弁護士小森榮の薬物問題ノート

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zoom RSS 大麻の依存性|英国の大麻規制2009年の変更6

<<   作成日時 : 2009/04/28 00:16   >>

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乱用される薬物の基本的な特徴のひとつが、依存性です。ヘロインやあへんなどのオピエート、コカイン、覚せい剤、そしてアルコール、いずれにも強い依存性があり、その依存性がやめることを困難にさせています。しかし、薬物の依存性はすべて同じではなく、薬物の種類によって、違いがあることも知られています。
大麻には、他の薬物と同じように依存性があります。近年、大麻の依存性に焦点を合わせた研究が多数発表されており、その結論はおおむね、大麻に依存性を認めています。

英国(UK)で大麻の規制分類を再検討するに当たって、薬物乱用諮問協議会The Advisory Council on the Misuse of Drugs (ACMD)がまとめた報告書『大麻:分類と公衆保健Cannabis:Classification and Public Health』でも、この依存の問題を取り上げているので、該当部分を読んでみます。

第6章 依存 
Cannabis:Classification and Public Health 13〜14ページ
http://drugs.homeoffice.gov.uk/publication-search/acmd/acmd-cannabis-report-2008


報告書は、「大麻単独での依存は、疑いなく、実在する現象である。大麻使用者の研究では、使用をやめると、依存症候群の一部である、身体的な離脱を経験することが明らかになった。その特徴は、食欲減退、体重の減少、無気力、短気、気分の変化、震え、筋肉痛、汗をかくことおよび不眠などである。また、物質への心理的渇望もある。薬物の再使用によって、これら症状は消失する。また、大麻依存がカンナビノイド受容体の機能の変化に関係していることが示された。そして、カンナビノイド受容体拮抗薬が、離脱症状を促進することもわかっている。」としています。

では、大麻依存はどの程度発生しているのでしょうか。それを示す根拠としてこの報告書は、2000年に英国で行われた研究から、年齢別の大麻依存者の割合(年齢層別人口に対する大麻依存者のパーセンテージ)のデータを取り上げています。
・16−19歳  男7.7%  女1.8%
・20−24歳  男12.7%  女7.6%
・25−29歳  男9.2%  女2.7%
・30−34歳  男4.8%  女1.6%
・35−39歳  男1.9%  女1.4%
・40−44歳  男1.4%  女1.0%
・45−49歳  男2.9%  女3.0%
・全年齢(16−74歳) 男3.7%   女1.4%
Singleton N, Bumpstead R, O’Brien M, Lee A, Meltzer H (2000) Psychiatric morbidity among adults living in private households. Office for National Statistics. London: The Stationery Office.

ただし、上記の研究では、大麻依存の条件を少し広げすぎているため、依存者の推定値がやや過大になっていると、報告書は指摘しています。「頻繁使用者(2週間以上毎日使用した者)、あるいは同じ効果を得るためにより多量の薬物が必要な薬物に対する耐性を形成した者が依存者とされていることを特筆しておかなければならない。これによって、データは、薬物をやめるために専門家の援助を必要とする人数を過大評価しているところがあることはほぼ確実である。」というのです。
たしかに、単に頻繁使用したことで依存とすることは、乱暴かもしれません。アメリカの代表的な診断基準であるDSM−W-TRは、耐性、離脱など物質依存を特徴付ける7症状をあげ、過去12ヶ月の間に同時に3つないしそれ以上が出現することを診断基準としています。
このように厳格に依存を定義していくなら、依存者の人数は、もっと制限されることでしょう。

しかし、この人数が多少過大であるとしても、やはりこのデータは重い意味を持っているといえるでしょう。
報告書の第3章で、イングランドとウェールズでは、過去1年の間に大麻を使った人は16−59歳人口の11.1%(2600万人)。過去1ヶ月間の使用者は6.8%(1500万人)と報告されています(6ページ)。そのうちの一定割合は、大麻依存者であり、問題を自覚しても大麻使用をやめることが困難になっている人たちなのです。
報告書は、「(上述のような問題があるにもかかわらず)このデータは問題の規模に関してある種の指標を提供するものである。」と指摘しています。
問題は、大麻のもつ依存性の強さではなく、使用者が圧倒的に多いことによる、問題の規模の大きさにあるのかもしれません。

なお、報告書は、第12章で、大麻の依存性はベンゾジアピンなど他のクラスC薬物と同程度であり、コカイン、アンフェタミンなどと同様とは思えないとしています(30ページ)。

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You will note that, after a most careful scrutiny of the totality of the available evidence, the majority of the Council’s members consider – based on its harmfulness to individuals and society – that cannabis should remain a Class C substance. It is judged that the harmfulness of cannabis more closely equates with other Class C substances than with those currently classified as Class B.
野中
2009/04/28 06:49
何故このような答申を受けたにも関わらず、英国政府は大麻をクラスBに戻したのか疑問が残ります。
大麻の規制は科学的根拠に基づいたものではなく、政治的な思惑に左右されています。
その理由としては、主に、キリスト教保守勢力の票を意識したものではないでしょうか?
野中
2009/04/28 06:50

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