2015年3月の新規指定|危険ドラッグ対策

3月29日訂正
指定物質の一覧表のうち、15番の化学式の一部が欠けていたので、訂正しました。
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3月25日、新たに16物質が指定薬物に指定されました。施行は4月4日から。施行日以降は、今回指定された各物質が指定薬物として取り締まり対象になり、とくに許可を受けた研究者などを除く一般人が、これらの物質を輸入、販売、所持、使用などした場合は、法律違反として処罰を受けます。
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↑3月25日指定の16物質
この表は、厚労省の発表に基づいて、私が物質の性格別にまとめたものです。
・既指定の類似物質・・・新規指定物質の性格を理解するために、指定薬物または麻薬として既に規制されている物質から、類似構造をもったものを選び出しました。一連の類似物質の「親」になった物質をできるだけ選んでいます。
・表中の番号は、私が任意につけたもので、厚労省の発表したものと異なっています。
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↑今回指定された物質を含む製品例
厚生労働省サイトで公表された製品例(下記参照②より転載)

●幻覚性物質などを先取り規制か
日本の危険ドラッグ市場が急激に縮小し、新たな薬物の出現も下火になった今、まとめて16物質の新規指定が行われたということは、今後の市場に出現しそうな物質を先取りして、あらかじめ封じておこうという戦略でしょうか。たしかに、日本の流通品中にまだ確認されていない物質であっても、国際市場に出回っていて、日本に流入しそうなものは多数あります。たとえば、これまで日本ではあまり流行しなかった幻覚性物質のなかにも、欧米の市場に広く出回り、多数の事故を引き起こしているものが、いろいろあるのです。

今回、まとめて9種が指定された幻覚性物質ですが、これは大きく3タイプに分かれます。
まず、いわゆる2Cグループと呼ばれるもので、幻覚サボテンの成分であるメスカリンに似た幻覚作用をもたらします。2C-Iや2C-B(日本ではいずれも麻薬)を基本形に、化学構造の細部を多様に置換えた変化体が次々に生み出され、危険ドラッグの成分として登場しています。
このタイプは、シュルギンが「PiHKAL」で取り上げたことから注目され、1980年代ころから欧米で次々に変化体が出現し、日本でも、指定薬物制度が導入される前の時期には頻繁に出回りました。すでに多数が麻薬や指定薬物として規制されていますが、その後も新型の登場が続いていて、今回指定されたのは、そのうちの4種です。

次にあげるのはNBOMeのグループで、最近の欧米市場で頻繁に出回り、死亡事故を含む中毒事故が多発しているものです。これまでに出回ったうち、25I-NBOMe(日本では指定薬物・2012年10月)、25B-NBOMe(日本では指定薬物・2014年3月)はすでに日本でも規制されていますが、25C-NBOMe は未指定でした。
先般、国連麻薬委員会がこの3物質を向精神薬条約のスケジュール1に追加すると発表しましたが、これが正式に通知されれば、日本でもこの3物質を麻薬に指定することを検討しなければなりません。こうした背景から、これまで未指定だった25C-NBOMeが今回指定されたのでしょう。

第3は、トリプタミンのグループで、幻覚キノコの成分であるサイロシンやLSDに似た性質をもち、強い幻覚作用をもたらします。
このタイプもシュルギンの影響を受けて広まった薬物で、「TiHKAL」で取り上げられ、1990年代ころから欧米で急速に広まり、その後日本でも、次々と新種の流入が続きました。すでに多くの類似物質が麻薬や指定薬物として規制されていますが、最近の欧米市場では、また幻覚性薬物の新たな広がりが起きていて、新型の登場が続いているようです。
そういえば、英国では以前からトリプタミン類に対して包括指定が行われていますが、最近、その指定範囲の大幅な見直しがされたと記憶しています。

幻覚性の薬物や、オピオイド類などは、これまで日本ではあまり広まらなかったのですが、欧米市場で流行し、大きな問題を巻き起こしています。情報も製品も、世界同時化している危険ドラッグの世界では、世界で広まっているものはいずれ日本にも流入すると考えなくてはなりません。先取り規制で備えておくことも、必要だと思います。

ところで、上の一覧表では、通称Org27569という物質をCB1 receptor allosteric modulator と分類しました。合成カンナビノイドとは違うものらしいのですが、私にはよくわかりません。もう少し調べて、ある程度わかったら、改めて報告します。

[参照]
厚生労働省サイト内情報
①報道発表・危険ドラッグの成分16物質を新たに指定薬物に指定(2015年3月25日)
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000078803.html
②新たに指定薬物となる物質を含む危険ドラッグ製品例
http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iyakuhin/yakubuturanyou/dl/150325_03.pdf

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この記事へのコメント

滅智蓮寺 熾
2015年03月28日 19:09
>第3は、トリプタミンのグループで、幻覚キノコの成分であるサイロシンやLSDに似た性質をもち、強い幻覚作用をもたらします。

確かにトリプタミン類には幻覚性の強いものもありますが、すべてがそうだとも言えません。
古典的な有名どころで言えば、5MeO-DiPTは、特にゲイの間に人気があった催淫剤としての方が有名であり、用量にもよりますが、あまり幻覚作用について聞いたことはありません。
(高用量の場合は幻覚作用がある可能性もありますが、適正摂取量がシビアなため、うかつに増やすと死の危険があります)

たとえばMDMAが幻覚剤に分類される場合もありますが、実際には幻覚作用はほとんどありません。
「幻覚剤」というと、LSDのように強烈な幻覚が生じるものを思い浮かべることが多いですが、トリプタミン系の中で、そういった作用を持つものは一部にすぎません。
m
2015年03月31日 07:14
小森先生は虚しさは感じませんか?政府は悪いのはドラッグだと。ドラッグが必要な社会になったというアプローチがないことがこの国の怖さです。ドラッグの扱い方もわからないような稚拙な人間が増えたと。稚拙な人間はドラッグがなくてもとんでもない事をやらかします。
愚民政治がうまく行ったとほくそ笑んでる場合ではないですよ。
愚民を恐れるあまり、法律家でも解けない法が張り巡らせれていく。
アメリカの判例でも経済活動を重要視するあまり矛盾する判決が出ています。
もはや法律は知ってるものが得をする制度になってしまった。
単なる愚痴ですね。

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