クラトムが指定薬物に|2016年3月の新規指定
3月9日、厚生労働省は新たに5物質および1植物を指定薬物に指定したと発表しました。同日付で省令が公布され、10日後の3月19日から施行されます(下記参照①)。
施行日以降は、今回指定された各物質が指定薬物として取り締まり対象になり、研究者などを除く一般人が、これらの物質を輸入、販売、所持、使用などした場合は、法律違反として処罰を受けます。
なお、今回新たに指定された物質および植物の通称名や化学構造は、厚生労働省サイト内の「指定薬物名称・構造式一覧(2016年3月9日現在)」で確認することができます(下記参照②)
↑3月9日指定の内容
この表は、厚労省の発表に基づいて、私が物質の性格別にまとめたものです。
・既指定の類似物質・・・新規指定物質の性格を理解するために、指定薬物または麻薬として既に規制されている物質から、類似構造をもったものを選び出しました。
・表中の番号は、私が任意につけたもので、厚労省の発表したものと異なっています。
●クラトムが植物としては2番目の指定対象に
2007年に指定薬物の制度が導入された際、最初に指定されたなかに、幻覚性の植物系ドラッグとして販売されていた、サルビア・ディビノラムもはいっていました。この時の指定は、植物としてのサルビア・ディビノラムとともに、その主要成分であるサルビノリンAも指定薬物に指定されました。
今回、2番目の植物としてクラトムが指定され、同時にその主要成分のミトラジニン、7-ハイドロミトラジニンも指定薬物に指定されました。
クラトム(指定名はミトラガイナ スペシオーサ)は東南アジア原産の植物で、植物の分類としてはコーヒーやジャスミンに近い灌木です。その葉には精神作用のある成分が含まれ、タイなどでは古くから民間療法に使われてきました。
クラトムは、低用量では興奮作用をもたらし、大量を使うと鎮静作用があるといわれます。
クラトムは、植物系のドラッグとして欧米でも広まっていますが、東南アジア以外ではこれを法規制の対象としている国は少なく、米国でも規制物質法(CSA)の規制対象になっていません(下記参照③)。
なお、現在の欧米諸国で、植物系のドラッグとして広まっている代表格には、サルビア・ディビノラム(わが国では指定薬物)、クラトム(今回の指定対象)カートなどがあります。
↑クラトムの説明、米DEAの資料より(下記参照③)
[参照]
①厚生労働省サイト内情報(2016年3月9日)
「指定薬物を指定する省令が公布されました」
http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iyakuhin/yakubuturanyou/oshirase/20160309-1.html
②同サイト内「指定薬物名称・構造式一覧(2016年3月9日現在)PDF版
http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iyakuhin/yakubuturanyou/dl/meisho.pdf
③米DEAの資料
Drugs of Abuse 2015年版(クラトムについては84ページ)
http://www.dea.gov/pr/multimedia-library/publications/drug_of_abuse.pdf
施行日以降は、今回指定された各物質が指定薬物として取り締まり対象になり、研究者などを除く一般人が、これらの物質を輸入、販売、所持、使用などした場合は、法律違反として処罰を受けます。
なお、今回新たに指定された物質および植物の通称名や化学構造は、厚生労働省サイト内の「指定薬物名称・構造式一覧(2016年3月9日現在)」で確認することができます(下記参照②)
↑3月9日指定の内容
この表は、厚労省の発表に基づいて、私が物質の性格別にまとめたものです。
・既指定の類似物質・・・新規指定物質の性格を理解するために、指定薬物または麻薬として既に規制されている物質から、類似構造をもったものを選び出しました。
・表中の番号は、私が任意につけたもので、厚労省の発表したものと異なっています。
●クラトムが植物としては2番目の指定対象に
2007年に指定薬物の制度が導入された際、最初に指定されたなかに、幻覚性の植物系ドラッグとして販売されていた、サルビア・ディビノラムもはいっていました。この時の指定は、植物としてのサルビア・ディビノラムとともに、その主要成分であるサルビノリンAも指定薬物に指定されました。
今回、2番目の植物としてクラトムが指定され、同時にその主要成分のミトラジニン、7-ハイドロミトラジニンも指定薬物に指定されました。
クラトム(指定名はミトラガイナ スペシオーサ)は東南アジア原産の植物で、植物の分類としてはコーヒーやジャスミンに近い灌木です。その葉には精神作用のある成分が含まれ、タイなどでは古くから民間療法に使われてきました。
クラトムは、低用量では興奮作用をもたらし、大量を使うと鎮静作用があるといわれます。
クラトムは、植物系のドラッグとして欧米でも広まっていますが、東南アジア以外ではこれを法規制の対象としている国は少なく、米国でも規制物質法(CSA)の規制対象になっていません(下記参照③)。
なお、現在の欧米諸国で、植物系のドラッグとして広まっている代表格には、サルビア・ディビノラム(わが国では指定薬物)、クラトム(今回の指定対象)カートなどがあります。
↑クラトムの説明、米DEAの資料より(下記参照③)
[参照]
①厚生労働省サイト内情報(2016年3月9日)
「指定薬物を指定する省令が公布されました」
http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iyakuhin/yakubuturanyou/oshirase/20160309-1.html
②同サイト内「指定薬物名称・構造式一覧(2016年3月9日現在)PDF版
http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iyakuhin/yakubuturanyou/dl/meisho.pdf
③米DEAの資料
Drugs of Abuse 2015年版(クラトムについては84ページ)
http://www.dea.gov/pr/multimedia-library/publications/drug_of_abuse.pdf
この記事へのコメント
葉などの植物を、生のまま口腔内で噛む文化圏は、比較的温暖気候の国々が多いです。
南米、東アフリカ、中東、東南アジア全般で見ることが出来ます。
特に経済発展した途上国では、物流増加に伴う、運転手の激務が起こり、その疲れを取る為に人気があります。
地域によって葉の形状も様々で、広葉形状以外に、細長い葉の形状も見掛けました。
植物の名前など詳しく分かりませんが、地域によって多様な葉の形状が存在します。
唯一、葉形状ではなく、実形状のビンロウ。名物ビンロウは、台湾文化の象徴で、運転手に大人気です。
台北101Tower近くに、ビンロウ屋さんが軒を連ねる商店街が在ります。摂取時に真っ赤な血液みたいな唾液が出るので、日本人は違和感を感じるでしょう。
世界各国では、まだまだ先進国が知らない、未規制の特産品が出てきそうです。