弁護士小森榮の薬物問題ノート

アクセスカウンタ

zoom RSS 小学生が大麻を使用

<<   作成日時 : 2015/11/11 02:18   >>

ブログ気持玉 0 / トラックバック 0 / コメント 4

京都で、小学6年生の児童が、喫煙に関する学校での指導の際に、大麻を吸ったと教師に話したことから、警察も動き出したそうです。
近年では、少年の薬物問題は落ち着いた状況が続き、安心していたところへ、小学生の大麻使用という、想定外のニュースが伝えられ、驚いています。

<ニュースから>*****
●「大麻吸った」小6男児が衝撃の告白 京都の小学校教師に 府警、児相への通告検討
京都市内の小学6年の男児(12)が、通学する市立小学校の教師に「大麻を吸った」と話していることが9日、京都市教委などへの取材で分かった。学校側は市教委に連絡するとともに京都府警に通報。府警も事実関係の確認を始めた。府警によると、平成17年以降の過去10年間で大麻取締法違反で小学生が摘発された事例は全国的にないという。
関係者によると、京都市内の小学校の教師が10月中旬、小学6年の男児の様子が不審だったことから問い詰めたところ、男児は「たばこを吸っていた」とした上で、「大麻を吸ったこともある」と説明した。
大麻吸引についての男児の説明は経緯や方法などがある程度、具体的だったという。事態を問題視した学校側は、男児から説明を受けた日に府警に相談、市教委にも報告した。
府警などによると、男児の周囲から大麻草などの薬物は発見されていない。府警は事実を確認できれば児童相談所(児相)への通告を検討する。(以下省略)
産経WEST2015.11.10 06:00
*****

●男児の今後の処分は
この事件に関して、今後の処分はどうなるのか、といった質問を相次いで受けて、さて・・・と答えに困っています。
まず、この男児の年齢が12歳だという点です。刑法は「14歳に満たない者の行為は、罰しない(41条)。」としているので、刑罰法規に触れる行いをしたとしても、刑事責任を問われることはありません。もし、14歳に満たない少年が犯罪行為をした場合は、触法少年として、少年法による手続きを受けることになります。

しかし、報道によれば、この事案では大麻を吸ったことがあると本人が話しているけれど、男児の周辺から大麻は見つかっていないそうです。もしも大麻が発見されれば、大麻所持ということになり、14歳以下の触法少年として取り扱われるのですが、本人が話しているだけでは、犯罪として取り扱うことはできません。この男児は、触法少年には当たらないことになります。

警察は、少年から事情を聞き、事実が確認できれば児童相談所への通告を検討するとのことです。これは・・・ぐ犯少年ということになるのでしょうね。
ぐ犯少年とは、少年法3条第1項3号が規定する、保護者の正当な監督に服しない、正当な理由がないのに家庭に寄り付かない、いかがわしい場所に出入りするなどという一定の事由があり、その性格や環境から見て、将来罪を犯すおそれがある少年をいいます。
罪を犯す虞(おそれ)のある少年という意味で「虞犯少年」と呼ばれますが、虞の文字が当用漢字にないため「ぐ犯」と表記されています。

警察がぐ犯少年を補導した場合、少年の年齢によってその取扱いが異なっています。
少年事件は原則として家庭裁判所に送られ、少年法による措置がとられるのですが、14歳未満のぐ犯少年については、少年法による措置より児童福祉法上の措置が優先されるので、警察が14歳未満のぐ犯少年を補導した場合は、児童相談所に送致・通告されます。
14歳以上18歳未満の場合は、事案によって児童相談所または家庭裁判所に送致・通告され、
少年が18歳以上であれば、事件は家庭裁判所に送致・通告され、少年法による手続きがとられます。
画像

↑少年事件処理手続概略図
総務省「平成26年版 子ども・若者白書」より転載

●少年の動きは薬物使用動向のバロメーター
世界の違法薬物で、最も使用者が多いのが大麻で、特に欧米では、圧倒的な第一位を占め続け、しかも使用者は増加傾向にあります。
日本でも、大麻事犯の検挙者は、2000年ころから若者を中心に増加傾向を見せていましたが、2010年に大学生大麻問題が話題になり、社会的な非難が急速に強まったことから、増加は止まりました。その後も、危険ドラッグ拡大の影響を受けたのか減少傾向が続き、数年間は検挙者が少ない状態が続きました。
しかし、危険ドラッグ市場が急速に縮小するのに呼応して、2014年下期には大麻事犯の検挙者が増加に転じ、2015年上期も増加が続いています。
画像

