弁護士小森榮の薬物問題ノート

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zoom RSS 覚せい剤密輸で日本人が中国で拘束|年末のニュースから

<<   作成日時 : 2015/01/07 17:16   >>

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遅ればせながら、年頭のご挨拶を申し上げます。
2015年も、日本と世界の薬物問題について考えていきたいと思います。

さて、年の瀬のことですが、中国から気になるニュースが届いていました。
厦門(アモイ)で日本人男性2人が、また広州白雲空港では、中国在留の韓国人14人が、覚せい剤密輸に関与したとして逮捕されたということです。

<年末のニュースから>*****
●ワイン瓶6本に覚醒剤、中国で日本人2人逮捕
【広州=比嘉清太】中国メディアによると、福建省の公安当局は30日、覚醒剤の密輸に関わったとして、日本人の暴力団員2人を逮捕したことを明らかにした。
日中関係筋によると、2人とも男という。2人は9月、同省アモイのホテルで拘束された。所持していたワインの瓶6本の中に覚醒剤入りの液体約4・7キロが入っていた。当局は、2人が、別の場所で拘束された台湾人から覚醒剤を受け取り、日本に密輸しようとしたとみて調べている。(以下省略)
読売新聞2014年12月31日 19時45分
*****

<韓国のニュースから>*****
●韓国人14人、麻薬密輸容疑により中国で拘束
韓国外交部は30日、「広州の白雲空港で28日午前、オーストラリアに出国しようとしていたわれわれ国民ら22人が中国公安に逮捕され、このうち14人は刑事拘束された」と明らかにした。8人は容疑がなく解放された。
外交部によると、彼らは広州・深州・香港などに住む30〜40代の在外同胞男性で、アマチュアリーグ野球同好会の会員だ。
彼らは「あるオーストラリア人と最近知り合いになったが、オーストラリアで親善試合をやろうと招いてくれた。このため出国するところだった」とし「そのオーストラリア人が『贈り物なのだが代わりに荷物を運んでほしい』と頼んできたので持ちだしただけ」と主張していると外交部は明らかにした。
中央日報/中央日報日本語版2014年12月31日08時52分
*****

●日本の周辺では覚せい剤流通が急増
日本では、近年、覚せい剤乱用は減少傾向を示しています。21世紀を迎えたころから、覚せい剤事犯の検挙者の減少傾向が続き、しかも検挙される覚せい剤事犯の年齢層がどんどん高くなっています。かつて「青少年の問題」といわれた覚せい剤乱用が、いまや「中高年の覚せい剤問題」になってしまいました。
でも、日本を一歩出ると、状況はがらりと違ってきます。いま世界では覚せい剤(メタンフェタミン)の流通量が急増していて、とくに日本を取り囲むアジア太平洋地域では、押収される覚せい剤の量もうなぎ上りに増加しているのです。

昨年5月、国連薬物犯罪事務所が発表した「2014年版世界合成薬物アセスメント」(下記参照資料)を読んだ時、世界規模で進行する覚せい剤の急増ぶりを改めて目の当たりにし、世界の各地から日本へ密輸されてくる覚せい剤について、改めて考えさせられたものです。
報告書によれば、2012年時点での世界のメタンフェタミン押収総量は107トンに達したといいます(p.1)。たしか、2008年ころには世界全体での押収量が30トン程度だったはずですから、5年間で3倍という驚くべきペースで増加しているのです。
世界の押収量を押し上げている主な要因は、■メキシコの薬物組織による密造の急増、■アジア太平洋地域での乱用と密造の拡大、のふたつです。

なかでも、日本を取り巻くアジア太平洋地域で、覚せい剤乱用が急増し、この地域での流通も増えていることが気になります。報告書は、「東南アジア、東アジア、オセアニア地域では引き続きメタンフェタミンが優勢である。この地域でのメタンフェタミン押収量は、2008年には12トンを下回っていたものが、2012年には36トンと、3倍に増加した。」としています(p.19)。
画像

↑アジア太平洋各国で報告されたメタンフェタミン押収量、2008-2012年
下記参照資料19ページより転載
・棒グラフの下から・中国 ・タイ ・ミャンマー ・マレーシア ・インドネシア ラオス ・その他

さて、このアジア太平洋地域で、覚せい剤密輸の司令塔となっているのが、中国系の薬物犯罪組織だといわれています。中国本土での密造だけでなく、東南アジア各国で急増している密造の背後には、中国系の薬物犯罪組織が関与しているといわれ、各地で密造された覚せい剤が、中国に集められ、そこからアジア太平洋地域に密輸されているのです。
画像

↑アジア太平洋各国で認知された覚せい剤の密輸ルート
下記参照資料27ページより転載

日本の覚せい剤マーケットは縮小気味とはいえ、世界でも際立った高価格で取引される魅力的な市場に向けて、途切れることなく覚せい剤が密輸されてきます。日本人が、運び屋として密輸の手先に使われることも少なくありません。
覚せい剤密輸が、出発地の中国で摘発されれば、死刑を言い渡されるかもしれないというのに、その危険な立場に気づかないまま巻き込まれる人、リスクを無視して無謀に引き受ける人・・・。
そういえば、12月下旬にも、中国江蘇省の裁判所で、日本人男性に死刑が言い渡されたというニュースがありました。この男性は2013年春、中国人グループとともに覚醒剤数十キロを複数回にわたって運搬したとして起訴されたということです。

[参照]
■国連薬物犯罪事務所の合成薬物アセスメント
 UNODC, 2014 Global Synthetic Drugs Assessment ―Amphetamine-type stimulants and new psychoactive substances
http://www.unodc.org/documents/scientific/2014_Global_Synthetic_Drugs_Assessment_web.pdf

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