弁護士小森榮の薬物問題ノート

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zoom RSS 脱法ハーブによる危険運転|第1号事件の判決が出ました

<<   作成日時 : 2013/12/18 23:48   >>

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脱法ドラッグの販売が急速に拡大していた2012年、多発する使用者の急性中毒に次いで、世間の耳目を集めたのが、その影響による危険で無謀な自動車事故でした。歩行者用の狭い通路を暴走、一方通行を逆走、道路を外れて建物に激突・・・、しかも事故車両の運転者は支離滅裂なことを口走っていたり、意識を失いかけていたり。
2012年初夏以降、脱法ドラッグの影響下での危険運転致死傷事件が多数報じられてきましたが、その第1号となった大阪市福島区で発生した事件の第1審で、ようやく判決が言い渡されました。
ほぼ同時期に、大阪や京都などで類似した事件が起き、危険運転致傷事件として相次いで起訴され、2012年末から今年にかけて判決言い渡しを終えていたなかで、この事件だけは審理が長引いていたものです。

<ニュースから>*****
●<脱法ハーブ暴走>23歳被告に有罪判決…大阪地裁
大阪市福島区で昨年5月、レンタカーが商店街を暴走した事故で、危険運転致傷や道交法違反(ひき逃げ)などの罪に問われた塗装工、K被告(23)の判決が18日、大阪地裁であった。登石(といし)郁朗裁判長は「危険極まりない走行で、厳しい非難に値する」と述べ、懲役3年、保護観察付き執行猶予5年(求刑・懲役3年6月)を言い渡した。
判決によると、K被告は昨年5月6日、脱法ハーブを吸引し、妄想や幻覚の症状が出た状態で車を運転。車両通行禁止の福島区の商店街を走行し、70〜80代の女性2人をはねるなどして重軽傷を負わせた。
脱法ハーブを吸った運転手が危険運転致傷罪を適用して起訴された初のケースだった。公判で弁護側は「正常運転ができなくなるとは思わなかった」として、同罪の成立に必要な故意がないと主張していた。だが、判決は「過去のハーブの使用歴から、異常行動を起こす可能性があると認識していた」と退けた。ただし、女性1人をひき逃げした際はハーブの影響で心神耗弱状態にあったと判断した。
毎日新聞 12月18日(水)13時52分配信
*****

暴走事故は、2012年5月6日、大阪市福島区の商店街で発生。乗用車が、アーケード商店街の細い通路を猛スピードで走り抜け、看板を跳ね飛ばし、通行中の女性など2人に足の骨を折るなどの怪我を負わせました。
当初は自動車運転過失傷害容疑で逮捕された運転手が、取り調べの過程で、脱法ハーブを吸っていて、普通でなかったなどと供述したことから、大阪府警は、脱法ハーブの影響を視野に入れて捜査を続け、全国で初の脱法ハーブによる危険運転致傷事件として起訴したものです。

危険運転致死傷罪は故意犯であり、被告人に、薬物の影響により正常な運転が困難な状態にあるという認識がなければ成立しません。これまで類似事件の多くで、被告人側は、脱法ドラッグによって正常な運転が困難になるとは思わなかったとして故意を否定してきましたが、この事件でも、被告人側は故意がないと主張してきたといいます。問題になっているのは脱法ドラッグという新しい薬物で、基本的な作用さえまだほとんど解明されていないという事情を考えれば、被告人の主張も十分に理解できます。
これまで一連の事件では、被告人の認識の有無を判断するのに、被告人の過去の脱法ドラッグ使用歴や、周りの人たちとの会話、インターネットなどで関連情報を検索した履歴など多くの証拠を調べ、丹念な検討がなされてきたように思います。

たとえば、同じころ起きた大阪ミナミの商店街暴走事件で、判決は、被告人の認識を次のように判断しています(大阪地裁平成24年12月14日判決)。
「被告人は、これまでに20回以上、脱法ハーブを吸ったことがあるとしており、脱法ハーブに大麻と同様の効能があることを知人等から開いていた。さらに、被告人の知人の供述によれば、被告人が説法ハーブを吸引すると、テンションが低くなり、ぼーっとしたうつろな状態、意識が飛んだような状態になるとしており、被告人は、脱法ハーブの作用を十分に過去に経験していたと言える。」 

また、一連の事件で最初の判決となった京都地裁の危険運転致傷事件(京都地裁平成24年12月 6日判決)では、判決は、3年ほど前から脱法ハーブを常用し、その使用後に自動車を運転したり運転中にも脱法ハーブを使用していた被告人が、運転中に意識が飛び、異常な運転をして同乗者に注意されたことなどを具体的に指摘して、「被告人が運転開始の時点において本件脱法ハーブをその直前に使用したことにより自動車の正常な運転が困難な状態となり得る蓋然性を認識していたことが優に認められ、被告人に危険運転致傷罪の故意があったことが認められる。」としました。

ところで、報道によれば、今回の大阪地裁の判決では、被告人が被害者を救護せず女性1人をひき逃げした点について、ハーブの影響で心神耗弱状態にあったと判断したといいます。
意識障害をもたらし、ときには意識をなくすこともある、脱法ドラッグがらみの事故では、責任能力についての争いがあるのは当然のことでしょう。これまで、ニュース報道ではあまり重視されてこなかったとはいえ、私たち法律家にとっては無視できない点なのですが、これについては、次回で続けます。

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