弁護士小森榮の薬物問題ノート

アクセスカウンタ

zoom RSS カナダの大麻政策を考える―予習の2

<<   作成日時 : 2008/12/18 01:02   >>

ブログ気持玉 0 / トラックバック 0 / コメント 0

カナダの大麻規制政策を理解するために、下記の文献を引用しながら、まず、法規制の全体像を予習しています。
小澤政治ほか「カナダ」法務総合研究所編『薬物乱用の動向と効果的な薬物乱用者の処遇に関する研究―オーストラリア、カナダ、連合王国、アメリカ合衆国―』研究部報告34、(2006)
なお、同書の記載に、私が若干の修正を加えています。

●刑事訴訟手続の概要
カナダの刑事司法制度では、犯罪は、@簡易手続により処罰されるべき犯罪、A正式手続により処罰されるべき犯罪、B検察官の選択により正式手続または簡易手続のいずれかにより処罰されるべき犯罪に分類されています。薬物事犯では、最も軽い罰則が定められている、[30グラム以下のマリファナ(または1グラム以下のハシシ)の所持]については簡易手続が行われ、比較的重い刑罰が定められている違反については正式手続、中間的なものについては簡易手続または正式手続のいずれかが選択されることになります。
量刑の選択肢として主要なものに、拘禁、条件付判決、プロベーション、罰金などがあります。条件付判決とは、2年以下の拘禁を言い渡す場合に、その執行を社会内で行うもので、裁判所が一定の遵守事項を課し、仮に遵守事項違反があれば、刑務所で残余の刑を受けるというものです。また、プロバーションは、日本の執行猶予と似た制度で、定められた期間を保護観察官の監督を受けて過ごします。なお、プロベーションは量刑上の選択肢として単独で言い渡すことができます。

●規制薬物・物質法が定める違反行為と罰則の上限
法が処罰を定めている行為は、所持、取引、輸出・輸入、製造で、各違反行為は、対象となる薬物の種類ごとに刑の上限が定められています。また、マリファナ及びハシシについては分量の多寡によって区分されています。単純所持に対する区分と刑の上限は次のとおりです。
・マリファナ(30グラム以下)又はハシシ(1グラム以下)の所持
 簡易手続 
 刑の上限:6月以下の拘禁及び/又は1000ドル以下の罰金
・マリファナ(30グラム以上)又はハシシ(1グラム以上)の所持
 簡易手続または正式手続のいずれかが選択される
 刑の上限
 (簡易手続)初犯の場合は6月以下の拘禁及び/又は1000ドル以下の罰金、再犯の場合は1年以下の拘禁及び/又は2000ドル以下の罰金
 (正式手続)5年未満の拘禁
・コカイン又はヘロインの所持
 簡易手続または正式手続のいずれかが選択される
 刑の上限
 (簡易手続)初犯の場合は6月以下の拘禁及び/又は1000ドル以下の罰金、再犯の場合は1年以下の拘禁及び/又は2000ドル以下の罰金
 (正式手続)7年以下の拘禁
・アンフェタミン、メタンフェタミン、LSD、メスカリン、サイロシビンの所持
 簡易手続または正式手続のいずれかが選択される
 刑の上限
 (簡易手続)初犯の場合は6月以下の拘禁及び/又は1000ドル以下の罰金、再犯の場合は1年以下の拘禁及び/又は2000ドル以下の罰金
 (正式手続)3年以下の拘禁

●薬物事犯の裁判
以下は、上記文献が引用しているデータの最新のものをさらに検討して、小森がまとめたものです。
Statistics Canada(http://www.statcan.gc.ca/start-debut-eng.html)に掲載された刑事司法関係の統計によれば、カナダの刑事裁判で薬物事犯を代表しているのが、所持事犯と取引事犯です。2005/2006の年度では、おおむね次のような状況でした。(出典Cases in adult criminal court by type of sentence; total convicted cases, prison, conditional sentence, probation, by province and territory / Cases in adult criminal court by type of sentence; fine, restitution, other sentences, by province and territory)

《所持事犯》
有罪判決を受けた事件数・・7,395 
 拘禁刑・・・・・・・・・・ 992
 条件付判決・・・・・・・・  82
 プロベーション・・・・・・2,232
 罰金刑・・・・・・・・・・3,895
《取引事犯》
有罪判決を受けた事件数・・6,128 
 拘禁刑に処せられた者・・・2,706
 条件付判決・・・・・・・・2,062
 プロベーション・・・・・・1,786

なお、2003年のデータによれば、拘禁刑の場合の拘禁期間の中心値は、所持事犯で10日間、取引事犯で90日間。プロベーション期間の中心値は、所持事犯で360日、取引事犯で365日です。(出典Sentenced cases and outcomes in adult criminal court, by province and Yukon)

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ

トラックバック(0件)

タイトル (本文) ブログ名/日時

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(0件)

内 容 ニックネーム/日時

コメントする help

ニックネーム
本 文
カナダの大麻政策を考える―予習の2 弁護士小森榮の薬物問題ノート/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる