔の手法が復活|急増する覚せい剤密輸

2016/09/09 22:25
今年に入って、100キロ超の大型覚せい剤密輸事件の摘発が相次いでいるところへ、今度は、中国からの船便で、LED照明器具の中に隠した覚せい剤154キロを密輸したとして、台湾国籍の男性3人が逮捕されたと、ニュースが伝えています。今年7月、コンテナ貨物として東京港に陸揚げされた貨物です。

<ニュースから>*****
●覚せい剤154キロ密輸容疑=107億円相当、台湾人ら逮捕−警視庁
覚せい剤約154キロを中国から営利目的で密輸したとして、警視庁組織犯罪対策5課などは5日までに、覚せい剤取締法違反(営利目的輸入)容疑で、住所不定、職業不詳の台湾人・・・ら3人を逮捕した。鄭容疑者らはいずれも容疑を否認している。同課などは密輸の全容解明とともに国内での流通ルートの解明を進める。
逮捕容疑は7月2日、覚せい剤約154キロ(末端価格約107億8000万円)を発光ダイオード(LED)照明器具の中に隠し、船便で中国から埼玉県川口市の中国人の男宛てに発送。同7日、東京都江東区青海の青海コンテナ埠頭(ふとう)に陸揚げさせ、密輸した疑い。
時事通信(2016/09/05-12:45)
*****

折から、昨日警察庁が『平成28 年上半期における薬物・銃器情勢(暫定値)』を発表しましたが、そこでの話題は、やはり、激増した覚せい剤密輸押収量で、「上半期の覚醒剤の密輸入押収量は771.7kg(前年同期比+654.2kg、+556.8%)と、大幅に増加した。」と報告されています(下記参照@)。

●息を吹き返したか、東アジア圏からの大型密輸
相次いで摘発された大型密輸事件は、いずれも、中国や台湾など東アジア圏内から日本に密輸されたと思われるケースです。そして、その背後に、密輸計画に密接に関与している暴力団の影も垣間見えています。

【100キロ超の覚せい剤密輸事件・2016年1〜9月摘発分】
A 東シナ海で洋上取引・・・2016年2月
約100キロの覚せい剤を徳之島に陸揚げしたとして、暴力団幹部ら5人が逮捕されました。東シナ海で外国船との間で洋上取引を行い、覚せい剤を密輸したとして起訴されています。捜査段階で、覚せい剤の受け渡しに先立って被告人らが中国に渡航したことが判明、覚せい剤取引の関係者と接触したのではないかとみられています。
B 過去最大の約600キロ、那覇港のヨットから発見・・・2016年5月
沖縄、那覇港に停泊中のヨットの船内から、約600キロの覚せい剤が見つかり、乗組員の台湾人らが逮捕されました。このケースでも、ヨットの乗組員らは、東シナ海の洋上で外国船から覚せい剤を受け取り、日本に密輸しようとしたといいます。
C そして今回は、船便のコンテナ貨物を利用した密輸です。貨物の積出し地は中国、逮捕された台湾国籍の男性らは、貨物の到着時期に合せて来日していたといいます。

中国や北朝鮮などの近隣国から、海上ルートや商業貨物を使って、一度に100キロ超の覚せい剤を密輸する・・・ひと昔前には、こうした大型密輸が頻繁に摘発されていたのですが、そういえば近年では、こうしたケースを目にすることが減りました。
洋上で覚せい剤を受け渡しする手口は、かつて、北朝鮮や中国からの大量密輸の代表的な手法でしたが、2001年に北朝鮮不審船問題が浮かび上がり、領海の警備が強化されたことから急速に姿を消していました。
また、中国からの船便貨物を使った大型密輸も、かつては頻繁に摘発されましたが、この10年ほどは、ほとんど見かけなくなりました。

相次ぐ大型摘発で密輸組織が弱体化したともいわれ、また、中国国内での取り締まりが強化され、日本の暴力団が送り込んでいた現地の買付拠点が壊滅したともいわれます。詳しいことはわかりませんが、当時の大型密輸を支えてきた人材や拠点が、急速に活動力を失ったことは確かです。

ところがここへ来て、近隣諸国からの大型密輸が、急速に息を吹き返しています。洋上で覚せい剤の受け渡しを行う手口も、大型コンテナ貨物を使う手法も、昔のパターンそのままです。
一度は壊滅したかに思われた密輸組織が、体制を立て直して、ふたたび活動し始めたのでしょうか。
あるいは、暴力団をめぐる勢力関係が流動化していることから、利益の大きい覚せい剤密輸に、再び手を伸ばす組織が出てきたのでしょうか。なにしろ、暴力団にとって、覚せい剤は第二の通貨ともいわれる、重要な存在なのですから。

●メキシコからの大型密輸は減少
もうひとつ、気になる動きがあります。東アジアの近隣諸国からの大型密輸が途絶えた後、それを埋め合わせるかのように、2013年ころから急速に増えていたのが、メキシコ(米国の場合も)発の商業貨物便を使った大型密輸です。

