弁護士小森榮の薬物問題ノート

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zoom RSS 増えてきた、液体状での覚せい剤密輸

<<   作成日時 : 2015/06/04 10:54   >>

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ラー油に擬装して、液体状の覚せい剤を密輸し、それを国内の拠点で製品化していたグループの存在が明らかになりました。
<ニュースから>*****
●ラー油装い覚醒剤密輸、中国人逮捕…液赤く着色
中国から東京都内の台湾料理店宛てに空輸された「ラー油」の瓶40本の中から、覚醒剤の液体計約8リットルが見つかり、東京税関に押収されていたことが、捜査関係者への取材でわかった。
税関から通報を受けた警視庁が捜査したところ、この料理店に出入りしていた中国人の男の自宅から、覚醒剤の粉末や製造マニュアルを発見。同庁は、男が中国から液体を仕入れて覚醒剤の粉末を製造しようとした疑いがあるとみて調べるとともに、背後に大規模な密造・密売グループが存在するとみて解明を進めている。以下省略・・・
読売新聞2015年6月3日
http://www.yomiuri.co.jp/national/20150603-OYT1T50021.html
*****

覚せい剤密輸といえば、手荷物や貨物の中に白い粉を隠すのが一般的な手法です。でも、密輸の玄関口にあたる税関では、X線を使った大型検査機器の導入など、密輸を阻止する体制が進化していて、入念に隠した覚せい剤が発見されることも増えてきました。
そこで、最近になって急速に広まっているのが、覚せい剤を液体状にして密輸する手口です。液体状での密輸は、X線などを使った検査装置ではみつけにくいため、税関検査での摘発を警戒する密輸グループが、最近では、この手口を使う例が増えているのだといいます。過去記事でも何度か触れましたが、米国のメキシコ国境では、液体状の覚せい剤(メタンフェタミン)の密輸摘発が大幅に増加しています。
液体状の覚せい剤は、瓶詰や缶詰の食品や日用品などに擬装されたり、業務用サイズのボトルに入れられて化学製品を装ったり、自動車のガソリンタンクを利用した手口も報告されています。
世界のどこかで新しい密輸手口が登場すると、その情報は瞬く間に各地の密輸グループに使わるようで、日本でも、液体状での覚せい剤密輸の摘発例が、目につくようになってきました。

液体状で密輸された覚せい剤は、国内に持ち込まれた後、再結晶させるなどの工程を経て、白い粉の状態にしなければなりません。最終工程は、比較的簡単なものとはいえ、多少の器具や材料を揃える必要があり、それなりのノウハウも必要です。
米国では、ごく最近、ジョージア州アトランタ郊外で、メタンフェタミン加工拠点が摘発され、1000万ドル相当を超える大量のメタンフェタミンが押収されたというニュースがありました。
[参照]
アトランタのニュースサイトに掲載された覚せい剤加工拠点摘発のニュース
ニュースビデオもあります
Largest raid in Atlanta’s history nets more than $10.8M in meth(March 26, 2015)
http://www.ajc.com/news/news/one-person-arrested-in-million-dollar-atlanta-meth/nkfnp/

ところで、液体状の覚せい剤に加工を加えて結晶状(白い粉)の覚せい剤に作り替える行いは、覚せい剤取締法では、覚せい剤の製造にあたります。覚せい剤取締法は、「覚せい剤を精製すること、覚せい剤に化学的変化を加え、又は加えないで他の覚せい剤にすること、及び覚せい剤を分割して容器に収めること」も覚せい剤の製造に当たるとしているのです(2条2項)。
営利目的での違反者に対しては、無期若しくは3年以上の懲役(1千万円以下の罰金)を科すことが定められていますが、これは、覚せい剤を営利目的で輸入した者に対する罰則と同じで、覚せい剤取締法の罰則として最も重いもので、裁判員裁判の対象事件になります。
 
今回のラー油事件では、最終加工のための拠点を設けていたとなれば、ある程度の規模のグループが継続的に密輸を行い、製品化した覚せい剤を売り渡す構えで取り組んでいたのでしょう。
続報で、捜査陣は、指示役とみられる中国人男性について覚せい剤の営利目的輸入で逮捕状をとったと伝えられています(被疑者は中国に出国しているとのことですが)。グループの背景にも捜査が及んでいる様子なので、いずれ、この組織の全貌があかされることになるでしょう。

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