小中学生にも薬物検査|アメリカのニュースから

ニュージャージー州中部のベルヴィディアという小さな町では、小中学校の第6学年(日本の小6)、第8学年(日本の中2)生徒に対して薬物・アルコール検査を行うことになったと、ニュースが伝えています。
アメリカでは、スポーツなどの課外活動に参加するハイスクール生を対象に薬物検査を行うプログラムがあり、学校で薬物検査が行われることは珍しくないのですが、小中学生に薬物検査は少し早すぎるのでは・・・と話題になっています。

この町では、現在ハイスクール生に対する薬物テストのプログラムが導入されており、生徒は、運動競技や課外活動に参加するときや、駐車許可を受けるときには、ランダムな薬物検査を受けることに同意しなければなりません。検査の対象を低学年にまで引き下げることで、子どもたちの薬物乱用を抑止する効果を期待するものだといいます。
検査は、生徒と保護者の同意があった場合に行われ、もしも検査の結果が陽性だったとしても、停学になったり、警察に通報されることはありません。
[参照]
CNN>Should students be drug tested?
http://edition.cnn.com/video/#/video/us/2011/01/12/snow.nj.middle.school.testing.cnn?iref=allsearch

アメリカの薬物検査は、ベトナム戦争のころ、軍を中心に導入され始めました。兵士が薬物を使っていたことから起きた航空母艦ニミッツの事故を教訓に、アメリカ海軍は1982年に、乗員全員を対象にした無作為の薬物検査を導入したのです。やがて、すべての軍で検査が行われるようになり、さらに公安に関係する連邦職員にも検査を科すようになりました。また、民間企業でも、薬物検査の導入が進みました。
こうした流れをうけて、1995年ころから学校でも薬物検査プログラムを導入する例が出始め、徐々に広まっています。

学校での薬物検査では、薬物使用の疑いのある生徒を摘発するために行われるものではありません。課外活動に参加する生徒などを対象に、無差別に検査を行い、もしも陽性結果が出ても、一定期間課外活動への参加を見合わせ、カウンセリングを受けたり、専門機関でトリートメントを受けるようすすめられることになります。停学などの制裁措置が科されることもありません。
そもそも、アメリカでは、薬物の使用は原則として犯罪ではないので、逮捕されたり、刑罰を科されるはありません。ですから、仮に薬物検査で陽性になったとしても、警察に通報されたりすることにはならないのです。その意味では、薬物検査はアルコール検査と同じような、健康に対する配慮として、検査が行なわれているのです。
とはいえ、学校での薬物検査は子どものプライバシーを侵しているという反論も多く、その適法性を問う訴訟も絶えません。さて、小中学生にまで薬物検査をするというニュースに、学校薬物検査をめぐる議論が、ふたたび沸騰しそうです。
[参照・当サイト内関連記事]
■尿検査の問題点…アメリカでの薬物検査をめぐって(薬物の尿検査・5)
http://33765910.at.webry.info/200806/article_10.html
■尿検査の問題点…アメリカの学校薬物検査をめぐって(薬物の尿検査・6)
http://33765910.at.webry.info/200806/article_11.html

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