弁護士小森榮の薬物問題ノート

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zoom RSS 改めてアンナカとは|芸能人覚せい剤事件

<<   作成日時 : 2014/05/17 23:52   >>

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今日、覚せい剤取締法違反で芸能人が逮捕されたと報じられ、さっそく私のところへも取材や問い合わせが来ています。
この人物が、昨年、覚せい剤疑惑が取りざたされた際に、使ったのは覚せい剤ではなく「アンナカ」だったとコメントして話題になったことは、皆さんもご記憶でしょう。逮捕のニュースを受けて、改めて、去年の「アンナカ」発言も、再び話題になっているというわけです。

通称「アンナカ」、正しくは「安息香酸ナトリウムカフェイン」とは、カフェインに安息香酸ナトリウムを加えたもので、強心・鎮痛薬として使われます。白色の粉末で、においはなく、味はわずかに苦いといいます。
薬品としては、一般人にそれほど知られているわけではないアンナカですが、実は、年配の覚せい剤常用者にとっては、この名はなじみ深いもののようです。私の手元にある覚せい剤関係の資料でも、古い年代のものには、この言葉がよく載っています。アンナカとは、昭和の覚せい剤に不即不離の関係でついて回った、パートナーともいえる存在だったのです。

●「ヒロポン」の時代
そもそも、覚せい剤がヒロポンと呼ばれていたころ、密造されるアンプル入りのヒロポン液には、消費者の嗜好に合うよう、アンナカなどが配合されることがありました。
昭和29(1954)年、千葉県船橋市の住宅で「ヒロポン」注射液を密造した男性が、覚せい剤取締法違反で逮捕され、裁判を受けましたが、男性が密造した「ヒロポン」液には覚せい剤とともにアンナカも配合されていました。判決書には、約500t入りのビンに蒸溜水を入れて熱し、これに覚せい剤約1.5グラム、食塩、アンナカ、カフェインを入れて攪拌溶解し、覚せい剤注射液約400tを製造した、と記載されています(東京高等裁判所昭和29年12月27日判決)。

●「シャブ」の時代
昭和40年代後半から昭和の末ころまでは、覚せい剤に様々な形でアンナカを混ぜ込んだものが、よく流通していたようです。このころには、覚せい剤は「白い粉」として流通するようになっていましたが、同じような白い粉末で興奮作用のあるアンナカは、覚せい剤の増量剤として、また、使用感に特有の「味わい」をつける配合剤として、覚せい剤に混和されて出回ることがよくありました。このころ、覚せい剤の混ぜ物として使われたものに、ほかに、塩酸プロカイン、チオ硫酸ソーダ(通称「ハイポ」)、味の素などがあったといいます。
また、同じころに「金魚」と呼ばれるものが出回ったのですが、これは、弁当の醤油入れに使われる金魚型の容器に入った覚せい剤溶液で、覚せい剤の水溶液にアンナカ、ワイン、ジュース、はちみつ等を混ぜたものでした。乱用者は、これをジュースなどに加えて飲んで使いました。
アンナカは、ときに、覚せい剤の代用品として、密売市場に出回ることもあったようです。昭和の時代の覚せい剤事件では、ときおり、手元から発見された覚せい剤を「覚せい剤ではなく、アンナカだと思っていた」と主張する被告人があったそうです。最近では「脱法ドラッグだと思っていた」という言い訳が目につきますが、それと同じような感覚でしょうか。

●現在では
その後、日本の乱用市場に出回る覚せい剤は、きわめて高純度のものになっていき、アンナカなどの混ぜ物は、次第に姿を消しました。
私が覚せい剤事件を集中的に手掛けるようになったのは平成7年頃からですが、私が担当した事件で、アンナカや「ハイポ」などに出会ったことはありません。事件で押収された覚せい剤に特異な混ぜ物が混入されている場合や、とくに純度が低い場合には、鑑定担当者のメモなどがあり、覚せい剤不足の時期には、エフェドリンなどの覚せい剤原料が混入された品物が出回ったのですが、昭和の時代によくあったというアンナカに出会う機会は、一度もありません。

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>昭和の時代によくあったというアンナカに出会う機会は、一度もありません。

私はASKAが「炙ったのはアンナカだった」と主張した時に、アンナカをガラスパイプで炙ったとしても、ナトリウム塩の部分は蒸発せずにガラスパイプに残って焦げ付いてしまうのではないか?と疑問を感じていました。
アンナカは安息香酸ナトリウムとカフェインの混合物のようですが、安息香酸ナトリウムの融点は300℃以上であり(沸点は不明)、通常は気化させることは困難だと思います。

昭和の時代は注射での乱用がメインでしたが、90年代に入ってからは炙りというやり方が広まり、ガラスパイプに汚れが残ってしまうアンナカは密売市場では敬遠され、自然と消えていったのではないか、と見ています。
ただ、普通のカフェイン(無水カフェイン)が添加されている可能性はあると思います。
滅智蓮寺 熾
2015/08/09 23:12

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