弁護士小森榮の薬物問題ノート

アクセスカウンタ

zoom RSS 厳禁から管理へ|変わり目の薬物政策1

<<   作成日時 : 2014/01/21 23:33   >>

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 1 / トラックバック 0 / コメント 0

2014年1月1日、米コロラド州で、州法で規定された管理下での大麻販売がスタートしました。同じく大麻販売を認める州法が成立しているワシントン州では、今年中に販売制度をスタートさせる予定だといいます。
いっぽう南米ウルグアイでは、2013年12月、管理下での大麻販売を許容する法令が議会を通過し、国家として初めて、大麻販売が合法化されました。南米ではメキシコやグアテマラなどでも同様の制度の導入について議論が開始されているといいます。
大麻だけではありません。先進国世界がいま直面している、脱法ドラッグという新たな薬物問題に対しても、その市場を管理下に置いて安全性を確保する試みとして、ニュージーランドが2013年に施行した新たな規制策が注目を集めています。

これらのケースに共通しているのは、「厳禁から管理への移行」という大きな潮流です。禁止と処罰を軸に進められてきた薬物対策が、いま、大きな変わり目を迎えようとしているのです

私たちの社会が薬物問題と向き合い始めておよそ1世紀、そして大戦後の世界で国連という大きな枠組みの下で、麻薬に関する単一条約が採択されてから半世紀が経過しました。
この間、世界は、乱用目的での薬物の生産や流通を禁止し、薬物に関わる行為を犯罪として取り締まり、違反者を処罰することを基軸に、薬物対策を進めてきたといえます。しかし、膨大な予算を投入し、多くの逮捕者を生み出し、世界をあげて戦ってきたというのに、いまだ問題は解決せず、出口さえ見えてきません。こうしたジレンマの下で、薬物対策のあり方を見直そうという動きが各地で芽生え、2014年を迎えたいま、世界の薬物政策は大きな転換点を迎えているようです。

各地の事例を通じて、世界の新しい動きを追ってみたいと思います。薬物政策という、いささか難しいテーマですが、できるだけわかりやすく、かつ具体的な事例に基づいて、私なりに論を進めてみようと思います。

●ケース1、米コロラド州の大麻販売管理とMITS
2012年11月、大統領選挙と同時に行われた住民投票で、コロラド、ワシントンの2州は、いわゆる大麻合法化法案を可決しました。コロラド州で可決された修正法案64号は、21歳以上の州民が自己使用目的で1オンス以下を所持することなどを合法化するというもので、あわせて、一定の条件の下で嗜好品としての大麻販売を認可し、売り上げに課税することも含まれていました。

オランダのコーヒーショップや医療用大麻など、これまでにも、様々な形で大麻販売を部分的に容認する制度はありました。
たとえば、米国の医療用大麻制度は、登録された患者や介護者が、治療目的で大麻を所持することを容認するもので、登録者が自分で一定量の大麻を栽培することが許容されています。医療用大麻供給所は、本来は、登録者の互助組織としてスタートしたのですが、しかし市場規模の拡大とともに次第に商業的な色彩を強め、一部では「大麻ショップ」と呼ばれるようになってきました。また、容認された制度の下で、違法栽培品や密輸品といった違法な大麻が販売されているという実態も問題視されています。
特定の条件での大麻販売制度が、事実上、大麻規制をすり抜けるグレーな領域になっているという批判が寄せられているのです。

住民投票から1年余、今年1月1日の大麻販売制度のスタートに向けて、コロラド州当局が取り組んできたのは、嗜好品としての大麻販売をいかに管理するかという難題でした。
州当局は「種子から販売までの管理」をスローガンに、認可された栽培施設で栽培された大麻が、認可された販売店で売られるという仕組み作りに取り組んできたのですが、そのカナメとなったのが、新鋭のテクノロジーを使った大麻在庫追跡システム(Marijuana Inventory Tracking Solution:MITS)です。
これは、多くの物品販売業で導入されている在庫管理システムに似たもので、大麻栽培施設では苗の1点ごとにICタグが付けられ、その後、大麻植物の生育、移動、加工、商品化、そして販売とすべての段階でこのICタグが読み取られ、当局および関係者は、ウェブサイトを通じてその情報を随時モニターすることができるというわけです。


↑abc7News>Radio frequency tags may be used by Colorado regulators to track recreational pot from seed to sale(12/12/2013 )より転載
http://www.thedenverchannel.com/news/local-news/colorado-regulators-plan-to-use-radio-frequency-tags-to-track-recreational-pot-from-seed-to-sale

ビデオは、abc 7News(The Denver Channel)のもので、コロラド州が採用したICタグによる追跡システムを紹介しています。
ビデオの内容やこのシステムの紹介は、次回で続けることにしましょう。

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ
気持玉数 : 1
なるほど(納得、参考になった、ヘー)

トラックバック(0件)

タイトル (本文) ブログ名/日時

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(0件)

内 容 ニックネーム/日時

コメントする help

ニックネーム
本 文
厳禁から管理へ|変わり目の薬物政策1 弁護士小森榮の薬物問題ノート/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる