弁護士小森榮の薬物問題ノート

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zoom RSS 大麻オイルあるいは液体大麻について

<<   作成日時 : 2015/02/23 23:59   >>

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前記事で触れたように、2014年中に税関で、液状の大麻の摘発が11 件と相次いだと報告されています。これまで、日本ではほとんど見かけなかった液体大麻ですが、そういえば、昨年頃から時おりニュースに登場するようになりました。
■2014年3月、大阪税関は、国際フェリーで中国から密輸しようとした液状大麻を発見。外国人男性を告発しました(下記参照@)。
■2014年11月、香川県で約800株の栽培が発覚、逮捕された男性2人は、大麻オイルを製造していたといいます(下記参照A)。
■2014年12月、大麻成分を含む電子タバコ用液体を米国から密輸したとして、米国籍男性が逮捕されました(下記参照B)。

液状の大麻・・・日本では、正式には「液体大麻」と呼ばれてきましたが、英語ではカンナビス・オイルcannabis oil、もっとくだけてハッシュ・オイルhash oilと呼ばれるため、「大麻オイル」と呼ぶこともあります。ここでは、とりあえず「大麻オイル」と呼ぶことにします。

これは、大麻の薬理成分を有機溶媒で抽出し、溶媒の成分を過熱して蒸散させたもので、ドロッとした茶褐色の液状や、タール状のものなどです。大麻の成分を抽出し、それを濃縮した加工品ですから、当然、薬理成分の濃度が極めて高く、ごく少量で強い作用をもたらします。しかし、用途が限られるため、乾燥大麻や大麻樹脂と比べて、大麻オイルの流通量はごく少なく、国連薬物犯罪事務所の集計によると、2009年の大麻押収量のうち大麻オイルが占めた割合は0.05%でした(下記参照C)。

大麻ユーザーの中には、以前から大麻オイルを使ってきた人たちもいます。乾燥大麻をジョイントにして喫煙する際に数滴の大麻オイルを加えたりするのです。でも、こんな使い方を好むのは、少数派でした。

しかし、最近になって、米国でこの大麻オイルがちょっとしたブームになっているのです。背景にあるのは、医療用大麻や大麻合法化などの流れのなかで、大麻成分入りの食品や菓子などの加工用原料として、大麻オイルの需要が増えていることです。合法大麻販売店では、大麻成分入りのキャンディーやクッキーが人気を呼んでいますが、その材料に大麻オイルが使われるのです。
また、大麻オイルに加工を加えてリキッド状にしたものも登場し、電子タバコ用として使う人たちも増えているといいます。当ブログ2014/11/10の記事で、合成カンナビノイド入りの電子タバコ用リキッドを取り上げましたが(下記参照D)、こんなものが出回るのも、大麻成分入りの電子タバコ用リキッドが流行しているからなのです。
画像

↑アパートの爆発火災で大麻オイル製造が発覚(ロサンゼルス郊外で2月17日に発生)
ABC7ニュース(2014.2.17)の画面より
http://abc7.com/news/hash-oil-lab-found-at-scene-of-apartment-explosion-fire/523370/

ところが、大麻オイルが広まったことから、思いがけない事態も起きています。前述したように、大麻オイルの製造には大量の有機溶媒を使います。しかも、溶媒の成分を蒸散させるのに、加熱するのです。換気が不十分な場所でこんな作業を行えば、電気器具のスパークが飛んだだけで大爆発です。
事実、アメリカの各地では、いま、大麻オイル製造による爆発事故が多発して、問題になっています。上の画像は、ロサンゼルスのABC7ニュースの画面で、つい先日発生したアパートの爆発事故を報じたものですが、大麻オイル製造過程で起きた爆発で、近隣住民100人以上が避難する騒ぎになったということです。
1990年代に、アメリカ各地で覚せい剤密造による爆発事故が相次いだ時期と、そっくりな状況が、再び起きているわけです。

どうやら、日本にも大麻オイルが密かに浸透し始めているようですが、大麻オイルの密造過程には、爆発の危険がいっぱいです。若者たちが、面白半分に大麻オイル密造に手を伸ばしたりしないよう、私たちも、しっかり周囲に目を配っておきたいものです。

