2014年の密輸摘発状況|税関の発表

財務省が、全国の税関が空港や港湾等において、不正薬物の密輸入等の関税法違反事件を取り締まった実績を発表しました。
発表された資料には、
・不正薬物の押収量が3年連続で600kg超え
・覚醒剤の摘発件数が過去2番目を記録
と記載され、覚せい剤を中心に、わが国への薬物密輸が依然として深刻な状態にあることが記されています(下記参照①)。

●メキシコ発覚せい剤の存在感が顕著に
2014年は、大型密輸摘発が続いた前年に比べ、押収量は減少しましたが、トレンドには大きな変化は見られませんでした。むしろ、2013年に引き続き、メキシコが押収された密輸覚せい剤の仕出し地の首位を占めたことで、わが国に流入する覚せい剤の供給地として、メキシコの存在感が鮮明に浮かびあがったといえるでしょう。
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↑税関での覚せい剤押収量(仕出し地別・2014年)
下記参照①のデータに基づいて私がグラフ化したもの

当ブログで何度かお伝えしているように、いま、覚せい剤(メタンフェタミン)不正流通は、世界規模で、急速に増加しています。国連による最近の集計では、2012年時点での世界の覚せい剤(メタンフェタミン)総押収量は107トンに達しました。世界の覚せい剤流通ルートを2分しているのは、中国を中心とするアジア太平洋圏と、メキシコを中心とする南北アメリカ圏です(下記参照②)。
2014年の日本は、まさしく世界の縮図のような状況になりました。税関で押収された密輸覚せい剤の主要仕出し地が、メキシコと中国に2分されているのです。

税関の報告書は「メキシコが約207kg(前年比60%減)と、前年に続き最多となり、次いで中国が約200kg(前年比約3倍)と続き、メキシコと中国で押収量全体の約7割を占めた。」と説明しています。中国仕出しの増加は、主に香港ルートの急増によるものだということです。
また、2012年ころからしばしば報じられている、メキシコからの大型密輸の摘発は2014年も続き、4月には石材に隠して大量の覚せい剤を密輸した事件が摘発されました。

●大麻、覚せい剤の不正流通が活発化し始めたか
税関での覚せい剤押収量は、2012年から高水準で推移しています。また、大麻の押収量も増えました。さらに税関の報告書には「液状の大麻の摘発が11 件と相次ぐなど、大麻製品の多様化が見られた。」という気になる指摘もあります。
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↑不正薬物の摘発件数と押収量の推移
税関の発表資料(下記参照①)より転載

そういえば、警察の犯罪統計では、大麻事犯の検挙者数が増加しているのです。覚せい剤事犯も、わずかながら増加を示しています。
これは、もしかすると、危険ドラッグの取締まり強化の反動が、大麻や覚せい剤市場の活性化として現れ始めたのではないかと、私はひそかに案じているのです。昨年後半から、危険ドラッグの取り締まりが大幅に強化され、販売店が目に見えて減少しました。街中で簡単に手に入る危険ドラッグによって、薬物乱用者のすそ野が広がったところへ、急激にその入手ルートが断たれたのですから、ユーザーの中には、覚せい剤や大麻に手を伸ばす人も出て来ることでしょう。
当面、薬物乱用の動向に注意を向けなくてはなりません。

[参照]
①財務省の報道発表(2015年2月20日)
平成26年の全国の税関における関税法違反事件の取締り状況
http://www.mof.go.jp/customs_tariff/trade/safe_society/mitsuyu/cy2014/index.htm
②国連薬物犯罪事務所の合成薬物アセスメント
 UNODC, 2014 Global Synthetic Drugs Assessment ―Amphetamine-type stimulants and new psychoactive substances
http://www.unodc.org/documents/scientific/2014_Global_Synthetic_Drugs_Assessment_web.pdf

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