インターネット販売への取り組み | 危険ドラッグ対策

この夏以降、インターネット上で危険ドラッグを販売するサイトに対する取締まりが集中的に行われてきました。
■消費者庁は、特定商取引法に基づく集中的な取締まりを実施。同法の表示義務(事業者名、住所、電話番号等の表示義務)に違反しているおそれがあると認められた77サイトについて、その運営業者に対して是正を求める通知をし、またインターネット接続業者に対して、サイトの削除等の協力要請を行いました(下記参照①)。
■前記事でも取り上げたように、厚生労働省は、今年8月と9月の指定薬物の新規指定に合わせて、「指定薬物を含む疑いがある物品」を販売するサイトについて削除要請を行いました(前回記事を参照)。
■警視庁サイバー犯罪対策課も、今年8月と9月の指定薬物の新規指定に対応して、疑い製品の販売サイトの削除要請を行いました。警視庁の場合は、新規指定の施行日時点で疑い製品を販売していたサイトを削除要請の対象としたようです(前回記事を参照)。

各対策は相応の成果を収めたようで、実際、9月下旬ころには、危険ドラッグ販売サイトが目に見えて減少したと感じることができました。
ところが、この週末、いつものように検索エンジンで探してみると、あれ?ひとたび減少した販売サイトが、いつの間にかまた復活しているではありませんか。

しかも復活したサイトには、
★〇月〇日より通販業務を再開いたしました。
★お待たせいたしました。〇月〇日より通販業務を再開。
★サイトが止まってしまい、ご迷惑をおかけしました。
こんな表記が躍っています。

そう、危険ドラッグ対策は、規制をかいくぐる業者との根競べ、根気よく続けていくしかないようです。あきらめた方の負け。

●関係業界からの協力も
力で攻める取締まりだけでなく、インターネット上での危険ドラッグ販売に関係する業界や、官民の関係機関を巻き込んだ、協力による包囲網を広げていく活動も欠かせません。
そういえば、9月末に、インターネット関連業界から協力の名乗りを上げた団体がありました。
ヤフー(株)など大手IT企業が作る「セーファーインターネット協会」は、インターネット上の違法有害情報を監視し、削除要請するなどの取り組みを行っていますが、このたび運用ガイドラインを改定し、違法情報や有害情報に当たる危険ドラッグ販売サイトについて、販売業者やインターネットの接続業者にサイトの削除を要請するなど、対応を強化したとのことです(下記参照②)。
危険ドラッグに関する改定は、次のようなものです。
■指定薬物の広告を違法情報に追加
■未承認医薬品の広告を違法情報に追加
■危険ドラッグ等の販売・譲渡に関する情報を有害情報に追加

業界大手の企業が名を連ねる団体が、危険ドラッグのインターネット販売に対して積極的な対応を表明したことは、接続業者や関係業者に対する波及効果は大きいことでしょう。もともと、インターネット上の情報は、警察や行政庁による取締まりによって正されるべきものではなく、利用者や関係業界の努力によって守られ、質を高めていくべきだと思います。

ただ、改定されたガイドラインを読んでみて、従来の判断基準を塗り替える内容が含まれている点が、私には気になっています。
今回の改定によって、指定薬物の広告が違法情報に追加されましたが、「指定薬物」に当たると判断する基準として、ガイドラインは次のような内容を挙げています(下記参照③)。

ア 指定薬物に該当する場合
(ア) 指定薬物名が記載されている場合、又は
(イ) 指定薬物の検出例のある商品名(「RUSH」、「SEX SLAVE」及び「ヘブンスパートナー」など。)が記載されており、かつ、対象情報が掲載されている電子掲示板、ウェブサイト等に掲載されている他の情報(画像等による対象物の形状、使用方法、効用、品質、値段等対象物に関する説明等)から指定薬物であることが明らかであると判断できる場合。

指定薬物の広告は、いうまでもなく薬事法で禁止されている行為であり、協会として積極的に対応すべきものであることは当然ですが、でも、ここで問題なのはは、指定薬物の判断基準です。
これまで、違法であると判断するのは、あくまでも広告された商品から実際に指定薬物が検出された場合であって、ガイドラインが示すように、指定薬物の検出例のある商品との外的な共通性(商品名、対象物の形状、使用方法、効用、品質、値段等)によって違法性を判断するということは、行われてきませんでした。
たしかに、広告された商品を実際に分析して、違法性を確認したうえで対応するとすれば、いたずらに時間がかかり、とても現実的とはいえません。そこで、過去の検出確認事例と比較対照して、外面的な共通性が認められれば、その内容も同一であると推定するということになるのでしょう。しかし、外面的な共通性が認められたとしても、それは「指定薬物を含む疑いがある物品」であって、指定薬物であるとまでいえるでしょうか。
これは、民間団体のガイドラインですから、刑事処分や行政手続のような厳格さを求める必要はないのかもしれませんが、危険ドラッグについては同じ商品名、同じパッケージの商品でも含有薬物に違いがあることがしばしば指摘されているだけに、外面的な共通性によって指定薬物を含有すると推認することが果たして可能か、実際のデータを踏まえた検討がなされたのか、いささか気になっています。

外面的な共通性を根拠にした、いささか不確かさの混じる判断基準であることを念頭に、慎重な運用がなされるよう期待します。

ところで、インターネット上の情報を監視する警察庁関連の民間団体、インターネット・ホットラインセンターでも、危険ドラッグに関して、運用ガイドラインの改定が検討されていますが、ここにも同じような問題が見えています。次回では、この点を考えてみたいと思います。

[参照]
①消費者庁の報道発表(2014年9月8日)
「危険ドラッグの通信販売サイトに対する特定商取引法に基づく集中的な取締りについて」
 www.caa.go.jp/trade/pdf/140908kouhyou_1.pdf
②セーファーインターネット協会の報道発表(2014年9月24日)
「SIA、厚生労働省 と連携 し、危険ドラッグ対策を強化」
 http://www.saferinternet.or.jp/info/471/
③セーフライン運用ガイドライン
 http://www.safe-line.jp/wp-content/uploads/safeline_guidelines.pdf

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