弁護士小森榮の薬物問題ノート

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zoom RSS スノーボード選手がコロラド遠征中に大麻を使用

<<   作成日時 : 2016/04/27 18:00   >>

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全日本スキー連盟所属のスノーボード選手が、昨年、米コロラド州に遠征した折に、大麻を使用したことが発覚し、連盟は処分を検討していると伝えられました。
遠征先がコロラド州となると、現地で合法大麻を入手したのかなと連想してしまうのですが・・・。

<ニュースから>*****
●強化指定の未成年男子選手 昨年米遠征中に大麻使用
全日本スキー連盟(SAJ)の強化指定を受けている未成年のスノーボード男子選手が、昨年12月の米国コロラド州への遠征中に大麻を使用していたことが26日、関係者への取材で分かった。SAJは27日に臨時理事会を開いて処分などを協議する。未成年のため氏名は公表しない方針だが、国際大会上位の実績がある別の未成年選手も関与した疑いがあり、SAJが調査している(以下省略)。
毎日新聞2016年4月27日
*****

スポーツ選手が選手として活動しているなかでの大麻使用が問題になっているとすれば、まず、ドーピングの観点や、スポーツ選手としての倫理規定に反する行為があったかどうかが問われるべきでしょう。

全日本スキー連盟がどのような規定を定めているかはわかりませんが、同連盟の上部組織にあたる日本体育協会の倫理規定ガイドラインには、「アンチ・ドーピング及び薬物乱用防止について」という項目が設けられ、アンチ・ドーピングの教育・啓発活動の積極的な展開を求めるとともに、麻薬や覚せい剤などは、いかなる目的であっても絶対に使用しないこと、としています。

●大麻が合法化されている地域では
大麻を使用した場所が、娯楽大麻が合法化されているコロラド州であったことから、その行為が「合法」であるかどうかに関心を示す方も多いでしょう。コロラド州では、娯楽用大麻や医療用大麻の認可販売店が営業し、また21歳以上の成人であれば自己使用のために6本までの大麻草を栽培することができます。21歳以上の成人は1オンスまでの大麻を所持することが認められているのです。

21歳以下にとっては、娯楽用大麻や医療用大麻を購入することはできず、栽培することも、少量を所持することも認められていません。
とはいえ、仮に子どもが大麻を使ったとしても、基本的には健康上の問題や社会ルール違反として対処されているようです。

いっぽう、米国の連邦法では大麻所持は依然として犯罪とされていることから、連邦政府関連の職場や全国的な企業などでは、社内規定で大麻の使用を禁止し、職場で行う薬物検査で大麻陽性となった場合には、従業員を配置転換することや時には解雇を定めている例もあります。
また、大麻影響下で自動車を運転することを禁じ、違反者に対しては免許の停止などを含む罰則が科される法律も制定されました。

大麻が合法化されたとはいえ、それぞれの立場に応じて、責任ある対応がもとめられているわけです。

●ちなみに、国外犯罪規定とは
しかし、コロラド州はどうあれ、日本では大麻所持は違法です。いくらか法律に詳しい人は、こうした問題が起きると、日本の薬物管理法には「国外犯処罰規定」と呼ばれる条項があり、国外で犯罪を行って帰国した日本人は、国内法によって処罰されると定めていることに思い当たるかもしれません。

結論から先にいえば、このケースでは、日本の大麻取締法によって処罰を受けることはないでしょう。そもそも大麻取締法には、使用罪の規定がなく、仮に本人が外国で大麻を所持したことを認めたとしても、本人の言葉以外に犯罪が行われたことを証明するものがないのですから、その大麻所持を立件しようもありません。

ここでいう「国外犯処罰規定」とは、たとえば、大麻取締法では24条の8に定められているもので、麻薬等の輸入、輸出、製造、譲渡、所持等の罪について、国外で行った違法行為について日本国内で処罰することができるとする規定です。
これは、わが国が、国連のいわゆる麻薬新条約を批准したことに伴う国内法の整備として、1991(平成3)年の麻薬取締法、大麻取締法、覚せい剤取締法の一部改正時に設けられたものです。ただし、わが国では犯罪とされている麻薬の施用・受施用罪や、覚せい剤の使用罪については、国際条約が犯罪として取り扱うことを要求していないため、国外犯処罰規定は設けられていません(大麻取締法に使用罪の規定がないことは前述したとおりです)。

なお、麻薬新条約は、薬物犯罪が国の枠を超えて国際的規模で行われるところから、国際的な取締まりを強化することを目的として、外国で行われる薬物の取引や輸出入といった薬物犯罪に対しての処罰を求めているものです。この条項は、国際的な薬物取引に対する取り締まり強化を意図して新設されたもので、末端使用者に対する取り締まり強化のための導入ではありません。

[参照]
@公益財団法人日本体育協会及び加盟団体における倫理に関するガイドライン
http://www.japan-sports.or.jp/Portals/0/data0/about/pdf/plan02.pdf
A大麻取締法(e-Gov)該当箇所は第24条の8
http://law.e-gov.go.jp/cgi-bin/idxselect.cgi?IDX_OPT=1&H_NAME=%91%e5%96%83%8e%e6%92%f7%96%40&H_NAME_YOMI=%82%a0&H_NO_GENGO=H&H_NO_YEAR=&H_NO_TYPE=2&H_NO_NO=&H_FILE_NAME=S23HO124&H_RYAKU=1&H_CTG=1&H_YOMI_GUN=1&H_CTG_GUN=1

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
今回、大麻使用が発覚した選手が未成年者であったという事で、連盟の処分方針は仕方のないことかと思います。

しかし、この件を報道するにあたって、大麻を嗜好品として認める考え方がある以上、ドーピングや薬物乱用についての項目に絡めて語ることには違和感を感じます。
コロラド州での大麻使用が反社会的な行為であるかのような報道は避けてほしいと思います。

世界的に大麻に関する肯定的な研究結果が多数報告され、大麻に対してネガティヴなイメージが薄れている現状で、未成年者への大麻常習の影響を正しく伝える事と伴わせて、もう一歩踏み込んで、何故大麻の規制緩和が進んでいるのか考えるきっかけとなるような報道が為されるように望んでいます。
neuromancer
2016/04/27 22:29
国外犯罪規定について質問があります。
海外で診察し医療大麻を服用することは
法律上違法行為になるんでしょうか?
猫次
2016/05/02 09:16

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