香川の死亡事故裁判員裁判始まる|危険ドラッグと自動車事故

2014年1月末、香川県善通寺市で危険ドラッグによる死亡事故が発生しました。犠牲になったのは、小学5年生の女子児童。何の落ち度もない女の子が、下校途中の道路で、危険ドラッグ使用者の運転する軽自動車にはねられ命を奪われたという、あまりにも痛ましい事故です。
当初、高松地検は、軽自動車を運転していた被告人を自動車運転過失致死罪で起訴しましたが、事故発生から4か月後、被告人が運転開始前に使用した危険ドラッグの影響で正常な運転が困難な状態だったとして、訴内容をより罰則が重い「危険運転致死」の罪に変更するよう裁判所に請求しました。
改めて、裁判員裁判として手続きが開始されたこの事件の公判が、ようやく、高松地裁で始まりました。
論告求刑は今月22日、判決は26日の予定です。

<ニュースから>*****
●30歳被告、危険ドラッグ運転認める 香川、女児死亡事故の初公判
香川県善通寺市で昨年1月、危険ドラッグを吸って車を運転し、小学5年の女児=当時(11)=をはねて死亡させたとして、危険運転致死罪に問われた無職、D被告(30)は19日、高松地裁(野村賢裁判長)の裁判員裁判の初公判で「間違いありません」と起訴内容を認めた。
検察側は冒頭陳述で「過去にも危険ドラッグを使用した経験があり、吸引すると体や意識に異変が生じることを認識していた」と指摘した。
起訴状によると、D被告は昨年1月29日午後、善通寺市木徳町の県道で、危険ドラッグの影響で正常に運転ができない状態なのに軽乗用車で走行。対向車線の路側帯を歩いていた下校中の女児をはね、頭を強く打ち死亡させたとしている。
高松地検は昨年2月に自動車運転過失致死罪で起訴したが、車内から危険ドラッグの成分を検出。昨年5月、より量刑が重い危険運転致死罪に訴因変更した。
産経ニュースWEST2015.1.19 11:00
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公判の第1日目、検察官は冒頭陳述で、事故発生時の状況を「被告はインターネットで購入した危険ドラッグを郵便局で受け取るとすぐに駐車場で吸引し、自宅に戻る途中で事故を起こした。」と指摘したといいます(NHK香川のニュース1月20日)。
他の事件でも、車を運転して危険ドラッグを買いに出かけた被告人が、購入した店を出てすぐに、買ったばかりの危険ドラッグを使用し、そのまま運転を開始して間もなく事故を起こしたという経緯が何度も取り上げられてきました。入手したら、その場ですぐに使ってしまう薬物乱用者の心理に加えて、家族や友人に見とがめられることのない車の中が、格好のドラッグ使用場所になりやすいという事情もあり、自動車内で危険ドラッグを使用して事故に至る例が絶えません。

●危険ドラッグの基礎研究はまだ始まったばかり
上記の事件を立件するに当って、危険ドラッグの影響を明らかにするために、警察、検察は様々な困難を乗り越えてきたといいます。
危険ドラッグの主成分として、合成カンナビノイドが出回り始めたのは、2011年ころからです。しかも市場は短期間で変化し、常に未知の成分が出回っているなかで、事故に関係した薬物を特定し、その薬理作用を明らかにする作業には、想像以上の困難がつきまといます。
公表された裁判例を検討してみると、初期の裁判例では、立証のハードルはかなり引き下げられてきたといえるでしょう。危険ドラッグの実情を考えれば、無理からぬことかもしれませんが、運転能力に影響を及ぼした薬物について、基本的な検討もしないまま、薬物影響を認めてきた裁判に、いずれ異論も出て来るのではないかと思います。
たとえば、市販されている危険ドラッグ製品には、たいてい、複数の薬物が配合されているのですが、事件の立証過程で、被告人の血液中に検出された薬物の種類や、それぞれの血中濃度がきちんと検討されているでしょうか。
これまで、化学分析や薬理的な研究が立ち遅れてきたため、裁判での争点は、とかく運転者の認識に絞られてきた感がありますが、本来は、事故は、本当に薬物の影響によるものなのかどうか、薬物の特性や作用について、もっと突っ込んだ検討がされなければならないのです。

もちろん、危険ドラッグを使用して自動車を運転するなど、とんでもないことです。その結果、痛ましい犠牲を出してしまったとなれば、運転手は非難されて当然です。しかし、道義的な非難だけでは刑事裁判は成り立ちません。
危険ドラッグ影響による交通事件も、そろそろ初期段階を卒業して、さらに実のある審理に挑むべき段階に来ているといえるでしょう。

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この記事へのコメント

神流美 王井門
2015年01月20日 22:29
危険ドラッグの影響により、人身事故を起こした運転手に対し、社会からの厳罰が少し甘いと思います。

危険ドラッグ、違法薬物の影響で運転、又は、自動車で運んだ場合、その自動車を没収可能な法律へ、道路運送車両法、道路交通法の一部を改正したらいかがでしょうか。
現在の道路運送車両法で、特に保安基準に満たない不正改造車両は、没収処置可能なケースが有ります。

不正改造車両とは、低い車高、近接排気音が大きいマフラー、車幅を超える太いタイヤ等を施した車両です。
大晦日深夜から元旦朝にかけて、警察官による大規模な違法改造車両の取り締まり風景は、恒例行事になりました。
不正改造の度合いにもよりますが、この場合、行政指導と違法改造箇所の矯正勧告が、帯同する運輸局職員より発出。 期限迄に運輸局へ持ち込めないと、車両が没収可能となります。

危険ドラッグ、違法薬物を、自動車へ載せて運行したら、その車両を没収可能な道路運送車両法、又は、道路交通法へ改正出来れば、売買人の運転する自由を奪い、そして資産没収にもなります。

全国で、危険ドラッグの影響による運転手が引き起こした事牲者が多数出ています。
公平で適切な法律改正を望みます。

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