弁護士小森榮の薬物問題ノート

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zoom RSS 2009年の薬物情勢1|警察庁の資料から

<<   作成日時 : 2010/02/25 22:36   >>

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警察庁が毎年発表している薬物・銃器情勢の平成21年版が、今日発表されました。これは、全国の警察が平成21年中に取り扱った薬物犯罪の統計で、毎年2月ころに暫定値が発表され、その後4月ころに確定値として最終的な統計が発表されるものです。
警察庁刑事局組織犯罪対策部薬物銃器対策課編『平成2 1年中の薬物・銃器情勢 暫定値』
http://www.npa.go.jp/sosikihanzai/yakubutujyuki/yakujyuu/h21_jyousei_yakuzyuu_zantei.pdf

当ブログではすでに、2月9日に、犯罪統計の暫定値データに基づいた速報を掲載しましたが、今日発表された資料に沿って、平成21年の数字を一部修正したものを再度掲載しておきます。下のグラフは警察庁発表のデータに基づいて、私が数字を抽出し、グラフ化したものです。
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↑薬物事犯検挙者の推移(2001〜2009年)

●グラフの魔法
警察庁の発表を今日の夕刊各紙も報道しています。私が見た朝日新聞夕刊は、99年から09年までの大麻検挙人数の推移をグラフで示していますが、思わずドキリとするほど急カーブで増加しているグラフです。
実は、これまで薬物事犯の検挙人員を示すグラフは、たいてい、覚せい剤と、大麻や麻薬等のグラフが別々に作成されていることにお気づきでしょうか。従来、覚せい剤検挙者が圧倒多数であったため、同一の軸で表示すると、その他の薬物事犯の変化がほとんど見えなくなってしまうので、別のグラフで表示するのが通例になってきたものです。
近年、覚せい剤が減少し、大麻が増加したことで、かろうじて同じグラフで全体を表示することができるようになりました。私が作成した上のグラフは、主要な薬物事犯をすべて表示してありますが、この形式では、実は大麻事犯の増加ぶりはあまり目立っていません。
でも、同じデータで、グラフの条件を変えると、ほら、新聞に載っているものと同じようになりました。下のグラフは警察庁発表のデータに基づいて、私が数字を抽出し、グラフ化したものです。
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↑大麻事犯検挙者の推移(2001〜2009年)

グラフとは、どんな風にでも作れるものなのです。増加ぶりを印象づけたり、減少ぶりをカバーしたり、加工は自由自在。だから、私はできるだけ全体像が見渡せ、時系列の変化がわかるように、自分流でグラフを作ることにこだわっています。

●大麻事犯、増えているのは20〜30歳代
新聞は、大麻での検挙人数は2年連続して過去最多だったと報じています。覚せい剤やシンナー等かつて圧倒多数を占めていた薬物での検挙者が大幅に減少する中で、たしかに、大麻での検挙者だけは増加しています。
では、この増加のけん引役はどんな人たちなのか、みてみましょう。大麻での検挙者の半数以上(54.1%)を占めているのが20歳代の若者です。次いで多いのが30歳代で27.5%。20歳代と30歳代を合わせると、全体の81.6%に達しています。下のグラフでもわかるように、この年代の増加が、全体の増加を引っ張っている構造になっています。
つまり、大麻検挙者の中心はヤング・アダルト層だということができます。いわゆる青少年より、少し上の年代です。そういえば、私が担当する大麻事件の当事者も、20歳代後半から30歳代がほとんどで、マスコミをにぎわしている少年や大学生の事件は、それほど多いものではありません。下のグラフは警察庁発表のデータに基づいて、私が数字を抽出し、グラフ化したものです。
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↑大麻検挙者・年齢別(2004〜2009年)

●栽培事犯の増加
2009年も引き続き大麻の栽培事犯が増え続けています。検挙される絶対数は、2009年では242人とそれほど多いわけではありませんが、人目に付きにくい環境で栽培しているものを摘発することの困難さを考えれば、暗数ははるかに多いと思われます。
発表された資料は、次のように分析しています。「大麻栽培事案が年々増加傾向にあり、平成21 年の検挙件数は312 件(+38 件、+13.9%)と増加し、前年に引き続き過去最高を記録した。アパートやマンションなどを利用した自己使用目的の栽培が多く見られたが、一方では貸しビルや貸し家、あるいは山中のビニールハウスや露地栽培による営利目的の大規模な組織的大麻栽培事案も見受けられた。一方で、大麻密輸事犯は減少傾向(12 頁参照)にあり、海外からの密輸入との比較において、国内での大麻生産の比重が増加しつつある状況がうかがえる。」(8頁)

次回もこの資料にもとづいて考えていきます。

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コメント(5件)

