弁護士小森榮の薬物問題ノート

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zoom RSS 大麻事件と青少年のまとめ|青少年と大麻の実態7

<<   作成日時 : 2009/10/18 03:39   >>

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青少年の大麻乱用が話題になっていますが、実際に、どんな若者が、どんな風に大麻を使っているのか、具体的なイメージが把握できないという声をよく聞きます。そこで、私が最近手がけた大麻事件の記録から、若者と大麻の関係を知る手がかりになりそうな項目をまとめた資料から、主な項目を何回かに分けて紹介しました。
資料化の対象は、近年、私が手がけた大麻取締法違反事件の記録で、新しいものから順に、選別せずに50例を集めてみました。平成21年から平成18年のものが含まれています。ただし、営利事件、否認事件、不起訴になった事件は除外しています。わずか50ケースですが、事例集としてまとめてみると、おもしろい発見もありました。

■年代によって異なる、大麻との関わり方
とくに20歳代前半の若者では、好奇心が先行していることがうかがわれます。友達と大麻を話題にし、情報を得、やがて実際に入手する機会に遭遇すると、友達に吹聴している・・・、そんな若者に良く出会います。しかし、彼らの大半は就職や結婚を機に、大麻から遠ざかっているようです。年齢の高いグループでは、大麻から卒業するきっかけを掴み損ねたり、一度は遠ざかったが、何か事情があって使用を再開した人が目に付きます。
●大麻を使う背景
[20歳代前半]
・雑誌や本などを通じて、大麻に関する情報に触れ、好奇心を持っていることがうかがえる
・最初のきっかけは、友人に誘われて吸わせてもらう、が多い
[20歳代後半]
・就職、結婚、付き合う相手が変わるなどして、大麻から遠ざかる者が出てくる
・不安定な生活を続けた若者では、やめるきっかけを失い、理由もないまま使い続けることになるのではないか
[30歳代以降]
・離婚、失業など生活の変化を契機に、昔使ったことのある大麻を再び使い始める例が多い。
・年齢が高い者では、何か理由があって大麻を使うことがうかがわれる
●大麻を使う場面
[20歳代前半]
・友だちと一緒に使う、買うときも一緒が多い
[20歳代後半]
・遊び仲間、大麻の仲間ができ、自分が後輩を誘う立場になる
[30歳代以降]
・自宅で、1人で使う例が多い
●大麻の入手方法
[20歳代前半]
・当初は友人に分けてもらい、やがて自分で買うルート(外国人密売人など)を見つける
[20歳代後半]
・外国人密売人の電話番号を知っていて、連絡を取って買う例が多い
[30歳代以降]
・特定の入手先を持っていることがうかがわれる

■とくに問題のある若者が大麻を使い始めるわけではない
昨年来、青少年の大麻問題がメディアを賑わし、大学生の大麻問題が特に話題になり、その影響からか、大麻→大学生という先入観をお持ちの方もあるようです。しかし、私が実際に手がけた事件の当事者のなかでは、大学生はむしろ少数で、20歳代前半では、派遣社員やアルバイトが目立っています。学校を中退した経歴を持つ者も比較的多いといえるでしょう。とはいえ、中退者や非正規雇用で働く若者に大麻事犯者が集中していると解釈するのは、早計ではないでしょうか。彼らは、現代の青少年のちょうど中間層であり、あらゆる意味で「普通の若者」だと私は考えています。
彼らは時流に敏感で、旺盛な好奇心から、薬物に対しても興味を持ちやすいのです。とくに薬物を使う理由があるわけではなく、「みんなやっている」といった意識や、「誘われたから」といった動機が目に付きます。
実は、大麻に限らず、薬物事犯の初犯者には、一般的にこの層の若者が多いのです。平成の初頭ころ、わが国に出回る覚せい剤が急増して、青少年の覚せい剤乱用が問題視されていた時期に、覚せい剤事犯として登場した若年初犯者の大半が、やはり同じような若者だったことを思い出します。さらに言うなら、青少年が関わりがちな軽微な刑事事件や、サラ金などの経済問題、自動車運転の違反を重ねる者などにも、この手の青少年を良く見かけます。
画像


■彼らに必要な解決策とは
私が見てきた大麻事犯の青少年たちの多くは、確かに、ちょっと困ったところのある若者だといえるでしょう。でも、それは、「甘い」「厳しさに欠ける」といったような問題で、社会経験を重ね、適切な指導を続けることで修正すべきであって、刑罰をもって叩き直さなければならない性質の問題ではありません。
まず、若年の初犯者たちの場合、主な問題は、規範意識の緩みや、規律のない生活といったものが中心で、不足している社会人としての自覚や責任感を身につけさせることこそ、真の解決だと思われます。刑罰を科して社会生活を中断させることは、むしろ解決を遅らせることにつながりかねません。いっぽう、何か事情があって大麻使用を再開したような人たちにとっては、その事情を解決しなければ刑罰を科してみても無益でしょう。
■家族や友人は、現実的な見方をしている
自分の家族や友人、恋人が逮捕され、大麻問題が発覚することは、誰にとっても大きな衝撃です。問題に直面したとき、多くの人が、自分の育て方や接し方にまずいところがあって、こうした問題を招いたのではないかと、真摯に振り返ります。
しかし、わが子を刑罰で懲らしめてほしいと願う親や、「今後つきあいをしない」と考える友人はほとんどいません。とくに、親しく付き合ってきた恋人たちは、ほとんどの場合「彼が二度と問題を起こさないよう、自分も一緒にがんばる」という選択をしており、事件を契機に別かれる決意をした例はほとんどありません。もちろん、家族や友人、恋人が大麻を使うことに寛容なわけではありません。犯罪者になるようなことはやめてほしい、そう願い、そのために一緒に努力しようと考えているのです。
身近な人たちが選択する「一緒にがんばる」という道が、私にはもっとも現実的な選択肢であるように思えます。

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内 容 ニックネーム/日時
少しこの記事とは違うのですが、私が診察してもらっている精神科医に聞いたのですが、覚せい剤事犯の70%が自律神経に問題があるようです。
生まれつき、脳の報酬系の欠損で、通常の人が感じる満足というものを、彼らは感じないのです。
覚せい剤でしか満足を得られないと言っていました。
その先生は某有名大学の名誉教授で心理学者です。
論文も発表されているようなのですが調べることが出来ません。
脳の生物学的要因であっても減刑はありえないのでしょうか?
そうすると生まれながらにしての人間の脳の差異によって人生が決まるという恐ろしい話です。
シンジケート
2009/10/19 16:15

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