弁護士小森榮の薬物問題ノート

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zoom RSS 青少年に大麻を教える その5−続・アメリカの精神医学テキストの説明

<<   作成日時 : 2008/11/19 23:32   >>

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アメリカ精神医学の解説書『カプラン精神医学テキスト』が、大麻関連の精神障害をどのように説明しているか、検討を続けます。出典は、ベンジャミン・J. サドック編井上令一ほか訳『カプラン臨床精神医学テキストDSM‐IV‐TR診断基準の臨床への展開』メディカル・サイエンス・インターナショナル(2004)。大麻(カンナビス)関連障害はp.467〜471。

乱用される薬物の多くは、大量・連続使用によって精神病症状を誘発することが知られています。たとえばアルコール誘発性瀬信病性障害、コカイン誘発性精神病性障害、幻覚薬誘発性精神病性障害・・・。大麻の場合は大麻誘発性精神病性障害、大麻精神病とも呼ばれます
さて、大麻精神病について、カプランの記述をみていきましょう。
「大麻誘発性精神病性障害は、大麻によって誘発された精神病症状が存在する場合に診断される。大麻誘発性精神病性障害は稀である。一過性の妄想性思考がしばしばみられる。派手な症状を示す精神病は、高用量の大麻が長期間手に入りやすい国で比較的多くみられるようである。精神病状態は時に大麻精神病と呼ばれる。幻覚薬中毒にしばしば伴う不快体験は、大麻使用ではめったにみられない。大麻誘発性精神病性障害が起こるとすれば、それは既存の人格障害と関連している可能性がある。」

薬物が誘発する精神病症状は、薬物乱用の害として、もっとも印象的なものだといえるでしょう。実際、日本で乱用者がもっとも多い覚せい剤の長期乱用者では、かなりの高率で覚せい剤によって精神病症状が誘発されることが知られています。覚せい剤と同じ中枢神経興奮作用をもつコカインは、アメリカではやはり、精神病症状を誘発する危険性の高い薬物と考えられています。
カプランから、コカイン誘発性精神病性障害の項目の一部を引用します。
「幻覚と妄想は全コカイン使用者の50%に起こると考えられる。それらの精神病症状の発現は、薬用量、試用期間、使用者個人の感受性による。(略)精神病症状の中で、妄想が最も頻繁に起こるが、幻聴も一般的である。(略)精神病性障害は非常に不適切な性行動、全体的に奇妙な行動、そして妄想や幻覚の内容と関連した殺人あるいは他者への暴力的行為へと発展する。(略)」
比較してみると、大麻精神病とコカイン精神病の違いが、なんとなくわかっていただけることでしょう。この違いを理解して教えることが、必要だと思うのです。「薬物はすべて精神病を誘発し、幻覚や妄想から、殺人にいたることもある」という大雑把な教え方では、いけないのではないでしょうか。

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