導入予定の自治体さらに拡大中|危険ドラッグ条例

9月下旬以降、滋賀県、千葉県、埼玉県が危険ドラッグ条例の導入を検討していると伝えられています。これで、危険ドラッグ条例の制定準備を進めている自治体は、11府県+1区となりました。
<最近の動き>
*京都府が骨子案を公開
*千葉県が条例骨子案を公開
*滋賀県、千葉県、埼玉県、新潟県が新たに条例導入意向
詳細は末尾の<条例導入の状況>リストをご参照ください。

●独自カテゴリーによる規制で違反を取り締まれるか
ほとんどの条例では、規制対象として知事指定薬物を指定し、その販売、所持、使用等を禁止しています。
ところが、新たに流通し始めた薬物を特定し、その危険性を評価し、指定するには時間がかかるうえ、さらに地方の実情によっては高度な化学分析機能が追い付かず、独自に新規指定を行うことが困難だという実情もあるようです。現状では、東京都が知事指定薬物として新たに指定した情報に基づき、各自治体で検討が行われたうえで指定するという実務が行われていますが、化学分析機能が不十分ななかで知事指定薬物の取締まりに、なかなか手が及ばないという現実も垣間見えています。

そこで、条例の導入準備を進めている各自治体では、規制対象について様々な検討がされています。知事監視製品、危険薬物、知事監視店舗などの独自のカテゴリーを設け、化学的に成分を特定しなくても、外形的な特徴に基づいて規制対象を指定する方式が注目されているのです。
たしかに、地方の実情に合ったやり方だと思います。
とくに、現状では危険ドラッグ販売店が確認されていない地域では、柔軟に設定できる独自の規制カテゴリーによって、新規出店の障壁を高くし、新たに出店しようとする業者の動きをけん制する効果が期待できるでしょう。

しかし、仮にこうした規制に違反する業者が出現した場合、はたして有効に取り締まることができるかというと、いささか疑問が生じます。また、条例に基づく指導に従わない業者が出現した場合には、事態はさらに複雑になるでしょう。
化学的な手法によって成分を特定していないとはいえ、これら製品などを規制する根拠となっているのは、規制対象製品によって健康上の危害がもたらされる恐れが大きいことによるものです。具体的な規制をめぐって争いが生じた場合には、当局は、化学的な分析によってその成分を特定し、科学的な評価手法によって危険性を明らかにしなければならないのです。

例えば、指定薬物ができる前は、厚労省は、危険ドラッグは、事実上、人体摂取目的で販売されていると判断される場合には医薬品(薬事法2条1項3号「人又は動物の身体の構造又は機能に影響を及ぼすことが目的とされている物」)に該当し、無承認無許可医薬品として取締りの対象となるとしてきました(現在でも厚労省は無承認無許可医薬品のよる取締りを強力に推進しています)。ここでは、成分に対する販売の態様(一定の目的の有無)が要件であって、成分の特定や作用は正面から問題になっていません。しかし、現実に事件になれば、摂取目的の有無に関連して成分の特定はもとより作用等の立証が避けられません。
すなわち、判例(東京高判平成19年10月11日、高等裁判所刑事裁判速報集(平19)号338頁)は、2004~6年ころ、ラッシュ等をビデオヘッドクリーナー、芳香剤等の名目で販売していた業者に対する薬事法違反事件で、 「薬事法2条1項3号の医薬品とは、その物の成分、形状、名称、その物に表示された使用目的・効能効果・用法用量、販売方法、その際の演述・宣伝などを総合して、その物が通常人の理解において『人又は動物の身体の構造又は機能に影響を及ぼすことが目的とされている物』と認められる物をいう、と解するのが相当である。」と判示しています。
 
