弁護士小森榮の薬物問題ノート

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zoom RSS 採尿手続に重大な手落ちで尿の鑑定書を排除

<<   作成日時 : 2016/03/14 22:32   >>

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5月16日加筆*****
本日、下記の事件で被告人に無罪が言い渡されたというニュースがありました。
インターネット版の新聞報道は、次のように伝えています。

<ニュースから>*****
●覚醒剤「尿すり替えた疑い」と無罪 判決「捜査ずさん」
判決は「男性の尿が何者かにすり替えられるなどして、別人の尿が鑑定された疑いが否定できない」と指摘。警視庁の捜査を「極めてずさんで、信用できない」と厳しく批判した。
・・・判決は、捜査をいったん放置していた町田署の警察官が再び捜査を進めることになり、「被告の尿が見当たらず、証拠を紛失したことを取り繕うため、警察内部の何者かが白地の封がされた尿入りの容器を作った可能性がある」と指摘した。
朝日新聞デジタル(2016年3月16日13時29分)
http://www.asahi.com/articles/ASJ3J363TJ3JUTIL004.html
*****

この事件の捜査には、見過ごすことのできない重大な問題があったのかもしれません。
もう少し、情報収集してみるつもりです。
*****

東京地裁立川支部で審理されている覚せい剤事件で、尿の鑑定書を証拠として採用しなかったと報じられています。尿の鑑定書は、覚せい剤使用を証明する決め手となるもので、これが採用されないとすれば、その他の間接証拠だけで、被告人の覚せい剤使用を認定することは、難しくなります。

<ニュースから>*****
●覚せい剤取締法違反裁判で警視庁鑑定の尿、被告の尿でない可能性
東京地裁立川支部で開かれた覚せい剤取締法違反の裁判で、警視庁が鑑定した尿が、被告本人の尿ではない可能性があることがわかった。
・・・検察側は、覚せい剤の陽性反応を示す尿検査の鑑定書を証拠として提出していたが、被告側は、鑑定結果に異議を訴えていた。
被告は、警視庁町田署に、2015年5月に逮捕されたが、採尿容器は、本人の署名がない白紙のシールで閉じられ、鑑定に回されていたという。
このため、裁判所は、鑑定された尿が、被告本人の尿でない可能性があると判断し、鑑定書を証拠採用しないことを決めた。
フジテレビ系(FNN) 2016年3月14日 12時53分
*****

●採尿手続きは厳格に決められている
覚せい剤事件の疑いがある被疑者は、原則として、尿の提出を求められ、採取された尿は所定の手続きを経たうえで科学捜査研究所に送られ、科学的な方法で鑑定されます。

この採尿手続きは厳格に決められていて、その過程は写真で撮影され、後日正式な報告書にまとめられます。
採尿には決められた用品を用い、その取扱いも細かく定められています。
たとえば、上記のニュースで問題になったシール(正式には「封かん紙」といいます)は、採取された尿に後で細工を加えることがないよう、採尿容器を封かんするためのものですが、被疑者自身が署名した封かん紙を採尿容器に貼り、さらに、封かん紙がはがされることを防ぐための割り印として、何か所かに被疑者が指印を押します。
ときには、被疑者が封かん紙への署名や指印を拒否することもありますが、その場合の対応も決められています。

ここまで厳格に定めているのは、提出された尿が、まちがいなく被疑者から採取されたものであり、その後、誰も内容に手を加えていないことを、きちんと保証する必要があるからです。

それでも、捜査現場では想定外のことも頻繁に発生します。しかも担当する警察官は多くの事件を抱えて忙しく、手続きの途中でほかの用件に手を取られたり、手続きを中断することもあるかもしれません。こうした場面で、ときに小さなミスが起きることはありがちです。

しかし、被疑者の署名のない封かん紙を貼って(指印もなかったのでしょうか)、そのまま手続きを進めてしまったというのは、驚きです。
しかも、捜査員だけでなく、鑑定にあたる科学捜査研究所の研究員にも、手落ちがあったのでしょうか。鑑定に回された尿は、開封前に容器の外観を観察し、異常がないか確認することになっています。封かん紙に署名がなく、割り印するための指印もなければ、この段階で気づき、しかるべき対処がされるはずなのですが、そのまま鑑定が行われたようです。

このように重大な手抜かりがあった場合は、鑑定された尿が、被疑者から採取されたものであり、採取後はだれも内容に手を加えていないという前提条件が崩れることになり、鑑定によって尿中から覚せい剤が検出されたとしても、それを確実に被告人と結びつけることができなくなるため、鑑定書は、被告人の覚せい剤使用を証明する証拠として認められないのです。

覚せい剤事件の裁判では、採取された尿をめぐって、様々な争いが繰り返されてきました。尿を提出した当事者が、自分が提出した尿が他人のものとすりかえられた、容器に異物を混入された、といった訴えを口にすることも珍しくありません。
でも、多くの場合、手続きに多少の手落ちがあったとしても、その影響は少ないとして、被告人に有罪が宣告されてきました。混乱しがちな捜査現場の実情を考慮してのことでしょうが、弁護士の立場から見ると、裁判所はいささか警察に甘すぎる気もしています。

見方によっては、たかが手続上のミスともいえますが、こうした手続きが正常に行われなければ、刑事裁判で正しい判断を下すことはできません。基本的なところで重大な誤りがあった場合は、裁判所の判断も厳しくなって当然でしょう。どのような判決がくだされるか、注目しておきましょう。

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内 容 ニックネーム/日時
杜撰の一言、上が意識高くても下がこうじゃね
ドラ田
2016/03/15 20:42

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