弁護士小森榮の薬物問題ノート

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zoom RSS 税関での密輸摘発、減る覚せい剤、増える金地金

<<   作成日時 : 2015/11/16 13:45   >>

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このところ、覚せい剤密輸のニュースが途絶えていたところへ、関空での摘発が報じられました。
<税関の報道発表から>*****
●中国マカオ来航空旅客による覚醒剤密輸入事犯を摘発!!
大阪税関関西空港税関支署は、平成27年10月20日、中国マカオから関西国際空港に入国したドイツ人男性が、自身が携行するボストンバックに収納したリュックサックの背あて部分に隠匿した覚醒剤1,497.3グラムを密輸入しようとしたところを摘発し、大阪府関西空港警察署と共同調査の上、11月9日、関税法違反容疑で大阪地方検察庁に告発した。
大阪税関発表2015.11.12(下記参照@)  
*****

2015年に入ってから、覚せい剤密輸に関する発表が少なくなりました。警察庁が発表した今年上期の集計では、
■覚せい剤密輸の検挙状況
・検挙件数・・・・2014年上期67件 →2015年上期49件
・密輸入押収量・・2014年上期281.1s →2015年上期117.7s
と昨年同期と比べ、件数、押収量ともにかなり減少していました。
また、下期に入ってからも、税関や警察による密輸摘発の発表は、少ない状態が続いています。これが、薬物組織による覚せい剤密輸活動の沈静化を示しているのなら、たいへん喜ばしいことですが・・・。
しかしいっぽうでは、最近では、末端での覚せい剤密売価格がかなり低下していて、日本の密売市場には相当量の覚せい剤が出回っている模様です。
これまでの捜査手法では探知されにくい、新たな密輸ルートが動き出しているのかもしれません。

ところで、覚せい剤密輸の摘発が減少しているのと対照的に、このところ増加しているのが金地金の密輸です。
11月4日、財務省は、2014年7月〜2015年6月の1年間の関税等脱税事件に関する調査結果を発表しましたが、同期間中の金地金密輸事犯の処分件数が過去最高になったということです(下記参照A)。
そういえば、つい先日も、下関港で金地金20キロの密輸が摘発されたところです。
<税関の報道発表から>*****
●金地金密輸入事件を告発
門司税関下関税関支署は、平成27年10月22日、大韓民国から下関港に到着した活魚運搬車の運転手が、金地金を密輸入しようとしたところを発見・摘発し、門司海上保安部と共同調査の上、同年11月9日、本件を関税法、消費税法並びに地方税法違反で山口地方検察庁下関支部へ告発した。
嫌疑者は、金地金約20キログラムを自己の運転する活魚運搬車に隠匿し、下関港において同活魚運搬車を輸入する際に、金地金を隠匿していることを秘したまま、税関長の許可を受けずに輸入しようとするとともに、当該金地金に課される消費税及び地方消費税を免れようとしたが、輸入検査を実施した門司税関下関税関支署職員に該品を発見されたものである。
門司税関発表2015年11月9日(下記参照B)
*****

金地金を輸入する際には関税はかかりませんが、税関に申告し、8%の消費税を納付する必要があります。これを申告せずに密輸し、日本国内で売却すれば、消費税分が利益になるという計算です。消費税分と言っても、取引額が高価な金地金ですから、バカにできません。さらに為替格差やグレーな市場での仕入れといった要素も加味するなら、密輸による利益はかなりのものになるでしょう。

税関で発見された金地金の密輸事犯は、すべて航空機利用の旅行者によるものだそうです。スーツケースの内貼りの下に隠したり、ポケットを大量につけた特製ベストを着用したり、なかには皮膚に模したシリコンを腹部に装着し、その内側に金を隠したケースもあったといいます。
画像

↑税関の発表資料より、金地金密輸の隠匿事例(下記参照A)

この隠匿手口は、覚せい剤密輸の場合とそっくりです。しかも、金地金密輸の仕出し地のトップは香港、密輸覚せい剤の仕出し地としても常に上位にある土地。金地金の密輸と覚せい剤の密輸には、どこか共通した点が感じられます。とすれば、この両者の密輸を取り仕切る組織にも、共通点があるのでしょうか。

[参照]
@大阪税関の報道発表「中国マカオ来航空旅客による覚醒剤密輸入事犯を摘発」2015年11月12日
http://www.customs.go.jp/osaka/news/2015houdou.html
A財務省の資料「犯則調査トピックス」2015年11月4日
http://www.mof.go.jp/customs_tariff/trade/collection/ka20151104a_topics.pdf
B門司税関の報道発表「金地金密輸入事件を告発」2015年11月9日
http://www.customs.go.jp/moji/moji_houdou/topics/moji_houdou151109/moji_houdou151109.html

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内 容 ニックネーム/日時

訪日外国人観光客の来日者数が、目標の2000万人へ迫ろうとしています。
そんな中、政府は3000万人受け入れ体制へ目標変更。

各地の空港国際線では税関職員の疲労はピークに達していると思われます。

疲労気味の税関職員を騙して違法品を持ち込む人物を徹底的に摘発するため、多機能な高度化センサの導入が始まりそうです。

既に入国審査ゲート手前には、高度化サーモグラフ装置が設置され、高熱等の高体温人物が特定されます。

同じように人体の特徴を捉えるセンサが多数有ります。

例えば、人物の顔面血流から肌色を感知して脈拍数を測定したり、眼球の動きを正確に捉え、人の視線動向を検出します。

これ等のセンサは、違法品を持ち込む人物が、通関検査時に税関職員の目の前でいきなり脈拍数が変動したり、違法品を格納した手荷物の一部へちらっと視線を移したりする、顔面の機微な変化を正確に捉え検出します。

犯罪者心理に基づいた人口知能を組み合わせれば、さらに検出確度が向上します。

パリのテロ事件を踏まえて、空港ゲートでの徹底的な検査体制を望みます。


神流美 王井門
2015/11/23 01:12
同じ「きんせいひん」でも、覚醒剤・指定薬物などの「禁制品」よりは、「金製品」の輸入の方が、刑罰は軽いですからね。

しかし、地金の場合は発見されたときの違法性が明白となりますが、もし金貨として財布に入れて持ち込んだら、どうなるのでしょうね。
「金貨の持込みはいけないと知らなかった」と主張すれば、果たしてどうなることやら……
滅智蓮寺 熾
2015/12/04 01:04

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