弁護士小森榮の薬物問題ノート

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zoom RSS 薬物についての脅しと誇張―リーファー マッドネスの教訓

<<   作成日時 : 2008/07/26 19:23   >>

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1930年代、アメリカ合衆国がマリファナ税法を導入した時期、マリファナの有害性を啓発するために政府はさまざまなキャンペーンを展開しました。その中で製作された映画が『リーファー マッドネスReefer Madness』です。Reeferとは大麻タバコのこと。大麻タバコを吸った人々が、まるで悪魔に魅入られたように豹変し、享楽主義におぼれ、退廃していくといった内容です。
後年、この映画は、大麻に対する法規制の見直しを求める団体によって再発見され、マリファナに関する迷信を植えつけたとして、痛烈な批判を浴びることになりました。そして、マリファナに関して政府が言うことは、すべて迷信だといった風潮さえ生み出してしまったのです。マリファナは無害ではない、無視できない精神影響があると説いても、人々にそれを信じてもらうことが、困難になってしまっています。
なお、リーファー マッドネスについては、当ブログ5月25日 改めて大麻を考える その17で簡単に触れました。
http://33765910.at.webry.info/200805/article_21.html

青少年に薬物乱用防止を呼びかけるとき、私たちはとかく「こんなに怖いことが起きるから」と脅して、薬物使用を思いとどまらせようとします。この映画のように、大麻を使う人たちが、みるみる退廃し、人生を破綻させてしまうとしたら、大麻の恐ろしさを子どもに教えるのは簡単でしょう。でも、大麻に限らず、あらゆる薬物やアルコールは、それほど急激に人を変えてしまうものではありません。

私はよく、薬物の影響を酒にたとえて話します。酒は強い精神作用と依存性のある物質ですが、最初のうちは、陽気になり、ストレスが取れ、本人も周囲も酒のプラス効果を強く感じています。しかし飲酒を重ねるうちに、酒の上での失態、失敗を起こしたり、暴力や暴言などの迷惑行為のために人間関係が破綻したり、健康を害したり、飲酒のマイナス面が表面化してくる人が出ます。アルコールが効いているときだけでなく、素面のときにも精神にさまざまな影響がでる人もあります。ここで飲酒を制限したり、やめようとして、はじめてアルコール依存に気づく人もあります。飲酒がらみの問題は、飲酒をやめない限り、どんどんエスカレートし、やがて人生を破綻させ、家族や他人にも大きな影響をもたらすことになりかねません。
飲酒人口の何割かが、アルコール依存に至るといわれます。また飲酒を始める年齢が低いほど、飲酒による問題は早い時期に、重大なものとして現れるといいます。

子どもたちに飲酒の問題を教えることは、とても大切だといいます。でも、リーファー マッドネスのように、酒は悪魔の飲み物で、たちまち人生を破綻させると脅すのは、よい教え方ではないと誰でも気づきます。なぜなら、子どもたちは、目の前で酒を飲むおとなが、たちまち破綻したりせずに生活しているのを見ているのですから、こんな教え方は通用しません。

ところが、こと薬物に関しては、いまだに脅しや誇張で子どもたちの好奇心を押さえ込もうとする傾向が、いまでも続いている気がします。脅しや誇張は、ある日、化けの皮がはがれます。その瞬間、これまで薬物に関して教えられたすべてのことが、「なあーんだ、嘘だったのか」と否定されてしまうのです。子どもたちのすぐそばに、いろんな薬物が供給されている現在の社会で、誇張と脅しで教えることだけは、やめたいと思います。

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