弁護士小森榮の薬物問題ノート

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zoom RSS 大麻取締法改正論を批判する―その3

<<   作成日時 : 2008/12/03 00:11   >>

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■大麻の種子を大麻として取り締まる必要があるのか
3、麻の実、けしの実が輸入禁制品となることの影響

昭和22年(1945年)に大麻取締法の前身となる大麻取締規則が制定された当時、免許を持つ大麻栽培者をおよそ3万人とすることが計画されましたが、従来、自家消費用を含めて大麻を栽培していた農家は、この数をはるかに上回っていたといいます。
その後60年が経過した2006年、大麻栽培者として登録されているのは全国でわずかに61名です。ちなみに、あへん法によって管理されているけし耕作者(けし耕作者及び甲種研究栽培者)は15名。
栽培者が減少した理由のひとつに、法規制によって手続きが煩雑になったこともあるでしょう。しかし、最大の理由は、戦後の復興と共に外国から安価な麻繊維が輸入されるようになり、やがて化学繊維の発達とともに、麻繊維の需要が減少したことによるものだと思います。

栽培者の減少を補っているのは、外国からの輸入です。大麻の種子に関しては、2007年は1年間でおよそ1100トンが輸入されました(財務省 貿易統計)。
《2007年の輸入量》
・大麻の実 2007年の輸入量 約1100トン
・けしの実 2007年の輸入量 約600トン

さて、仮に、大麻取締法を改定して、大麻の種子を規制対象にするとしたら、大麻の種子が輸入禁制品となるわけです。法律の整合性を保つために、あへん法も改定され、けしの種子も輸入禁制品になることでしょう。
原則として、私たちの生活から、これらが消えるということです。麻の実もけしの実も、小麦や大豆のような食生活の根幹にかかわる品目ではないことは明らかです。しかし、ずっと昔から、幅広く使われ、食生活の一部としてなじんできたものです。七味唐辛子が六味唐辛子になり、あんぱんや栗饅頭から粒々が消えて、食文化の一部を失います。小鳥にとっては大切な食料を失う事態でしょう。
さらに重大な点は、年間2000トン弱とはいえ、この輸入や加工、流通にかかわってきた産業の一部が失われることです。

いや、全面的に輸入禁制品とする必要はない、発芽不能処理をしたものは規制から除外して、輸入できるようにしよう、という考えもあるでしょう。しかし、それでも大きな問題が残されています。
発芽不能処理したものと、発芽能力を持つものは、外見で見分けることが困難です。いっぽうに発芽能力を有し、麻薬と同じように規制される大麻の種子があり、他方にはまったく適法な大麻の種子があることになります。厳格に管理するためには、適法に処理されたものに対して証紙を交付し、流通の主要な段階でこれを提示するような措置が要求されることになるでしょう。
さらにいうなら、輸入の方法も変化せざるを得ません。現在は、税関を通過する時点で発芽不能処理をすることが前提になっているので、一般的には、運搬された種子を日本で過熱し、通関の手続きをしています。これが輸入禁制品となると、日本に向けて積み出す時点で発芽不能処理をすることになります。相手国の証明の信頼性や、監視・確認の方法などを整備しなければならないでしょう。法律の規定や解釈によっては、輸入業務を行うのに、大麻取扱者の資格が必要になりそうです。
大麻の種子やけしの種子のように、日常生活に入り込んでいるものを原則として、輸入禁制品として管理するとなると、これは大変なことです。

もっとも、すでにお伝えしたように、外国には、発芽不能処理をしていない種子は大麻と規定している例もあります。こうした国では、混乱を避けるための実務上の工夫がされているのでしょうが、こうした実務が整い、円滑に運用されるには、ある程度長い時間が必要なものです。スムーズに動くまでの混乱や不都合は、輸入管理を妨げ、かえって管理を甘くしてしまうおそれさえあります。

12月5日加筆訂正
仮に、大麻の種子やけしの種子が輸入禁制品になったとしたら、七味唐辛子の材料が制限されて「六味唐辛子」になると書いてしまいました。これは間違いですので、訂正します。正しくは「五味唐辛子」になってしまいます。現在、標準的な七味唐辛子には、大麻の実とけしの実が使われていますから、2種類の材料が禁制品になって「五味唐辛子」になってしまいます。
ささいなことですが、念のため。

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