内 容 ニックネーム/日時
覚せい剤から大麻へのシフト。

ハイテンションからリラックスへという嗜好の変化。
ケミカルからナチュラルという健康志向。
インターネットの普及により、大麻の安全性への信頼。
容易に自家栽培ができるというコストパフォーマンスの良さ。
大麻の薬理作用による平和への希求。

ようするに大麻をやると幸せになるということだ。
みなさん、人間を不幸にするのは大麻ではなく大麻取締法だという真実を知る者が増えたということ。
海外自由旅行の普及が、日本が現在採っている方向性への疑問を露呈したということに他ならない。
世界のさまざまな国で大麻を罪悪感なく容易に手に入れることが出来る。
統計などという数字ではなく自分の足で世界を歩いてみることをお勧めします。
シンジケート
2010/02/26 07:53
リンク先の資料を拝見すると、表1-9薬物種別押収量の部分でMDMAの押収量が桁外れに大きいことがわかります。(年間51トン!)犯罪検挙数は268件と少なく、減少傾向も見せてはいますが、なかなか捕まらないだけでMDMA汚染は非常に広範なものである可能性が高いです。警察が年度によって捜査の重点項目を決めたりすることもありうるので検挙数と汚染が比例関係にある保障もありません。検挙人員の推移だけを見ていると、このような問題は見えてきませんが、大麻検挙者増加問題についても多角的な分析が必要そうですね。
8taros
2010/02/26 09:33
グラフの魔法を解いてくださって本当にありがとうございます。

>アパートやマンションなどを利用した自己使用目的の栽培が多く見られたが、
これって結局、種子を販売していたお店を逮捕して顧客情報をたどった結果も影響あると思うんです。
種子を買ったっていうだけで、ガサ入れなどの令状が出てしまうっていうのは先進国にふさわしいんでしょうか。

種売ってた人と捕まえてる人と、やってるレベルが同じって感じます。

民主党の小沢代表の元秘書、石川議員のこじつけ逮捕や、検察の裏金を暴露しようとした日に、冤罪逮捕された三井環元大阪高等検察庁公安部長の事件などを知れば知るほど、この国の検察は私利私欲だけでうごく時代錯誤な合法ヤクザだと感じます。

薬物事犯が増えていくことよりも、検察や警察の違法捜査や人権侵害が加速していることのほうが、よっぽどアタマにきます。
司法改革
2010/02/26 18:56
私の周りにも、検察や警察は点数稼ぎだとの批判が相次いでいます。
私の友人の女の子は風俗店のトラブルからヤクザに脅されていて、私が助けに行ったことがありましたが、捜査4課は、事件になってから電話してくださいの一点張りだった。
結局、私には○○会に友人がいるので、その人に連絡し話をつけた。
こんな国で大丈夫なのか?
職務質問の横暴さ、
白バイ事件のもみ消し、
富山県警のシャブもみ消し、
酔払い運転の警察官のダブル免職、
きりがありません。
警察は逮捕しやすい犯罪から取り掛かっていますね。
被害者の声を真摯に聞くならば薬物事犯など後回しにするはずです。

それから私に体験として、貧乏人において量刑は検事で決まるということです。
検事を気分良くさせ、泣いて後悔したフリをして求刑を少なくしてもらうことが最善です。
小森先生のような真剣な弁護人もいるとは思いますが、後は最低な国選弁護人がとても多いです。
検事上がりの弁護人は人格も破綻していますね。
ようは金次第です。
だからこの国の国民は金の亡者になるのです。
シンジケート
2010/02/27 07:15
シンジケートさま
>警察は逮捕しやすい犯罪から取り掛かっていますね。
被害者の声を真摯に聞くならば薬物事犯など後回しにするはずです。
ええ、ほんとうに。
今もっとも私が心を痛めている事犯は「幼児虐待」や「自殺」「ストーカー事件」「デートDVや家庭内DV」ですが、すべて民事がからんだり事件の立証がむずかしかったり手間ひまがかかるわりにポイントがひくいので、警察は見殺し状態です。

結局、検察、刑事、警察、国家公務員、すべてが組織へのロイヤリティーやらなにやらでガンジガラメで日々を波風立てずにやり過ごすことでいっぱいいっぱいなんだと思います。彼らのなかにもジレンマに苛まれている人もいると思いますが。

「自分(お前)さえ我慢すれば、みんなが幸せになるんだ」、日本ではこれが美徳とされ、全ての組織で当然のように強要される感がありますが、私はこの言葉が大嫌いです。

ひとりひとり幸せの形はちがう、人の生き様を否定したり上から目線で批判しない、自分の自由に責任を持つ、こういった価値観が日本でもっと育たないと、薬物問題をはじめ、幼児虐待や自殺などメンタル面が深く影響する問題は解決していきません。

日本の価値観のフトコロをもっと深くしてからでないと、私は申し訳なくて今の子どもたちには、この国を引き継げません。
司法改革
2010/02/27 20:48

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