100キロ超の大型摘発だけでも、次のようなものがありました(下記参照A)。
D 模造鉄鉱石の内部に194キロ・・・2013年5月
神戸税関は、メキシコから神戸港へ到着した海上コンテナ貨物の検査において、模造鉄鉱石に隠匿していた覚醒剤 約194sを発見、摘発した。
E 製粉機の内部に240キロ・・・2013年3月
横浜税関は、メキシコから横浜港へ到着した海上コンテナ貨物の検査において、製粉機のローラー内部に隠匿していた覚醒剤 約240sを発見、摘発した。
F 石材に隠匿していた覚醒剤を摘発・・・2014年1月
門司税関は、メキシコから到着した海上コンテナ貨物の検査において、石材に隠匿していた覚醒剤 約145kgを発見、摘発した。
G 洋酒瓶内に隠匿していた覚醒剤を摘発・・・2015年10月
横浜税関は、メキシコから到着した海上コンテナ貨物の検査において、液体に溶かしてテキーラ瓶1,026本に隠匿していた覚醒剤 約171kgを発見、摘発した。

ところが、東アジア圏からの大型密輸の復活に呼応するかのように、今度は、メキシコ発の大型密輸が減少しているのです。今年に入ってからは、2月に摘発された、トラの置物に約25キロを隠して密輸したケースくらいです。

中国系の密輸組織と、メキシコのカルテルは、覚せい剤密造原料の調達から覚せい剤の密輸まで、様々な形で連携しているといわれます。この両者が、臨機応変に連携しながら、日本の密売市場に向けて、途切れなく覚せい剤を送り込んでいるのかもしれないと、私の連想は膨らみます。

[参照]
@警察庁刑事局組織犯罪対策部薬物銃器対策課『平成28年上半期における薬物・銃器情勢(暫定値)』2016年9月
http://www.npa.go.jp/sosikihanzai/yakubutujyuki/yakujyuu/yakujyuu1/h28_yakujyuu_jousei.pdf
A財務省関税局調査課『白い粉・黒い武器レポート』
平成27年版http://www.customs.go.jp/mizugiwa/mitsuyu/report2015/index.htm
平成26年版http://www.customs.go.jp/mizugiwa/mitsuyu/report2014/index.htm
平成25年版http://www.customs.go.jp/mizugiwa/mitsuyu/report2013/index.htm
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自殺遺体から覚せい剤検出|和歌山殺傷・立てこもり事件

2016/09/06 23:13
和歌山市内の土木建設会社で発砲して男性従業員4人に対する死傷事件を起こし、その後、けん銃をもって立てこもった末に、自分の腹部を撃って自殺・・・。
事件は、まるで劇画かドラマのような展開となりましたが、自殺したM容疑者の尿から、覚せい剤が検出されたという発表に、やっぱりと思われた方も多いでしょう。

<ニュースから>*****
●発砲男から覚せい剤反応=和歌山4人殺傷、立てこもり−県警
和歌山市の建設会社従業員ら4人が拳銃で殺傷された事件で、和歌山県警は6日、現場近くで立てこもった末、自殺したM容疑者(45)の尿から覚せい剤の陽性反応が出たと発表した。
県警によると、遺体から尿を採取し、鑑定した。死亡前2週間以内に覚せい剤を使った可能性がある。県警は覚せい剤使用後に一連の犯行に及んだとみて、入手経路などを調べている。
2016年9月6日 12:56時事ドットコム
*****

別件の覚せい剤取締法違反の裁判で保釈中だったM容疑者は、実刑の有罪判決が言い渡され、発砲事件を起こした8月29日に、出頭・収監される予定だったといいます。
M容疑者の場合は、一審の判決後に控訴して、控訴期間中の保釈が認められていたのでしょう。
一審であれば、実刑の判決が言い渡されれば、その場で拘束され収監されるのですが、控訴審の場合は、判決が言い渡された後に、検察官が弁護人・被告人と連絡調整して収監(出頭)の日時を決られます。確定日の2、3日前というのが多いようです。
控訴審は、事後審であり、被告人が公判に出廷する義務がないことから、公判に出廷した被告人についても、このような扱いになっているのだと思われます。

覚せい剤事件で保釈中の被告人が、いよいよ収監を目前にして、未練がましくも最後の覚せい剤使用に及ぶという例は、ときおり見かけます。収監時には、当然、尿検査があり、その際に陽性反応があれば、新たな覚せい剤使用事件として追及されることはわかっていても、最後の1回をあきらめられない人もあるようです。
結局は、約束の日時に出頭できず、逃亡犯人として追われ、やがて逮捕されたという被告人の事件も、いくつか担当したことがあります(「なごりの覚せい剤事件」と呼んだりしています)。

M容疑者もその一人だったのでしょうか。立てこもりの現場近くで見つかったかばんには、使用した形跡のある注射器や白い粉末が付着した小分け袋が入っていて、捜査本部は、立てこもり直前に覚せい剤を使用したとみていたといいます。

最初のけん銃による殺傷事件を起こしてからのM容疑者の動きは、場当たりで脈絡がなく、いかにも覚せい剤の作用下の行動のように見えます。立てこもり現場で、長時間、容疑者を包囲していた捜査陣との間には、さぞ、かみ合わないやりとりが交わされていたことでしょう。
そもそも、最初の発砲も、覚せい剤の作用を受けて、混乱し、支離滅裂になった思考のせいで引き起こされたものかもしれません。
肝心のM容疑者が自殺してしまったことから、一連の事件の動機や背景の解明が遠のいてしまったのではないでしょうか。自殺という決着に、いくらか割り切れない思いも残ります。
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