弁護士小森榮の薬物問題ノート

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zoom RSS 今度はタイ、覚せい剤で日本人男性逮捕

<<   作成日時 : 2015/10/26 05:17   >>

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つい先日、マレーシアで覚せい剤を密輸したとされた日本人女性に対する死刑判決が確定したばかりだというのに、今度はタイから、覚せい剤に関係して日本人男性が逮捕されたというニュースが届きました。

<ニュースから>*****
●覚せい剤所持容疑など邦人4人逮捕=警察がおとり捜査−タイ
【バンコク時事】タイ警察は24日、販売目的で覚せい剤約2.3キロを所持していた容疑などで日本人の男4人を逮捕したと発表した。警察は覚せい剤入手ルートを中心に調べを進めている。
逮捕されたのは茨城県出身のI容疑者(34)ら。警察によると、I容疑者は23日、おとり捜査の警察官とバンコクの飲食店で待ち合わせ、覚せい剤を持って現れたところを逮捕された。また、同容疑者の所持品から拳銃1丁が見つかったという。
I容疑者は取り調べ中、釈放の見返りに300万バーツ(約1000万円)の賄賂を提示。同容疑者から連絡を受けて現金100万バーツを持って警察を訪れた日本人の男3人を逮捕したという。(以下省略)
時事通信(2015/10/24-15:17)
http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2015102400156
*****

Japan Timesの英文ニュースによると、I容疑者は日本の暴力団と関係があるとみられており、昨年以来日本各地の空港で立て続けに摘発されているタイ人女性を運び屋にした覚せい剤密輸事件との関係についての疑いも浮上しているといいます。
日本では、これまで、タイからの覚せい剤密輸の摘発は比較的少なかったのですが、昨年は唐突に、日本各地の空港で覚せい剤密輸で摘発されるタイ人が増え始め、2014年中で30人にのぼりました。30人中25人までが20〜30歳代の女性だということです。(下記参照@)

日本で流通する覚せい剤の供給地がどんどん拡散していくなかで、各地で覚せい剤に関わって逮捕される日本人が増えています。
外務省の統計によると、2013年中に外国で「麻薬」事件で検挙された日本人は39人、その80%近くがアジア地域の国での事件だということです。なお、この数字は、日本の在外公館が邦人援護事案(犯罪加害・麻薬)として把握している数です。(下記参照A)
画像

↑外国で薬物犯罪に関わって検挙された日本人
 外務省、2013年版邦人援護統計より

薬物犯罪に対して厳罰で臨む中国や東南アジア地域では、薬物の密輸や大量の売買事件では、死刑や終身刑の判決が言い渡されることもあります。覚せい剤を求める空しい欲求の陰で、多くの人生が危険にさらされていることを思うと、私は落ち着かなくなります。

●薬物密売事犯、タイでは死刑もありうる
タイも、マレーシアやシンガポールなどと同じように、薬物犯罪に対する最高刑は死刑とされており、実際に、薬物の大量取引や密輸などで死刑判決を言い渡されるケースもあります。
タイの麻薬法Narcotics Act B.E.2522(1979)では、覚せい剤はヘロインなどとともに、カテゴリー1薬物として最も厳しい罰則が定められています。
比較的軽微な犯罪とされる、少量の覚せい剤の単純所持罪に対する罰則は、1年以上10年以下の拘禁刑もしくは2万バーツ以上20万バーツ以下の罰金またはそれらの併科となっており、一見すると日本の場合とほぼ同程度ですが、しかし、法文上、純粋な物質としての覚せい剤の量が375ミリグラム(0.375グラム)を超えた場合は、処分目的での所持とされ、終身刑や死刑が科されるかもしれない悪質な犯罪とみなされます。
ここでいう処分目的とは、販売、分配、譲渡、交換などをさすとされ、日本でいう営利犯に近いものです。 

■製造、輸入、輸出の罪・・・終身刑および100万バーツ以上500万バーツ以下の罰金
■処分目的での製造、輸入、輸出・・・死刑
■処分または処分目的での所持・・・純粋な物質としての量が20グラムを超えた場合は、終身刑および100万バーツ以上500万バーツ以下の罰金、または死刑
(下記参照B)
上記のように、タイの麻薬法は大変厳しいものですが、近年では死刑判決の言い渡しは比較的少なくなっており、国際人権団体の報告によると、2011年中に薬物犯罪での死刑判決は9例だったということです。
また、2012年時点で死刑確定者は245人いますが、2009年以降死刑執行が行われていないということです。(下記参照C)

[参照]
@タイ人女性による覚せい剤密輸の急増・
財務省「平成26年の全国の税関における関税法違反事件の取締り状況(平成27年2月20日)詳細」
http://www.mof.go.jp/customs_tariff/trade/safe_society/mitsuyu/cy2014/ka20150220a.htm
A外務省の邦人援護統計・2013年版
http://www.anzen.mofa.go.jp/anzen_info/pdf/2013.pdf
Bタイの麻薬法・英語版
http://forum.awd.ru/files/30/10/3215_3ba952d6997dea64e40c07bbc4b18cbc
C国際人権団体の薬物犯罪に対する死刑の報告書・2012年版
International Harm Reduction Association, The Death Penalty for Drug O¬ffences: Global Overview 2012 ―Tipping The Scales for Abolition
http://www.ihra.net/contents/1290

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多額な褒賞金を目的に、国民の密告制度が浸透する、現在のアジア新興国での違法品市場は、日本人には全く見えない、巨大な蜘蛛の巣に覆われていると思われます。

自ら見えない蜘蛛の巣に入り込むと、脱出には困難を極めるでしょう。


特にアジア通貨危機以降のタイランドは、賄賂などの度重なる政権交代により国家がとても不安定に感じます。
国内は限りなく無政府状態に近く、警察官の不法な金品要求が絶えません。

例えばタクシーに乗ると、背後から近づいた白バイ警官から、10キロ程度のスピード違反を指摘され、車内で現金を要求されたりします。

もし違法品市場へ手を触れたら、警察官とグルになった褒賞金目当ての身近な現地人を敵に回すことになり、超恐ろしくハイリスクな応報に見舞わることでしょう。




神流美 王井門
2015/10/26 21:16

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