弁護士小森榮の薬物問題ノート

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zoom RSS 大麻取締法の生い立ちを考える・その13−大麻取締法の改正

<<   作成日時 : 2008/09/25 23:56   >>

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1948年(昭和23年)に大麻取締法が制定されましたが、この法律はその後何回か改定を経て今日のものになっています。私は、大麻取締法の改正には、次のような3つの時代区分があると考えています。
@大麻栽培の規制緩和――1948年(昭和23年)から昭和28年ころ
A大麻乱用への警戒と罰則の強化――1963年(昭和38年)ころ
B薬物乱用問題への国際的な取り組み――平成2年以降

まず、最初は一連の規制緩和の流れです。戦後日本の大麻規制は、1945年(昭和20年)の栽培禁止から始まり、段階的に規制が緩和されてきました。1948年(昭和23年)の大麻取締法制定も、緩和の一段階であったと考えることができるのです。大麻栽培者の負担を軽減することによって、大麻栽培をする農業者を増やし、麻繊維の増産を図る方向で法律の改定が行われました。主な改定は以下のとおりです。
[大麻栽培者の報告義務]
・昭和20年、大麻取締規則制定時には毎月の報告を定める。
・昭和23年、大麻取締法制定時に、報告を毎月から年4回に軽減。
・昭和27年改定で、報告を年1回に軽減。
・昭和28年改定で、種子に関する報告が削除されたことにより報告内容が簡略に。
[大麻の種子に関する規制]
・昭和28年改定で、大麻の種子は規制対象外に。
[証紙の交付と保存]
・昭和28年改定で、大麻の譲り渡し、譲り受け時の証紙の交付とその保存義務を削除。

しかし、段階的に緩和されたとはいえ、免許の申請、報告、検査などの手続きは、多くの農家にとって面倒なものだったことでしょう。当時、大麻栽培のほとんどは農家の副業であり、主に自家消費用に小規模な栽培をする例も多かったことを考えると、事務手続きのわずらわしさは、想像以上のものだったかもしれません。昭和27年、サンフランシスコ講和条約の締結により連合国軍による占領から解放されたことで、大麻取締法の撤廃を求める陳情もあったといいます。
昭和29年の衆議院予算委員会の議事録に、当時の意見の一端をみることができます。厚生省予算をめぐる討議のなかでの、自由党議員の発言を抜粋して紹介します。なお、これは予算委員会での発言であり、大麻取締法の廃止が議案として取り上げられたものではありません。当時の風潮を示すエピソードとして紹介するものです。

○わが国が占領されました当時、いろいろ国情に合わないところの諸法律がたくさんできております。一昨年独立いたしまして、自由党としてはできるだけ行き過ぎの是正をやろう、こういうことを国民に公約をいたしておるのであります。その行き過ぎの法律の一つといたしまして大麻取締法というものがあるのであります。この大麻取締法に基きまして、わが国の二万七千になんなんとする農民が、毎年大麻をつくるために一々所管官庁の許可を得なければならない、こういう状態になつておりまして、農民がまことに不便を感じている。それがために次第に大麻の生産の減産を来しておる、こういう状態になつております。
○実際にわが国においてこの大麻をつくりまして、これを麻薬剤として使用したという人の話を、私はいまだかつて聞いておらない。占領軍がわが国へやつて来るまでは何らこの大麻に対する取締りというようなものはなかつたのであります。それがポツダム政令によりまして、何らわが国内において害毒を流したことのない大麻に対しまして、突然こういうまことに厳重な法律をおつくりになつた。しかも年々これを加重されまして、農民にいろいろな不満をお与えになつておるわけなんです。
○農民には免許手数料あるいは戸籍抄本、身体検査書、身元証明書、こういうようなものを一々つくらせて許可制度になさつておられるのは、私は行き過ぎではないかと思うのであります。私は、むしろこれを廃止いたしましても、決して国民に迷惑を与え、あるいは駐留軍に迷惑を与えるようなことはないと思うのであります。
○結局全国二万七千人の農民が、大麻をつくるために一々やつかいな書類の手続をしなければならないのです。しかもその法律というのは、わが国民の自由意思に基いてつくつた法律ではない。しかも実害はない法律です。実害があれば法律でこれを取締るということになりますが、実害が現実になかつたのにこういう法律ができ上つた。それがために農民が不便を感じておりますので、農林大臣、外務大臣、あるいは厚生大臣ともどもに十分御研究くださいまして、できれば廃止するように努力してもらいたい。もし廃止ができなければ届出制度にとどめてもらいたい、こういうことを要望いたしておきます。
(昭和29年2月11日衆議院予算委員会議事録より、船越弘議員の発言の一部を抜粋)

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