[参照]
@大阪税関 報道発表(2014.3.31)
中国来の船舶旅客から液状大麻密輸入事犯を摘発!!
http://www.customs.go.jp/osaka/news/2014houdou.html#2
A産経ニュースWEST(2014.11.15 16:35)
「大麻オイル」製造で大麻栽培容疑の2人逮捕 末端価格1億円以上か 香川県警
http://www.sankei.com/west/news/141115/wst1411150048-n1.html
B時事通信・時事ドットコム(2014/12/03-18:35)
電子たばこ用液体に大麻成分=密輸容疑で米国人逮捕−警視庁
http://www.jiji.com/jc/zc?k=201412/2014120300756
CUNODC, Cannabis A Short Review, p.1,2012
http://www.unodc.org/documents/drug-prevention-and-treatment/cannabis_review.pdf
D当サイト過去記事
電子タバコにも合成カンナビノイド|米国からの情報(2014/11/10)
http://33765910.at.webry.info/201411/article_5.html

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コメント(7件)

内 容 ニックネーム/日時
オアフ島ワイキキ中心街に、日本人が店主を勤める有名な小物店が在ります。

店内には小瓶に入った多品種のRUSHと、液体大麻オイルと思われる小瓶が堂々と販売されていました。
店主のお話では、どちらもダース単位で、日本人が手荷物で購入されていました。

米国の物質性RSHSは、特に米国系のエアラインだと、揮発性物質でもあり、発覚時には連行されるでしょう、

一方、液体大麻オイルでは、と田空港の麻薬犬の探知で発覚すると思います。

どちらもリスクが高すぎると思います。


但し、大麻オイルは、例えばアムステルダム中央駅に在る、コーヒーショップ、アダルト店では、殆ど見かけません。

互いに国の文化でしょう。

神流美 王井門
2015/02/25 00:04
※途中途中で文字化けしておりました。
(続き)

現在、欧米都市部では、空気は皆が公平に吸えるという基本的な考え方により、公共の場でのタバコ喫煙が事実上完全禁止されました。

地中海の島々に在る、巨大なナイトクラブでさえ、喫煙者は規則違反で店から追い出されます。

しかし、ニコチンを含んだ電子タバコは対象外です。

喫煙者に厳しいロンドンですら、ニコチン電子タバコ喫煙者が路上に居たりします。

規制が緩い電子タバコと大麻オイルの組合せが、時代背景により主流になりそうな気がします。


参考までにアムステルダム中央駅周辺では、乾燥大麻、大麻種子、大麻パウダー、コカ酒、マッシュルーム類等々、多品種販売されておりますが、大麻オイルの販売は、私の知る限り皆無でした。


現在、欧米都市部、リゾート地、特にダウンタウンに於いては、大麻関連販売店が普通に営業しています。

今後は電子タバコと相まって、大麻オイルを取り扱う店が増えるかもしれません。

日本の税関でも水際での、対応策真価が問われるでしょう。


神流美 王井門
2015/02/25 14:15
(続き)

訪日外国人観光客の増加、勢いが止まりません。昨年実績数は、政府予測を上回りました。

彼ら外国人観光客に対して、日本が誇る『おもてなし』、真心、親切心は、薬物事案時にどの様なメンタル対応が出来るのでしょうか。


都区内ダウンタウンへやって来る、最近の訪日外国人の特徴は、出身国の都市部在住者が多いと感じます。

彼らと会話しても、地方都市、農村地出身者を、あまり聞いたことがありません。


そこで、私が少し懸念することがあります。それは個人摂取用途に、薬物を持ち込む外国人です。


先ほどのコメントにある様に、欧米都市部では、事実上の規則緩和(微少量所持、使用)により、大麻が生活の一部になろうとしています。

一部の訪日外国人が『生活必需品』として、国内へ持ち込む可能性が高いと思われます。

そもそも、先進国日本の法律文化と、規制緩和された文化圏在住者とは、モラルの差分があまりにも解離しています。

この感覚が理解出来る日本人は、現地生活経験者か、外務省書記官あたりでしょう。
もし、書記官が転勤され日本へ戻っても、他の中央合同庁舎関係者へ、正確な現地文化情報を伝えることは、縦割り故におそらく無いでしょう。

だとすると、東京五輪開催を控えた今、早急な国を挙げた対応策が必要ではと、その行方を案じてます。


神流美 王井門
2015/02/25 17:33
その大麻オイルの危険性は?生成するときに爆発の可能性?大麻本来の危険性はどうなのですか?

