弁護士小森榮の薬物問題ノート

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zoom RSS 大麻取締法改正論を批判する―その1

<<   作成日時 : 2008/11/29 18:58   >>

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いま、とてもおかしな現象が起きています。いつの間にか、大麻取締法改正論、あるいは改正期待論のようなものが、一人歩きし始めたようです。
少なくとも、私の身辺では、毎日のようにそれが渦巻いています。いったい何が起きているのか、私はこの現象に戸惑い、怪しんでいます。
この問題についての検討を、何回かにわたって続けます。

その背景は、若者に大麻使用が広がっているのではないかという危機感です。
●大麻取締法違反での検挙者が増加傾向を示している。
●違法栽培する例が多数摘発され、その多くが市販の種子を購入して栽培していた。
世間がより敏感に反応しているのは、むしろ次のような話題かもしれません。
・ 大学生の検挙が続いている
・ 芸能人やスポーツ選手の検挙もあった
以上が、大麻乱用をめぐる現在の状況です。

昨日、10月末時点での大麻事犯の検挙人員が発表されたとか。さっそく、こんな報道が掲載されています。内容は下記をお読みください。
●大麻拡大、過去最悪ペース 「使用」罰則なし…改正求める声も
(11月29日14時41分配信 産経新聞)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081129-00000517-san-soci

今年は大麻事犯の検挙人員がワースト記録を更新しそうだとのこと。私自身も、この秋から目に見えて、担当する大麻事件が増えていることを実感しています。これは、憂慮すべき事態であり、本格的な対策を投入するべき時期にきたと感じています。
しかし、対策の切り札が大麻取締法改正だという意見には、どうしても、同意しかねています。
そもそも、法改正を望む「声」を発しているのは、いったい誰なのですか?「声」の主は、なぜ法改正を求めているのですか?「声」が天から降ってきたのでしょうか。

「声」さんが大麻取締法の不備としてあげているのは、どうやら、2点あるようです。
その1、大麻取締法は大麻草の種子を規制対象から除外している
その2、大麻取締法には使用罪がない。
この2点に関して、私なりに検討をくわえることにします。なお、この問題に関して、私はちょうど、刑事弁護の専門雑誌の記事として、まとまった論考を書き上げたところです。下記をご参照ください。
季刊刑事弁護(現代人文社)http://www.genjin.jp/keiji-bengo/keiji-index.html
第56号 もう一歩踏み込んだ薬物事件の弁護術18/大麻徹底解明--大麻事犯の傾向と対策 (小森 榮)
第57号(2009年1月発刊)もう一歩踏み込んだ薬物事件の弁護術19/大麻徹底解明--大麻の種子と法的管理 (小森 榮)

第1、大麻の種子を大麻として取り締まる必要があるのか

1、種子を規制対象から除外しているのは、わが国だけか
世界のほとんどの国は、大麻を法規制していますが、規制対象に種子を含む場合と、わが国のように種子を除外する場合があります。
わが国と同じように、種子を規制対象から除外している例は多く、たとえば、連合王国(英国)では、大麻を下記のように定義し、成熟した茎とその製品、種子を規制対象から除外しています。これは、わが国とほとんど同じです。
@ 連合王国での規定(私訳)
■1971年の薬物乱用法(c.38)
(1)この法令において、本文中に別な要請がない限り、次の表現は、それぞれここで各用語に割り当てられた意味を有するすなわち:―
「大麻」とは(「大麻樹脂」と表現される場合を除き)、カンナビス属のすべての植物、そのすべての植物の部分をいい(いかなる名称で呼ばれようとも)、大麻樹脂及び植物の他の部分と分離された次の製品を除く。
(a)これらすべての植物の成熟した茎
(b)これらすべての植物の成熟した茎から製造された繊維及び
(c)これらすべての植物の種子
Misuse of Drugs Act 1971 (c. 38)
(1) In this Act, except in so far as the context otherwise requires, the following expressions have the meanings hereby assigned to them respectively, that is to say:—
“cannabis”(except in the expression “cannabis resin”) means any plant of the genus Cannabis or any part of any such plant (by whatever name designated) except that it does not include cannabis resin or any of the following products after separation from the rest of the plant, namely—
(a) mature stalk of any such plant,
(b) fibre produced from mature stalk of any such plant, and
(c) seed of any such plant;

いっぽうアメリカ合衆国(連邦)では、法文上は、大麻の種子は基本的に大麻として規制対象となっています。除外されるのは、成熟した茎とその製品、発芽不能処理をした種子とその製品です。ほかにも数か国で大麻の種子を原則的に規制対象としているようですが、私はいま各国の規制について、明確な発言をするだけの準備がないので、とりあえず、具体例を掲げます。

A アメリカ合衆国での規定(私訳) 
■USCタイトル21 物質規正法  セクション802 定義
(16)マリファナとは、生育しているか否かを問わずカンナビス・サティヴァ・エル植物のあらゆる部分:その種子、いかなる部分であれその植物から抽出された樹脂、その植物のあらゆる化合物、製品、塩、派生物、混合物、調製品、その種子または樹脂をいう。この用語には、その植物の成熟した茎、その茎から製造された繊維、その植物の種子から製造された油脂及び油脂カス、その成熟した茎の化合物、製品、塩、派生物、混合物、調製品(それから抽出された樹脂を除く。)、繊維、油脂、油脂カス又は発芽しないよう処理されたその植物の種子は含まれない。
Title 21 United States Code (USC) Controlled Substances Act  Section 802. Definitions
(16) The term "marihuana" means all parts of the plant Cannabis sativa L., whether growing or not; the seeds there of; the resin extracted from any part of such plant; and every compound, manufacture, salt, derivative, mixture, or preparation of such plant, its seeds or resin. Such term does not include the mature stalks of such plant, fiber produced from such stalks, oil or cake made from the seeds of such plant, any other compound, manufacture, salt, derivative, mixture, or preparation of such mature stalks (except the resin extracted therefrom), fiber, oil, or cake, or the sterilized seed of such plant which is incapable of germination.

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