弁護士小森榮の薬物問題ノート

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zoom RSS ニセ錠剤に警告|米でニセ処方薬関連の事故が急増

<<   作成日時 : 2016/05/04 10:51   >>

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米カリフォルニア州サクラメント地区で、医薬品として処方されるオピオイド鎮痛薬そっくりのニセ錠剤が出回り、オーバードーズによる事故が急増、死亡者はすでに10人を超え、病院で救急措置を受ける患者は数十人にのぼっています。
最近のケースで問題になっているのは、鎮痛薬としてよく処方される鎮痛薬「ノルコNorco」にそっくりのニセ薬品です。
このニセモノは、正規品にそっくりの外観だといいます。本来なら、「ノルコ」の主成分はヒドロコドン(鎮痛薬ジヒドロコデイノン・日本での規制区分は麻薬)なのですが、ニセ錠剤から検出された成分は、モルヒネの100倍強力な作用をもつといわれる合成麻薬フェンタニル系のアナログでした(下記参照@)。
正規の医薬品とそっくりの外観、ところが作用ははるかに強力というのが、この種のニセ錠剤の問題点で、気付かないままいつもの使用量を服用してしまった人たちが、オーバードーズに見舞われるというわけです。

●オキシコドンやヒドロコドン、向精神薬などのニセ錠剤
この数年、米国各地で、オピオイド鎮痛薬や向精神薬のニセ錠剤が出回り、オーバードーズ事故を引き起こしています。
画像

↑DEAはニセ医薬品に関する匿名通報番号を開設(2016年4月4日)
http://www.dea.gov/divisions/sf/2016/sf040416.shtml

■鎮痛薬「オキシコンティンOxyContin」のニセ錠剤
オキシコドン(鎮痛薬・日本での規制区分は麻薬)錠剤そっくりのニセモノも、2014年ころから米国各地で押収されています。
今年4月上旬、カリフォルニア州サンディエゴで、1000錠を超えるニセ医薬品をメキシコから密輸しようとした男性が逮捕されました。男性は、オキシコドン錠剤を密輸するつもりだったといいますが、押収された錠剤の主成分は、オキシコドンではなく、フェンタニル系の薬物でした(下記参照A)。
■鎮痛薬「ノルコNorco」のニセ錠剤
前述したように、最近カリフォルニア州で出回ったのが、ヒドロコドン(鎮痛薬・日本での規制区分は麻薬)錠剤のニセモノです。
■向精神薬のニセ錠剤
昨年は同じ地域でザナックス錠剤(抗不安薬アルプラゾラム・日本での規制区分は向精神薬)のニセ医薬品が出回り、オーバードーズ事故が発生し死亡者もでましたが、ここでもニセ錠剤からフェンタニル系の薬物が検出されています(下記参照B)。

外観がそっくりとはいっても、こうしたニセ錠剤が、正規の医薬品ルートに紛れ込んで流通するおそれは、まずありません。
しかし、医師の処方せんがなければ入手できないはずの医薬品が、インターネット経由で密売されたり、手から手へ売買されているヤミ市場に、こうしたニセ錠剤が紛れ込んで流通しているのです。
日本にも、こうしたニセ錠剤が流入しているかもしれないなかで、出所のはっきりしない処方薬には、これまで以上に警戒しないといけません。「処方せんなしで購入できる」「正規品のジェネリック」などとうたって、医薬品規制をかいくぐろうとする怪しげなサイトにも、注意が必要です。

●いつ動き出しても不思議ではない危険ドラッグの新局面
近年、米国で中毒事故を引き起こしているのは、主にフェンタニル系のアナログ物質を主成分にしたニセ錠剤です。原材料の粉末が中国から輸入され、米国内やメキシコで錠剤に加工されているといいます。

今年3月、米DEAはカリフォルニア州で稼働していた錠剤の密造施設を摘発したと発表しましたが、現場では多くの加工済み錠剤と、13キロに及ぶフェンタニルのアナログが押収されたといいます(下記参照C)。
9015年9月、米コネチカット州の連邦地裁で有罪判決を受けた男性は、ニセのオキシコドン錠剤を作ろうと、錠剤加工装置を中国から輸入したとして起訴されていました。インターネット上で知り合った相手から、加工装置とともに、原料の薬物粉末も購入したといいます。
ただし、この男性が「オキシコドン」といわれて買い入れた大量の粉末は、オキシコドンではなかったということです(下記参照D)。

危険ドラッグの世界で繰り返されてきた、イタチごっこが、またしても展開されています。フェンタニルはヘロインよりはるかに強力な合成オピオイドで、医師の処方によらない売買は禁止されています。ところが、法規制に引っ掛からない新型のアナログが、近年「研究用試薬」として次々に登場して、インターネット上で販売されているのです。
日本でも、2015年にはアセチルフェンタニル、2014年にはパラフルオロ・ブチルフェンタニルが指定薬物に追加されています。

しかも、原材料の薬物粉末だけでなく、どうやら、錠剤に加工する装置や錠剤の金型まで、インターネットを探せば、簡単に手に入るようです。
そういえば、危険ドラッグが出回るようになったころから、ヨーロッパ各地では、エクスタシー/MDMA錠剤として密売される錠剤にも、多様な新型薬物を含むものが発見されてきました。こうした錠剤の多くは、中国あたりから輸入された原料薬物を使って、ヨーロッパ内で錠剤に加工されるものが多いといいます。

その延長線上に、今度は米国で、処方薬のニセ錠剤が登場したわけです。
世界規模で拡大した危険ドラッグ禍は、とりあえずピークを超えましたが、危険ドラッグを生み出してきた製造会社や、インターネット上の売買ネットワークはそのまま残り、今も稼働しています。
次の新局面が、いつ拡大し始めるか、油断はできません。

[参照]
@「ノルコNorco」のニセ錠剤
abc News / FAQs about tainted Norco overdose deaths(March 30, 2016)
http://www.abc10.com/news/local/sacramento/faqs-about-tainted-norco-overdose-deaths/110590066
Aオキシコドンのニセ錠剤
DEAの報道発表:メキシコ国境でニセ錠剤を大量押収(April 15, 2016)
Hundreds of Counterfeit Oxycodone Tablets Seized at Port of Entry Contained Ultra-Deadly Fentanyl
http://www.dea.gov/divisions/sd/2016/sd041516.shtml
Bニセ向精神薬「ザナックスXanax」
CBS News / Fake Xanax blamed for woman's death(October 26, 2015)
http://www.cbsnews.com/news/fake-xanax-blamed-for-womans-death/
C米司法省の報道発表:ニセ錠剤密造施設を摘発(March 16, 2016)
DEA Agents Arrest Four Men on Federal Charges of Distributing Narcotics, Including Pills Manufactured with a Fentanyl Analogue
https://www.justice.gov/usao-cdca/pr/dea-agents-arrest-four-men-federal-charges-distributing-narcotics-including-pills
DDEAの報道発表:中国から錠剤加工機を買った男性有罪に(September 23, 2015)
Bridgeport Man Who Purchased Tableting Machine to Produce Oxycodone Pills Sentenced
http://www.dea.gov/divisions/bos/2015/bos092315.shtml

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