そもそも日本での大麻規制は、他国の法文化に合わせたものです。言い換えれば、欧米が大麻を規制したから日本も大麻を規制したのです。ですがそれは大麻がヘロインなど危険なドラッグと同等だという理由からです。
もちろんそれは風聞からの「モラル」を元にした、事実に即していない規制でした。現代においては、そうした作られたモラルを科学が否定し、大麻の有害性は著しく低い事が証明されています。それを根拠に欧米では規制緩和、あるいは合法化しているわけです。つまり、大麻先進国では、大麻で人権を制約することは間違っている、という近代的な判断がなされたわけです。
さて、大麻に所持者栽培者を逮捕する明確な理由は存在しない事が明らかになりました。それでも日本では厳罰で対応しそれをコンプライアンスかのように思われてもいますが、憲法31条に照らし合わせて、それは妥当なのですか?
日鷲
2015/02/27 01:50
業者を利することを避けるため、弁護士はあえて触れていないのだと思いますが、実は大麻オイルには合法なものと違法なものが存在するのです。
大麻種子から抽出したTHCオイルは、所持も販売も合法ですが、葉やバッズから抽出したものは違法なのです。
中身が同じでも、由来によって違法性が異なってしまうのです。
問題は、捜査員が発見した大麻オイルが、一体どちらに当たるものなのかを判別できるのか、という点です。
質の低い粗製オイルなら、葉などに特有の成分(葉緑素とか)が混入していたりする可能性はありますが、ちゃんとした設備で作られた物の場合、純度が高いでしょう。
警察が、「この大麻オイルは、大麻の葉またはバッズから抽出されたものである」ということを立証できなければ、裁判は難航してしまいます。

また厄介なことに、そのオイルが本当は違法部分から抽出された物なのに、合法を装うために「種子より抽出しました」というラベルが貼られて販売される可能性があります。
そうなってくると、検察も警察も、大麻オイル所持の事件では公判を維持できなくなると認識し、摘発に二の足を踏まざるを得なくなってしまうと思います。

脱法ハーブが下火になった今、この大麻オイルがハーブ常習者に人気になる可能性があります。
さて、この法規制の矛盾点を、取締り側はどう処理するのか、今から楽しみに見ております。
滅智蓮寺 熾
2015/02/27 08:20

分析装置メーカのエンジニアと、大麻オイルの分析計測について、お話を聴きました。

国内で稼働中のセンサ ガス クロマトグラフ装置、又は、センサ 液体 クロマトグラフ装置のどちらを用いても、精製純度が高い種子由来と、葉由来、花由来の成分を、正確に分析することは、難しいとの見解でした。

対象大麻オイル成分の、計測ガス又は、計測液体の分析物質科目を、1万種類位に分けて拡げれば、多少の差分が出るかもしれないとのことでした。


ひょっとしたら、大麻オイル成分の分析計測目的に、人口知能を組み込んだ次世代センサなどの新技術で、高度化分析装置の開発が進むかもしれません。


神流美 王井門
2015/02/27 17:24
なるほど。
やはり機器分析では困難なのですね。

上の文を書いた後に考えたのですが、THCにはデルタ9THC以外にも、デルタ8などの様々な異性体が存在します。
もし、大麻草の部位によってこれらのTHC異性体の比率が異なるのであれば(実際はどうなのか未確認です)、それを分析することによって抽出元がどの部位なのかを推定できると思います。
ただし、大麻には多くの品種がありますし、品種によってTHC量が大幅に異なっており、またサチウア種とインディカ種で「飛び」の差が異なるなど、THC量だけではなくて成分が異なっている場合もあるため、「すべての品種で、種子や成熟大麻の茎のTHC異性体比率が、この範囲内である」という統計を取らない限り、「品種が異なるためだ」という言い訳が許容されてしまいます。
また、肥料(窒素、リン酸、カリ、微量元素など)をどの分量でいつ与えるかによっても異なる可能性もあります。

現実的には、こういった困難の付きまとう成分分析よりも、製造元を摘発して「葉やバッズから抽出した」という証言を得る方がよっぽどたやすいのではないかと思います。
しかし、製造元が外国であれば、かなりの年月がかかることが予想されます。
そして、下手をすると大麻オイルを警察か没収してから、数年後(時効の範囲内)にやっと製造元が摘発されて証言が得られ、そこで初めて所持者を逮捕するという流れになってしまう可能性があり、この時間差攻撃は被疑者にとって大変な負担になります。
滅智蓮寺 熾
2015/02/28 08:24

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