↑大麻事犯検挙者の推移と年齢構成
警察庁が発表した各年度の「薬物・銃器情勢」のデータに基づき筆者がグラフ化

この動向を引っ張っているのは、10代〜20代の青少年層です。
上のグラフをみると、増加期には青少年層の割合が高く、全体の60〜70%近くを占めていたものが、減少期には一転して青少年層が急減していることがわかります。2014年、大麻事犯検挙者が再び増加に転じたとき、青少年層の割合も増え始めています。この状況から推測すると、大麻の増加トレンドは今後も続きそうです。

いま米国では、大麻合法化の流れが動き出し、すでに5州で娯楽用大麻を許容する州法が成立し、コロラド、ワシントン、オレゴンの3州では認可された販売店での販売も開始されています。
若者は、こうした時代の空気を敏感に感じ取っていることでしょう。

でも、年少者にとって大麻使用の害がとくに大きいことは、あまり知られていません。大麻合法化を主張する人たちでさえ、年少者は大麻を使うべきではないと発言しているのです。いまこそ、成長期の子どもたちと大麻の問題について、確かなメッセージを発信することが必要だと思います。
これからの大麻問題と向き合っていくために、私たち大人の側は、もっと勉強しなくてはなりませんね。

[参照]
@総務省「平成26年版 子ども・若者白書」
http://www8.cao.go.jp/youth/whitepaper/h26honpen/
上記の図は、図表目次第2-3-9図少年事件処理手続概略図の一部
http://www8.cao.go.jp/youth/whitepaper/h26honpen/b2_03_01.html#z2_3_09
A警察庁刑事局組織犯罪対策部薬物銃器対策課「平成26年の薬物・銃器情勢・確定値」
http://www.npa.go.jp/sosikihanzai/yakubutujyuki/yakujyuu/yakujyuu1/h26_yakujyuu_jousei.pdf
Bぐ犯を含む少年の補導についての詳しいデータ
警察庁警察庁生活安全局少年課「平成26年中における少年の補導及び保護の概況」
http://www.npa.go.jp/safetylife/syonen/hodouhogo_gaikyou/H26.pdf

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ

トラックバック(0件)

タイトル (本文) ブログ名/日時

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(4件)

内 容 ニックネーム/日時
そんな大騒ぎするほどのことではないと思うんですけどねぇ・・・小6になればタバコ吸ったり飲酒したり万引きしたりし始める年頃だと思いますし。それが大麻だったというだけの話ではないでしょうか。万引きするほうがよっぽど将来的に危ない子供のような気もしますが、どうなんでしょうね。本文中にある確かなメッセージとは具体的にどのようなものなんでしょう。ダメ、ゼッタイみたいな嘘で洗脳でもするのでしょうか?日本人の薬物に対する拒絶反応は度を超えているようにも感じてしまいます。
lol again
2015/11/11 17:45
経済に支障を来すトルエン、放射能は野放し、
児童ポルノ、アルコールもタバコも然り、

国民や子供を守る気などなし、カネカネカネカネカネ優先。
日本のシステムの歪みを隠す論点のすり替えでしかない。
政治屋、官僚、既得権益をもたらさないものは即禁止。

守りたいのは現システムによる利益。



m
2015/11/11 23:49
医療大麻の主要成分であるカンナビジオールは有用とされ研究が多くなされていますが
THCは子供だけでなく大人にも短期記憶に恒久的な弊害を与えます

大麻は体に悪いと認識している人は多いでしょう。反対に、大麻の有用性を論拠として、その規制を撤廃させようと多くの人が日本でも努力している人達もいます。
いずれにしろ、今回の件で日本人の大半は大麻について何かしらの関心を以前より持ったのではないでしょうか。

しかし、医科学的事実については多くの人が不正確な認識を持ったままです。何故薬物がいけないのかについて子供ではなく大人が知りたいと思った時に、子供の時に見せられた資料以上に詳細で有名で手軽で科学的に正しさが証明できる資料を見ることが今の世の中でできるでしょうか。科学技術が進歩しモラルや情報リテラシーが個々に問われる昨今、それこそが必要なのだと感じています。
唐沢
2015/11/12 21:38
アメリカの14州とヨーロッパでは大麻を治療薬として承認しているそうです。医師の管理のもと使用すれば高い治療効果が得られるのではないでしょうか?
日本人の女性の名前に麻という漢字をよく使いますが、それは戦前、大麻が良い薬草だったからではないでしょうか?本当の事が知りたいです。私は好奇心の塊!
素朴な疑問
2015/11/13 11:35

コメントする help

ニックネーム
本 文
小学生が大麻を使用 弁護士小森榮の薬物問題ノート/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる