スパイスのその後|EU薬物報告書2010年版

11月10日、EUの薬物問題研究機関EMCDDAが2010年版の報告書Annual report 2010を発表しました。
今年の報告書では、大きな変化を迎えているヨーロッパの薬物状況がクローズアップされています。まず、報告書の概要を把握するために、報道発表から目を通してみましょう。

今年の報告書のテーマは「ヨーロッパは、薬物の供給と使用の変化による新しい状況に直面している」というもの。ここ数年、ヨーロッパの薬物状況は大きく変化しています。
まず、南米からもたらされるコカインの急増。ヨーロッパ全体で、コカイン関連の死亡例が年間1000人を超えるという数字が、状況の深刻さを表しています。もうひとつ、ヨーロッパでは比較的新顔の薬物がメタンフェタミン(わが国でいう覚せい剤)も、北欧など一部の国では深刻な乱用を引き起こしています。
しかし、ヨーロッパで最も広まっている薬物は、やはり大麻。とくに東欧諸国での使用者の増加が報告され、薬物トリートメント参加者の5人に1人は、問題になっている主な薬物として大麻をあげているといいます。
最後に、もうひとつ注目されるのが、新顔薬物のラッシュともいえる状況。2009年にEUの監視システムに報告された新物質は24、2010年には実に31物質と、これまでの倍近くの新顔薬物が市場で確認されています。そのすべてが合成薬物だったとか。近年、メフェドロンやスパイスなどいわゆる脱法ドラッグが大きな問題を起こしており、薬物問題に新しい側面を生み出しているようです。
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↑EMCDDA ANNUAL REPORT 2010
[出典]
EMCDDAのサイト
http://www.emcdda.europa.eu/index.cfm
2010年版の報告書の報道発表
http://www.emcdda.europa.eu/news/2010/11

●スパイス問題は峠を超えた
さて、私は2010年の報告書を手にして、気になっていた新顔薬物の箇所から、とりあえず拾い読みし始めました。
報告書93ページ「スパイス現象」という項目では、「2010年のオンライン調査では、いわゆる‘スパイス’を販売しているオンラインショップは、前年と比べて急速に減少した。」と報告されています。スパイス等を販売するショップが2009年にはネット上に55あったものが、2010年には21と減少しています。
‘スパイス’を販売するショップのほとんどは英国(UK)に拠点を置くものだといわれ、2009年にはUKベースのショップが23ありましたが、2010年にはわずか2件。3件はアメリカに本拠を置いています。
‘スパイス’風の商品を販売するショップのうち6件は在庫切れと表示しており、単に‘スパイス’のブランド力にあやかったものかもしれないとみられています。
スパイス風の製品の大量押収の報告はなく、これらに関連した犯罪の報告もないとのこと。
いち早く合成カンナビノイドの規制に着手したヨーロッパでは、どうやら‘スパイス’問題は峠を越えたようです。英国(UK)では、一連の合成カンナビノイドに対して、包括的な規制措置を採用しましたが、その成果は、オンラインショップの減少となって現れたようです。
日本では、主にヨーロッパからの商品が出回っていたので、日本の‘スパイス’問題も、そろそろ下火になることでしょう。しかし、新しい成分や商品がいつ登場してもおかしくない状況。まだまだ油断はできません。

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