弁護士小森榮の薬物問題ノート

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zoom RSS 大麻取締法改正論を批判する―その5

<<   作成日時 : 2008/12/05 22:13   >>

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■大麻の種子を大麻として取り締まる必要があるのか
5、仮に改正した場合の利点はなにか

大麻の種子を取り締まることは、難かしいことだと思います。
その理由の第1は、種子がとても小さいこと。市販されている大麻の種子は、長径4〜4.5o(最小のものは3o)、重さ15〜20r。鳥のえさや食品用に輸入されるものは長径4.5〜5o、重さ20〜30r(吉澤政夫ほか「外部形態及び簡易な化学的検査による大麻草の鑑別」Ann. Rep. Tokyo Metr. Inst.P.H., 57, 127-132, 2006)。
インターネットを通じて販売される大麻の種子は、普通、10粒単位で売買されますが、10粒の合計重量はわずか0.15〜0.2グラムです。かさばるわけでもなく、匂いもほとんどありません。麻薬探知犬でも発見するのは難しいといいます。
しかし、小さいからといって、必ずしも発見できないわけではないでしょう。大麻の種子10粒の重さは、密売される覚せい剤のいちばん小さなパケとほぼ同じですが、日本の警察官は職務質問で、乱用者のポケットや財布に隠したこの小さなパケを見事に発見しているではありませんか。輸入品の検査に当たる担当官の経験による部分も大きいと思います。

困難さの理由の第2は、不特定多数による少量の個人輸入という購買のパターンにあります。特定の販売業者が頻繁に仕入れるものは人目を引きますが、インターネットを見た個人が、それぞれ10粒単位のものをいくつか注文するという買い方なのですから、逐一検査することが難しいのはわかります。
しかし、大麻の種子を販売する業者の側は、ある程度限られています。国際的な情報交換によって、送り出される配達品の特徴を把握することが可能なのではないでしょうか。こうした情報を分析することによって、発見の可能性を拡大することができるはずです。

以上にあげた第1、第2の理由は、種子というものの特性から生じる困難さで、仮に大麻取締法の規定を変更して、種子を規制対象としたところで、発見が容易になるわけではありません。大麻の種子をよく知り、デリバリーの仕組みを解明し、情報を分析してノウハウを積み重ねる意外に、方法は見当たらないでしょう。

さて、困難さの理由の第3として、犯罪立証の難しさをあげることができます。前回で述べたように、種子の入手を栽培の準備行為としてとらえることや、種子の販売者を栽培の共犯として検挙する可能性があります。ただし、これ等の犯罪が行われたことを立証するには、栽培するつもりだったことや、相手が栽培すると知っていたことなどの主観的要件を立証しなければなりません。
大麻そのものを所持していた場合は、よほど特別な事情がない限り、内心でどう考えたかを立証することに悩むことはありません。しかし、大麻の種子を持っていたら、即、栽培するつもりであった、とは行かないのです。主観的要件を推測させる客観的な事情がなければ、立証は容易ではないと思います。主観的要件というのは、犯罪捜査のなかでは、きわめて難しいものだと思われます。

仮に、大麻取締法を改正して大麻の種子を規制対象とした場合、この点は楽になることでしょう。大麻そのものを所持した場合と同じように、いとも簡単に処理することができるわけです。
ここで結論にたどり着きました。つまり、大麻取締法を改正して大麻の種子を大麻に含めた場合に生じる利点とは、その捜査がとても簡単になるということなのです。

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