弁護士小森榮の薬物問題ノート

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zoom RSS 危険ドラッグ両親殺害事件、求刑は懲役30年

<<   作成日時 : 2015/11/09 22:53   >>

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昨年10月、横須賀市で起きた危険ドラッグ関連の両親殺害事件、横浜地方裁判所で裁判員裁判による審理が行われていましたが、きょう午前中の公判で、検察官による論告求刑と、弁護人による弁論が行われました。

<ニュースから>*****
●危険ドラッグ吸い両親殺害、次男に懲役30年求刑
神奈川県横須賀市で、危険ドラッグを吸ったうえ両親を殺害したとして殺人などの罪に問われた次男の裁判で、検察側は懲役30年を求刑しました。
U被告(37)は去年10月、横須賀市の自宅で、父親の盛男さん(当時60)と母親の真理子さん(当時61)を刃物で刺して殺害した殺人罪と、犯行の前後に危険ドラッグを吸引したとする薬事法違反の罪に問われています。
9日、横浜地裁で開かれた論告求刑公判で、検察側は「危険ドラッグの使用を父親に叱責されたことに対する逆恨みの犯行」で、「動機が身勝手で悪質」と指摘し、懲役30年を求刑しました。一方、弁護側は「責任能力は認められない」などとして、無罪を主張しました。
TBSニュース11月9日11:23
*****

ここ数年、危険ドラッグに関連して、多くの事件や事故が発生し、人命が失われてきました。なかでも、この事件は、ひときわ心に重くのしかかるものです。事件の根底にあるのは、どこにでもある親子の確執のようにみえます。そこに、危険ドラッグの作用がどのように影響していたのか、気になっています。

薬物が関係した事件では、普通ならとても考えられない、異様な展開となることも珍しくありません。殺人に至るほどの動機が見出しにくいことも、よくあります。さらに厄介なことに、薬物の影響下で犯行が行われた場合には、その精神作用が消失した後、当人の記憶が消失してしまうこともあるといいます。
しかし、成り行きの異様さや、当人の記憶がないことが、そのまま心神喪失の判断に直結するわけではありません。
薬物の急性作用が関係した事件の場合、責任能力の有無や程度を見極めることは容易ではないでしょう。とくに、その薬理作用がまだ十分に解明されていない危険ドラッグが関係したケースは、精神鑑定にあたられた医師にとっても、裁判官や裁判員のみなさんにとっても、薬物による影響を見極め、責任能力について判断するのは大変だと思います。

この事件については、公判が開始されてからの経緯がほとんど報道されず、私は、重要な点をほとんど把握できていないので、現時点で見解めいたことを述べることは差し控えておきます。判決書が公表されるのを待ちたいと思います。

いっぽう、裁判での審理とは少し異なるところで、私の脳裏にひっかかっている点があります。どこにでもある家族間の確執が、このような悲惨な事件になってしまう危険性を察知し、防ぐことができなかったのかという問いかけです。

報道された検察官の冒頭陳述によれば、被告人は2008年ころから危険ドラッグを使うようになり、2013年春には急性薬物中毒で入院したことがあるということです。当時の担当医師は、依存症専門病院を紹介しようとしたが、母親から「家族で話し合って決める」と言われ、紹介状を作成しなかったといいます。
また、被告人は、以前から両親に危険ドラッグの使用をやめるよう叱責されており、事件当時、勤務先を解雇されて危険ドラッグを使用したところ、父親にとがめられたとされています。

私がいつも力説していることのひとつが、薬物が効いている状態で相手をとがめない、ということです。わが子の薬物使用を案ずる親は、何度も意見し、時には強く叱ったりするのですが、子どもの方はそのたびに「やっていない」と否定したり、「証拠があるのか」と開き直ったりすることでしょう。親の方は、薬物を使っている現場を押さえて強く叱ろうとしがちです。
でも、これは百害あって一利なし。薬物が効いている状態では、親の意見が心に響かないばかりか、過剰な反発を引出して暴力沙汰になったり、家出につながったりすることもあります。
子どもが薬物を使っていると気づいたら、まず、その作用が消えて平常に戻るまで待って、落ち着いた状態でゆっくり話し合うことが必要なのです。いま悩んでいる人たちに、こうした情報がもっと届いてほしいと願います。

わが子の薬物使用は、親にとって、とても厳しい問題です。薬物使用をめぐる親子の確執を悲劇に終わらせないために、途方に暮れたときに、いつでもSOSを発信できる相談相手がすぐに見つかることが、なにより重要ではないでしょうか。
実は、こうした相談相手が、少ないながら各地域にあるのですが、残念ながら、それを知らせる努力がまだ不足しているようです。この記事をご覧になっているなかに、わが子の薬物問題で悩んでおられる方があったら、ぜひ、お住まいの都道府県の精神保健福祉センターのコンタクトしてみてください。
そして、相談を受ける側の皆様、ぜひ、もう一歩踏み込んで話してみてください。

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