オキシコドン輸入事件、米メディアはどう伝えたか

立派な経歴をもつ女性管理職が、オキシコドンを輸入したとして逮捕・・・このニュースは、米国にも衝撃を広げています。昨日、世界のトヨタのトップが自ら記者会見をしたことから、米国の大手ニュースサイトは、軒並みこのニュースを報じました。
多くは、淡々と事実関係を伝える記事ですが、そのなかにも、「薬物関連の違反に対して、日本はとても厳しい」というひとことが加えられています。アメリカ市民の目には、日本の厳格な薬物管理政策が、かなり衝撃的なものに見えたようです。

オキシコドンなどの医療用麻薬に関する法律上の規定は、日本も米国も、それほど違いはないように思われます。そもそもオキシコドンは国連の単一条約で規制を受けている薬物なので、おそらく文明国ではどこでも、似たような管理が行われているのだろうと思います。
しかし、とくに薬物使用者に対する取締まりや処罰の実態には、国ごとにかなり違いがあり、末端の使用者に対しても厳格な取締まりが行われる日本の現状は、一般の米国市民には少なからぬ驚きを与えるようです。

オキシコドン輸入事件の報道で、日本の薬物に対する厳格な取締りは、米市民にどう映ったか、主なニュース記事から拾ってみましょう。

FOXニュースは、「自国で使っていた医薬品の持ち込みや郵送で外国人が勾留されたということは、決して前代未聞のことではない。」として、今春名古屋で起きた米女性のケースを取り上げています。ADHDの治療を受けている女性が日本で働くことになったので、長年使ってきた治療薬を米国に住む母親が彼女に送ったのですが、その成分が日本では覚せい剤に当たるものだったため(アデラールという商品名の覚せい剤成分を含む処方薬で日本では承認されていない)、覚せい剤の輸入事件として女性は逮捕され、勾留されたのです。外交ルートでの働きかけもあり、幸いこの女性は不起訴処分となって釈放されましたが、米国ではADHDの治療薬としてよく処方されている医薬品が原因だけに、当時、米国ではちょっとした話題になっていました。
[参照]
FOX NEWS (Associated Press) , June 19, 2015
American Toyota executive arrested in Japan on drug charges
http://www.foxnews.com/leisure/2015/06/19/american-toyota-executive-arrested-in-japan-on-drug-charges/


ニューヨーク・タイムズは、「薬物関連の違反は、日本では重大な社会的非難を受け、薬物法令に違反したとして逮捕された著名人は、メディアにたたかれ、ときにはキャリアを台無しにする目にあう。」とやや辛口のコメントをしています。
さらに、オキシコドンをめぐる日米の環境の違いにも触れ、オキシコドンは米国では広く処方されているが、同時に乱用も広がっている。日本では、通常、これは進行癌のような極端なケースに使われている、と指摘します。
記事によると、厚労省の統計に従えば、日本の1人当たり消費量は、米国の60分の1だといいます。
[参照]
The New York Times , June 19, 2015
Toyota Defends Diversity Hiring After American Is Arrested
http://www.nytimes.com/2015/06/20/business/international/toyota-defends-diversity-hiring-after-american-is-arrested.html?_r=0

ところで、日本にある米国大使館は、ウェブサイト上で、日本に渡航するアメリカ市民に対して、医薬品の持ち込みに注意するよう情報を発信していますが、そこには、処方薬(医療用麻薬)の持ち込みについて、次のような記載があります。
*****
ヘロイン、コカイン、MDMA、あへん、大麻、覚せい剤(アデラールなどの処方薬を含む)のほかに、合衆国では市販されている医薬品のなかに日本で禁止されているものがあります。たとえ日本国外で合法的に入手した医薬品であっても、これらの禁止薬物を日本に持ち込むことに関して、例外はありません。メタンフェタミン及びアンフェタミンの輸入は、たとえ処方せんや税関申告書があっても、厳格に禁止されています。日本の税関職員や警察官は、輸入禁止品を輸入しようとした旅行者を勾留することができます。日本の税関職員は、日本で禁止されている医薬品について、「人道上の」例外措置をとることはありません。

