弁護士小森榮の薬物問題ノート

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zoom RSS 覚せい剤、簡易尿検査で誤認逮捕

<<   作成日時 : 2016/01/26 23:45   >>

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しばらく途絶えていた簡易検査による誤認逮捕が、茨城県で起きました。

<ニュースから>*****
●茨城県警が誤認逮捕 覚醒剤誤鑑定 女性釈放
茨城県警は25日、覚せい剤取締法違反(使用)容疑で緊急逮捕した女性(50)について、誤認逮捕だったと発表した。簡易鑑定で女性の尿から覚醒剤の陽性反応が出たが、県警科学捜査研究所が正式鑑定をした結果、覚醒剤ではなかった。県警は女性を約8時間後に釈放したが、女性は体調が優れず医療機関に入院しているという。
県警薬物銃器対策課によると・・・女性の言動などから薬物の使用を疑い、令状を請求して強制採尿して簡易鑑定を実施。陽性反応が出たため、女性を25日午前9時7分に緊急逮捕したという。
2016年1月26日 01:00産経ニュース
*****

●簡易尿検査と逮捕
覚せい剤使用事犯は、本来は、被疑者から採取した尿を科捜研で鑑定し、尿中に覚せい剤が検出された場合に、逮捕状をもって被疑者を逮捕するべきものです。鑑定には時間がかかるため、鑑定結果が出るまで被疑者を留め置くことはできず、採尿後はひとたび帰宅させ、鑑定結果が出た後に、あらためて逮捕状を請求して、逮捕することになります。実際、10年ほど前までは、こうした手続きが原則でした。被疑者に逃亡等のおそれがある場合には、急いで科捜研に尿を持ち込んで鑑定を依頼し(緊急鑑定)、電話で鑑定の結果を聞き合わせてから、逮捕したものです。

流れが変わり始めたのは、2006年頃のことです。
採尿後、警察官がその場で簡易検査(警察では「予試験」と呼ばれる)を行い、陽性反応となった場合は、覚せい剤使用の疑いが濃厚であるとして緊急逮捕が行われるようになったのです。
その背景にあったのは、精度の高い簡易検査キットが普及したことによって、尿中に含まれる覚せい剤などの検出が、簡便に、そしてかなり確実に行えるようになったことです。

ここで行われる簡易検査は、原理も手法も正式な鑑定とは大きく異なりますが、あくまでも、緊急逮捕の根拠となるレベルの確実性がなければなりません。もしも検査の手法や手順に問題があって、誤りが生じるなら、簡易検査の結果によって緊急逮捕するという現行の手続きは成り立たなくなるのです。

●危険ドラッグ以降、簡易検査は慎重になったが
それまで比較的安定していた簡易検査の信頼性が、近年になって、大きく揺らぐ事態が相次いだ時期がありました。危険ドラッグの流行によって、化学構造が極めてよく似た多様な薬物が出回り、簡易検査による誤認逮捕が相次いだのです。
この時期、問題が頻発したのは、簡易尿検査ではなく、発見された薬物に対する簡易検査だったのですが、誤判定による誤認逮捕が続いたことは、警察での簡易検査の取り扱いに変化をもたらしました。

このころから、簡易尿検査のやり方も、より慎重になってきたように思います。
たとえば、都道府県警の一部では、以前から、正式鑑定と同じガスクロマトグラフの原理を使った簡易検査装置が導入され、簡易検査に使われていますが、こうした装置の導入例が増えたと聞きます。
また、簡易検査キットを使う場合には、種類の異なるキットを2種類併用して、2重に検査を行っている例もあります。
さらに、結果の読み取りが微妙な場合は、判定を留保して正式鑑定の結果を待つといったケースも増えたように思います。

そのなかで、今回のような誤判定が発生したのですから、その意味はきわめて重大です。こうした問題は、とかく担当者の個人的な不注意が原因ととらえられることが多いのですが、エラーを招いた背景にまで踏み込んで原因を究明し、ぜひとも改善に結びつけてほしいものです。
さもないと、簡易尿検査の結果によって緊急逮捕するという現行手続の正当性が危うくなってしまいます。

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