全国でラッシュ輸入事件の処分が続く

このところ、各地から、ラッシュの個人輸入に関連した、逮捕や裁判の報道が発信されています。

今年4月から改正関税法が施行され、指定薬物が、麻薬や覚せい剤と同様に輸入禁制品となりました。
指定薬物の輸入は医薬品医療機器法で禁止されていますが、改正前の関税法では輸入禁制品になっていなかったため、税関検査で指定薬物を発見した場合に、税関としてこれに対して差押などの強制処分する権限がありませんでした。悪質なものは警察に連絡したり、輸入者の同意を得て廃棄し、あるいは送付元へ返送するなど、税関としても対応に苦慮してきたといいます。
そのため、少量を自分で使うために個人輸入する場合は、たとえ税関で発見されても、逮捕されることはめったに起きないと、指定薬物の輸入を甘く見る人たちがいたようです。なかでも多かったのが、外国のインターネットサイトを通じて、ラッシュを個人輸入しようとする人たちで、特有の小瓶を収めた箱入りの荷物が、国際郵便物として続々と日本に送られてきました。

改正法が施行された4月1日以降、全国の税関では、新たに輸入禁制品となった指定薬物が押収され始めました。関税法に基づく指定薬物輸入の摘発を最初に発表したのは大阪税関で、5月中旬に、中国からの輸入を摘発したと発表しました。その後、東京税関、横浜税関と摘発の発表が続きましたが、押収された薬物はいずれもラッシュでした。

6月中旬には、財務省の報道発表として、全国の税関では今年4~5月の2か月間で摘発された指定薬物の違法輸入が、実に479件にのぼったと発表されました(下記参照①)。新聞報道によれば、摘発された薬物の9割までが、いわゆる「ラッシュ」だということです。
国際郵便の検査が集中する横浜税関では、指定薬物輸入の摘発も集中し、4~5月での摘発が255件になったと発表され(下記参照②)、また東京税関でも同期間に149件が摘発されたということです(下記参照③)。

たいていは、外国の通販サイトに注文して個人輸入しようとした品物でしょう。上記の税関発表をみると、品物の発送場所として圧倒的に多いのが中国ですが、ほかにも英国、チェコ、米国と意外に多様です。おそらく、いろんな国の販売業者がラッシュを取り扱っているのでしょう。
こうした業者の多くが、「合法」と称して、ラッシュなどの薬物を販売しています。業者は、注文を受けた品物を国際郵便や国際宅配便を使って日本に送ってきます。税関に申告する名目は、商品見本、アクセサリーなどとなっていて、内容物の価格もいい加減な数字が記載されています。たぶん、発送元の住所や名前もいい加減なものなのでしょう。
税関検査をすり抜けようと、あの手、この手を駆使する販売業者に対抗して、膨大な輸入品のすみずみまで目を光らせているのが、税関検査です。わずか2か月分でこれほどの摘発実績があがったのですから、やはり日本の税関検査は厳しい。

しかし、これだけの大量摘発となれば、一連の事案の処分には、かなりの時間がかかることでしょう。税関で関税法違反に関する調査が行われ、都道府県警察では、医薬品医療機器法違反事件としての捜査も行われることになります。たとえ数本のラッシュの輸入事案であっても、数キロ単位の覚せい剤輸入事件の場合と、調査や捜査の基本は同じで、摘発された薬物と注文主を確実に結びつけるには、数多くの情報を集め、分析しなければならないのです。
まだしばらくは、ラッシュ輸入に関係した事件報道が続くことになりそうです。

[参照]
①財務省の報道発表
「関税法改正後の指定薬物密輸事犯の摘発状況」(2015年6月19日)
http://www.mof.go.jp/customs_tariff/trade/safe_society/mitsuyu/other/ka20150619.htm
②横浜税関の発表
産経ニュース「横浜税関、危険ドラッグ摘発255件 中国からの発送が最多」 6月11日(木)7時55分配信
③東京税関の報道発表
「関税法改正後の指定薬物の摘発件数149件」(2015年6月25日)
http://www.customs.go.jp/tokyo/content/20150625_shiteiyakubutsu.pdf

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