シバガス(亜酸化窒素)が指定薬物に

昨日、厚生労働省は、危険ドラッグに使われる一酸化二窒素(別名:亜酸化窒素)を新たに指定薬物として指定することを決定したと発表しました。昨日夕刻に開催された審議会で審議された結果です(下記参照①)。

●亜酸化窒素の乱用
日本の街から危険ドラッグ販売店がほとんど消えて、すでに1年ほどになりますが、かつてのユーザーや販売業者たちには、危険ドラッグに代わる新しい乱用薬物を求める気持ちが、今もまだ根強く残っていることでしょう。
そんなマーケットに最近現れたのが、英国などヨーロッパで、若者の間に急速に広まっている亜酸化窒素ガスです。泡立て調理器用として、小型の密閉容器に高圧充填されたものが、乱用薬物に転用されているのです。英国では、若者の集まる繁華街で、ガスを色とりどりのバルーンに詰めて持ち歩く人たちが増え、乱用による事故や事件も発生しています。
最近では、ヨーロッパでの流行に目を付けた日本の業者が、小型容器入りのガスを輸入し、「自転車タイヤ用」などとしてインターネット上で販売する例も出てきました。日本では、「シバガス」のブランド名で売られたことから、この名前で広まりました。

●これまでの経過
<厚生労働省の対応>
今年9月30日、厚生労働省は、亜酸化窒素を乱用目的で販売する業者の指導取締りを強化する方針を打ち出し、販売業者に対し、乱用目的での販売をやめるよう警告を発しました。
亜酸化窒素は、本来、医療用麻酔薬や食品添加物として使われていますが、これを乱用目的で販売することは、医薬品の無承認無許可販売に当たるとして、厳しく取り締まるというものです(下記参照②)。

<都道府県での規制>
いっぽう、都道府県のなかには早くからこの新手の薬物に警戒し、危険ドラッグ条例に基づく監視対象や規制対象に指定する動きもありました。
・和歌山県・・2015年8月21日知事監視製品に指定
・鳥取県・・・2015年8月28日知事指定候補薬物に指定(→同10月20日知事指定薬物に指定)
・石川県・・・2015年9月16日知事監視製品に指定
・徳島県・・・2015年9月25日知事監視製品に指定
・京都府・・・2015年10月9日知事指定薬物に指定

●本来の用途との調整
もともと、亜酸化窒素は「笑気ガス」と呼ばれる麻酔薬として、医療用に使われています。長年にわたり「笑気ガス」を使ってきた歯科の領域では、医療関係者による笑気ガス乱用例や、診療室で取り扱うなかで起きた健康被害例の報告もあります。
医療現場では、乱用のおそれのある医薬品は珍しくなく、日常的に慎重な管理が行われているので、新たに「笑気ガス」が指定薬物に指定されたとしても、とくに混乱は生じないかもしれません。
問題は、食品添加物としての用途です。ヨーロッパで乱用されているのは、主に、泡立て調理器具用のガスとして販売されているもので、近年、メニューの可能性を広げる新しい調理器具として、ガスを使った泡立て調理器具が広まるとともに、専用ガスの流通量が増え、乱用を広げた背景となりました。現在では、泡立て調理器具の普及状況をはるかに上回る量の専用ガスが出回っているといいます。
もちろん日本でも、泡立て調理器具も、専用ガスも販売されています。「自転車のタイヤ用」などという怪しげな販売サイトは別として、ごく一般的な通販サイトでも、調理器具用のガスが販売されています。
本来の用途での使用を妨げることなく、乱用目的での流通を規制するのは、かなり難しいことだと思います。

厚生労働省は、このたび亜酸化窒素を指定薬物に指定するにあたって、
・10月下旬にパブリックコメントを実施
・12月上旬に指定薬物とする省令の公布
を予定しているとのことです。本来用途でこのガスを使う業界の声を聞き、慎重にことをすすめる構えなのでしょう。
昨年夏以来、指定薬物の新規指定において、緊急性を要するとしてパブリックコメントが行われませんでしたが、しばらくぶりに本来の手続きが行われることになります。

しかし、このスケジュールで十分な調整ができるのでしょうか。泡立て調理器具で亜酸化窒素ガスが使われるのは、亜酸化窒素ガスに食品の味わいや鮮度に影響を与えにくい特徴があるからで、他のもので代替するというわけにもいかないでしょう。規制導入までの流れを注意深く見守りたいと思います。

[参照]
①厚生労働省の報道発表(2015年10月22日)
一酸化二窒素(別名:亜酸化窒素)を新たに指定薬物に指定します
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000101866.html
②厚生労働省サイト内情報
「シバガス」等の亜酸化窒素製品(医薬品)を販売する業者に対する指導取締りの強化について
http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iyakuhin/yakubuturanyou/oshirase/20150930-1.html

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この記事へのコメント

神流美 王井門
2015年10月24日 03:07

大容量で売買される、自動車チューニングエンジン用窒素ガス『NOS』の取り扱いは、今後どの様になるのでしょう。

首都高速道路に在る、芝浦、辰巳パーキングでは、金曜日と土曜日深夜に改造車が続々と集まります。

特に辰巳パーキングは、ハリウッド映画『バベル』の東京ロケで使われた高層マンション真正面に位置。
見晴らしが良いため、彼らの溜まり場と化してます。

これ等の改造車オーナ達は、エンジン改造度合いを競い合っており、『NOS』燃料を搭載した車をたまに見かけます。

今後の規制動向によっては、多額の維持費が掛かる『NOS』搭載改造車オーナが、小遣い稼ぎの一環として、窒素ガスユーザへ小分け売買するのではと想像します。

大きなガスタンクをトランク、リヤハッチへ搭載。
違法エンジン改造車への規制も併せて必要だと思いました。



m
2015年10月24日 09:53
トルエン、ガソリン、殺虫剤、食品添加物、あらゆる化学物質から簡単な化学合成で作られる精神活性物質が今後の流行になるのかも。クロコダイルのような悲劇が生まれるでしょう。

この国の指導者は根本的な間違いにまだ気づいていない。
既存のシステムが破綻してる。

外科的トリップはさらに人間を変える。
強欲と快楽はパラレルで。
滅智蓮寺 熾
2015年10月25日 12:11
なぜ、毒劇法の劇物に指定するという方法ではダメなんでしょうか?
トルエンは実際そうされて、乱用少年の摘発も毒劇法によって実行されています。

亜硝酸イソプロピルのように、毒劇法と薬機法の両方で指定されている物もあります。
神流美 王井門
2015年10月25日 18:57

ハリウッド映画『バベル』の話題で、映画に描かれた感慨深いストーリを思いだしました。

ろう学校へ通う女子高生役を菊地凛子が体当たりで熱演。
アカデミー賞助演女優賞へノミネートされ、彼女は薬物に溺れた女子高生役を見事に演じました。

当時、一見普通に見える女子高生にもユーザが拡がった、渋谷センター街の様子が、映画を通じて世界中にアナウンスされました。

特に薬物を服用後、高層マンション自室内で、国際事件の捜査に訪れた刑事へ、全裸姿で自ら抱きつく演技は迫真に迫って素晴らしい。

現在、渋谷の街は、新宿歌舞伎町と同様に、訪日外国人観光客でごった返してます。

また、最近はハロウィーン仮装族の溜まり場にもなりました。

昨夜の盛り上がりから察すると、31日土曜日夜は、大勢のハロウィーン仮装族で街が占領されるでしょう。

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