なお、余談ですが、人体摂取目的で販売されていれば医薬品であり、取締りの対象となるという厚労書の説明は、アメリカのアナログ(規制薬物の類似物質)規制(21USC§813)(規制薬物のアナログは人体への摂取を目的とするときはスケジュールⅠの規制薬物とみなす)の文言に酷似しています。指定薬物制度創設の際、暫定規制は検討されましたが、アナログ規制が検討された様子がうかがえないのは、厚労省が、わが国では無承認無許可医薬品でアナログ規制と同様(あるいはそれ以上)の取締りができるから、検討する必要はないと考えていたからなのでしょうか。

実際に、条例に基づいて販売店を取り締まる際には、規制対象の特定にあいまいさが生じる規定は、逆に適用が難しくなりがちです。
そうなると、現に稼働している危険ドラッグ販売店に対する取締まりが要求される地域では、こうした規制方式を活用することに困難が生じることも考えなくてはなりません。実際の取締まりで最も適用しやすいのは、化学的な分析だけで違反の有無がはっきりする方式、つまり知事指定薬物を定め、その違反を取り締まるやり方ということになります。

危険ドラッグ条例に求めるものは、自治体ごとに異なるでしょう。それぞれの地域の実情に合わせて、十分な検討が望まれます。大胆に、しかし、慎重に。

●危険ドラッグ条例の導入準備中の自治体と進捗状況
・・・10月2日現在でのまとめ
①岐阜県
・進捗:案の公表・意見募集(2014.8.8)、意見募集結果の公表済み
・骨子案:「(仮称)岐阜県薬物の濫用の防止に関する条例(案)」の制定について       http://www.pref.gifu.lg.jp/kensei-unei/kocho-koho/event-calendar/bosyu/yakumu/yakubutu-jyourei.data/jyoureigaiyou.pdf
②兵庫県
・進捗状況:案の公表(2014.8.20)、意見募集終了(2014.9.9)
・骨子案:兵庫県薬物の濫用の防止に関する条例(仮称)骨子案
 https://web.pref.hyogo.lg.jp/kf18/yakumutaisaku/documents/kossian.pdf
③石川県
・進捗状況:案の公表(2014.9.8)、意見募集終了(2014.9.14)
・骨子案:石川県薬物の濫用の防止に関する条例案の骨子
 http://www.pref.ishikawa.lg.jp/yakuji/documents/kossi.pdf
④佐賀県
・進捗状況:案の公表・意見募集(2014.9.12)
・骨子案:佐賀県危険な薬物から県民の命とくらしを守る条例(仮称)(案)
 http://www.pref.saga.lg.jp/web/var/rev0/0163/4488/kikendrug_public20140912.pdf
⑤京都府
・進捗状況:案の公表・意見募集(2014.9.26)
・骨子案:「京都府薬物の濫用の防止に関する条例(仮称)」骨子案
 http://www.pref.kyoto.jp/yakumu/documents/zyoureikossiannkakutei.pdf
⑥神奈川県
・県議会に素案を報告(神奈川新聞 2014.9.29)
・骨子案:未公開
⑦岡山県
・知事が条例制定の方針との報道(中国新聞2014.9.15等)
・骨子案:未公開
⑧滋賀県
・知事が条例制定の方針との報道(京都新聞2014.9.23等)
・骨子案:未公開
⑨千葉県
・進捗状況:案の公表・意見募集(2014.9.26)
・骨子案:「千葉県薬物の濫用の防止に関する条例(仮称)」骨子案
 http://www.pref.chiba.lg.jp/yakumu/iken/h26/documents/yakubutsuranyou-kosshi.pdf
⑩埼玉県
・知事が条例制定の方針との報道(読売新聞埼玉版2014.9.27等)
・骨子案:未公開
⑪新潟県
・知事が条例制定の方針との報道(新潟日報2014.9.27等)
・骨子案:未公開
⑫東京都豊島区
・進捗状況:案の公表(2014.9.22)意見募集開始
・骨子案:(仮称)豊島区危険ドラッグ排除条例(案)概要
 http://www.city.toshima.lg.jp/dbps_data/_material_/_files/000/000/033/710/kikendoraggu.pdf

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 0

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック