弁護士小森榮の薬物問題ノート

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zoom RSS 大麻の種子のまとめ、その5

<<   作成日時 : 2008/06/24 21:11   >>

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第2 大麻取締法における種子の位置づけ
 
1 大麻取締法という法律
⑴ 大麻取締法の制定
世界的に大麻乱用に対する法規制がとられ始めたのは1930年代ころですが、日本では、昭和5年の旧「麻薬取締規則」でインド大麻を麻薬に指定して、その規制が行われてきました。
大麻は、第二次世界大戦のころまでは、日本のいたるところで栽培され、その繊維や種子は重要な農産物として流通していました。ところが、占領下の昭和20年、「麻薬原料植物ノ栽培、麻薬ノ製造、輸入及輸出等禁止二関スル件」によって、大麻も麻薬として規制対象とされ、大麻草の栽培が全面的に禁止されました。当時の日本では麻繊維の需要が大きく、この需要に応じるためには大麻草の栽培再開が必要であったことから、GHQとの交渉の結果、繊維及び種子の採取を目的とする場合に限り、許可制の下に大麻草の栽培を認める内容の「大麻取締規則」が、昭和22年に制定されました。
昭和23年、「大麻取締規則」が廃止され、大麻取締法(昭和23年法律第124号)が制定(同年7月施行)されました。同法は、大麻の用途を学術研究及び繊維・種子の採取だけに限定し、大麻の取扱いを免許制とし、免許を有しない者による大麻の取扱いを禁止するとともに、違反行為を規定して罰則を設けたものです。

⑵ 第1条ただし書きによる除外
大麻取締法は、第1条で、この法律が対象とする大麻を「大麻草(カンナビス・サティバ・エル)及びその製品をいう。ただし、大麻草の成熟した茎及びその製品(樹脂を除く。)並びに大麻草の種子及びその製品を除く。」と定義し、その規制対象から@大麻草の成熟した茎及びその製品(樹脂を除く。)、A大麻草の種子及びその製品を除外しています。
「ただし」以下の文章は「第1条ただし書き」と呼ばれますが、大麻を規制するにあたって、重要な農産物であった大麻の生産や流通への配慮がなされたのが、この第1条ただし書きの部分なのです。

@ 法律制定時の規定
規制対象から除外されているものは、まず大麻草の成熟した茎で、これは麻繊維の原料となるものです。大麻草の成熟した茎は重要な農産物ですから、法律制定時から、規制対象から除外されていました。いっぽう大麻草の種子は、鳥のえさや七味唐辛子など、比較的用途が限られていたためか、同法の制定当初は規制対象として厳格な管理が義務付けられており、「発芽不能のもの」だけが規制から除外されていました。発芽する種子については、第15条に、大麻取扱の免許を受けた大麻栽培者は、4半期ごとに、期間末に所持した発芽可能の大麻草の種子の数量を厚生大臣に届けなければならないと定められていました。これは、栽培農家にとってたいへんな負担だったことでしょう。
[法律制定時の規定]
大麻取締法(昭和23年7月10日法律第124号)
第1条 この法律で「大麻」とは、大麻草(カンナビス、サテイバ、エル)及びその種子並びにそれらの製品をいう。但し、大麻草の成熟した茎及びその製品(樹脂を除く。)並びに発芽不能の種子及びその製品を除く。
    
A 昭和28年の法改正
昭和28年の改正では、大麻の種子を規制対象から除外すると同時に、15条1に規定された大麻の種子の数量の報告義務が削除されました。これで、基本的に大麻の種子は同法の規制対象ではなくなったわけです。しかし、この改正が行われた後の法律では、その文面だけをみると、大麻の種子が規制されているのかどうかについて、少々わかりにくいところがありました。
[改正内容]
大麻取締法の一部を改正する法律(昭28年3月17日 法律第15号)
大麻取締法(昭和二十三年法律第百二十四号)の一部を次のように改正する。第1条中「その種子並びにそれらの製品」を「その製品」に改め、「並びに発芽不能の種子及びその製品」を削る。
[改正後]
第1条 この法律で「大麻」とは、大麻草(カンナビス、サテイバ、エル)及びその製品をいう。但し、大麻草の成熟した茎及びその製品(樹脂を除く。)を除く。

B 平成3年の改正
その後、平成3年に、もう一度、第1条ただし書きが改正されていますが、その趣旨は、大麻の種子が除外されていることを明示することにあったといわれています。その事情について、次のような説明があります。
「昭和23年に制定された大麻取締法では、種子は発芽不能のものを除いて規制の対象であったが、昭和28年の第三次改正において「種子」を条文から削除し、種子を規制の対象から除外した。
しかし、その後も規制の対象である「大麻草」に種子も含まれるのではないかとの疑念が生じていたことから、混乱を避けるため平成3年第11次改正において種子を除外する旨を入念的に明文化した(古田佑起ほか「大麻取締法」13頁、古田佑起ほか編『大コメンタール薬物五法』青林書院(1996)」
[改正内容]
麻薬及び向精神薬取締法等の一部を改正する法律(平成3年10月5日法律第 93号)
 大麻取締法(昭和23年法律第124号)の一部を次のように改正する。
 第1条中「カンナビス、サテイバ、エル」を「カンナビス・サティバ・エル」に、「但し」を「ただし」に改め、「除く。)」の下に「並びに大麻草の種子及びその製品」を加える。
[改正後=現行のもの]
第1条 この法律で「大麻」とは、大麻草(カンナビス・サティバ・エル)及びその製品をいう。ただし、大麻草の成熟した茎及びその製品(樹脂を除く。)並びに大麻草の種子及びその製品を除く。

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