許容される処方薬については、1か月分を持ち込むことができます。渡航者は、薬品の使用目的などを記載した書類とともに、医師の処方せんのコピーを持参しなければなりません。1か月分を超える量の医薬品や注射器やCOAP(睡眠時無呼吸症の治療に使う機器)などの持ち込みには、あらかじめ薬監証明または輸入許可証を入手して、通関時に呈示しなければなりません。(英文記事を私訳)
*****
なお、上記に続いて、詳しくは、厚生労働省のホームページを参照するか、関東信越厚生局 麻薬取締部に問い合わせるようにとあります。

[参照]
米国大使館の注意情報
Importing or Bringing Medication into Japan for Personal Use
http://japan.usembassy.gov/e/acs/tacs-medimport.html

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この記事へのコメント

waseda2015
2015年06月21日 02:22
中日ドラゴンズのクラーク選手も、ADHDの薬で書類送検されて結構騒ぎになりましたよね。不起訴になりましたが・・・

日本人が米国に行く時、ロヒプノール等の違法薬物は実質的に見逃して貰っている現状があるので、なんとも言えないです
BB
2015年06月21日 19:11
「厳しい」のではなくて「違い」だと思う。私は精神科医に処方された睡眠薬をネットで調べて、米国では禁止されていて持っていくこともできないものだったので驚いたことがあります。たしかサイレースと言って無味無臭で酒と一緒に飲むと飲む前の記憶もなくなる=犯罪に使われるからという理由でした。
そもそも日本の薬局は日本の病院の処方しか受け取れないのでしょうか?
神流美 王井門
2015年06月25日 15:01


ロヒピノール、サイレース共に米国では麻薬指定されてます。

渡航先に日本人が違法と知らず、これら禁止医薬品を持ち込む行為は、国内薬局に勤務する薬剤師の渡航経験不足が原因だと思います。

また、厚労省による薬剤師への指導不足も否めません。


グローバル化した現代、企業へ勤務する会社員なら、海外出張が当たり前な世の中です。
薬局へ勤務する薬剤師は、特別な理由がなければ、なかなか海外出張は有りません。

病院の診察時間帯と勤務時間が重複するため、プライベートでの海外旅行へも容易に行けません。


海外渡航先では入国審査時、税関の通関時に、国内ではあり得ない『常識』が待ち構えています。

例えば目の前に並んだ渡航者が、携行品などの些細なトラブルにより別室へ連行されたり、長い口論の末に入国審査官がパスポートを投げつけて、入国拒否を言い渡します。


この様な現実を前に、日本人渡航者は『真剣な緊張感』を常に伴います。

薬剤師は自らが扱う医薬品が、こうした条件下で携行、または使用される可能性を常に認識し、『真剣な緊張感』を理解して欲しいと思います。
m
2015年06月25日 16:55
私の場合、精神科医の処方証明を持っていきます。
神流美 王井門
2015年06月25日 20:08

薬剤師による人災に巻き込まれないめにも、製薬会社が発行する、医薬品毎のエビデンスシートを必ず持参することを推奨します。

この書類は、医薬品の個装パケージ写真、医薬品成分表示、製薬会社社長の直筆署名など、その医薬品の詳細が全て英文で記載されております。

一般市販薬、処方薬のどちらでも、購入先の薬局薬剤師へ依頼すれば無料で、1週間程度で用意して貰えます。

依頼時には必ず渡航先を明確にする事。
そして、その国への医薬品持ち込みが法律上問題無い事も、その証明を製薬会社で記載して貰います。
そして発行日は最新版で準備。


海外の空港入国通関時に、税関職員は書類パケージの写真と現物を見比べますが、パケージ通りなら、何ら問題有りません。


通関時のアクシデントを、確実に回避する手段のひとつです。


ところで、自動車会社東京本社の1階ショールームには、歴代製品のミニチュアカーが多数展示されております。
自動車マニア以外でも、そのコレクションの素晴らしさに感動すると思います。

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