予防的規制|シバガス(亜酸化窒素)のケース

大阪で逮捕された危険ドラッグ販売業者のもとから、シバガス(亜酸化窒素)が押収されていたことが話題になっています。
このところ、やや話題が先行している感のあるシバガスの乱用問題ですが、実際に危険ドラッグのルートで販売されていた実態が、改めて確認されたわけです。

<ニュースから>*****
●違法販売の「亜酸化窒素」押収 取締り強化へ
大阪で、危険ドラッグを販売目的で隠し持っていたとして逮捕された男の関係先から、麻酔などに使われる「亜酸化窒素」が押収されたことが、警察への取材で分かりました。
違法に販売されている「亜酸化窒素」が国内で押収されたのは初めてで、警察は危険ドラッグに代わって乱用が広まっているとみて、取締りを強化することにしています。
ことし6月、危険ドラッグおよそ14グラムを販売目的で車に隠し持っていたとして、大阪・平野区の37歳の男が薬事法違反の疑いで逮捕・起訴されました。この事件で、警察と近畿厚生局麻薬取締部が男の関係先を捜索した結果、小型のボンベに入った「亜酸化窒素」が複数押収されたことが、警察への取材で分かりました(以下省略)。
NHK News Web 11月19日 7時34分
*****

英国を中心に、ヨーロッパではかなりの広がりを見せている亜酸化窒素の乱用。夢中になってガスを吸い続け、肺の中の酸素が欠乏して窒息死してしまうというケースも、少なからず発生しています。
都道府県ではこの亜酸化窒素を条例によって規制する例も出始め、厚生労働省も、近く指定薬物として規制する方針で準備を進めているところで、11月21日まで、パブリックコメントの意見募集中です。

現時点では、まだ指定薬物としての規制は行われていませんが、厚労省は、無承認医薬品の無許可販売にあたるとして、取り締まる意向を示しています。亜酸化質素は「笑気ガス」の名で麻酔薬に使われる医薬品で、それを乱用目的で販売することは、医薬品医療機器法違反にあたるわけです。

●未然防止という方針
わが国の薬物乱用状況に落ち着きが見え始めたころから、薬物対策の柱のひとつとして、「未然防止」というスローガンが登場するようになりました。未然防止とは、教育や啓発活動などを通じて青少年の薬物乱用を防止すること、また、新たに出現する薬物に対して迅速に対策を講じることなどを通じて、薬物乱用の蔓延を未然に防止しようという方針をさしています。
今回の亜酸化窒素への対応も、未然防止としての規制措置であるとみることができるでしょう。幸い、わが国ではまだ、目だった乱用状態には至っていない様子ですが、ヨーロッパでの乱用拡大の勢いをみれば、わが国に本格的に伝播した場合、その影響は大きいと予測することができます。

危険ドラッグ乱用が拡大して以降、新たな種類の薬物が続々と出現し、世界の先進国圏に出回ってきました。
各国は、新たな薬物の登場に対処するために、懸命の努力を続けていますが、多くの国では、新たな薬物を法規制の対象に指定するための要件として、その薬物の拡大状況や、危害発生の現状を確認することが求められているために、規制の導入は後追いになりがちです。
いっぽうわが国の指定薬物制度では、とくに乱用実態の有無についての検討が必要とされていないことから、国内での乱用実態が確認されない段階でも、いわゆる未然防止のための指定も可能となっています。この利点を生かして、わが国では、新種の薬物に対して、比較的早い時点で規制を導入することができるのです。
じっさい、欧米では大々的に出回り、多くの危害をもたらした薬物に対して、わが国はいち早く規制し、大規模な流行に至らずに済んだケースが多々あります。

しかし、未然防止にも落とし穴がないわけではありません。現実の危害がほとんど発生していない段階での規制がむやみに行われるとすれば、過度の規制につながるおそれがあるからです。法による規制は、必要最小限でなければならないという原則を置き忘れてしまっては、困ります。
そろそろ、未然防止として許される範囲や、判断の基準を明確にするなど、運用の指針作りをする必要があるのではないでしょうか。

[参照]
パブリックコメント
案件番号495150202「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第二条第十五項に規定する指定薬物及び同法第七十六条の四に規定する医療等の用途を定める省令の一部を改正する省令」(案)に関する意見募集について
http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=495150202&Mode=0

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この記事へのコメント

神流美 王井門
2015年11月21日 22:58

自動車改造エンジン用NOSシステムの窒素ガスも、早めの規制を期待します。

体内摂取目的の市場に流用されないためにも、違法改造エンジンユーザも併せて、運輸局と連携して摘発するべきと思います。

大きなガスボンベやタンクを違法に搭載している自動車が急加速と、法定速度を極端にオーバしながら、街や高速道路を走っている姿に危険性も感じています。

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