7府県+1区で導入準備中|危険ドラッグ条例

9月22日、東京都豊島区が独自の危険ドラッグ条例の概要案を公表し、条例導入のための意見募集を開始しました。この夏以来、危険ドラッグ条例導入の第2波が動き始めているなかで、すでに条例を施行している東京都など6都道府県に加えて、7府県+1区で新たに危険ドラッグ条例の制定準備が進められていることになります。

●危険ドラッグ条例の導入準備中の自治体と進捗状況・・・まとめ
①岐阜県
・進捗:案の公表・意見募集(2014.8.8)、意見募集結果の公表済み
・骨子案:「(仮称)岐阜県薬物の濫用の防止に関する条例(案)」の制定について  http://www.pref.gifu.lg.jp/kensei-unei/kocho-koho/event-calendar/bosyu/yakumu/yakubutu-jyourei.data/jyoureigaiyou.pdf
②兵庫県
・進捗状況:案の公表(2014.8.20)、意見募集終了(2014.9.9)
・骨子案:兵庫県薬物の濫用の防止に関する条例(仮称)骨子案
 https://web.pref.hyogo.lg.jp/kf18/yakumutaisaku/documents/kossian.pdf
③石川県
・進捗状況:案の公表(2014.9.8)、意見募集終了(2014.9.14)
・骨子案:石川県薬物の濫用の防止に関する条例案の骨子
 http://www.pref.ishikawa.lg.jp/yakuji/documents/kossi.pdf
④佐賀県
・進捗状況:案の公表・意見募集(2014.9.12)
・骨子案:佐賀県危険な薬物から県民の命とくらしを守る条例(仮称)(案)
 http://www.pref.saga.lg.jp/web/var/rev0/0163/4488/kikendrug_public20140912.pdf
⑤京都府
・進捗状況:条例制定に向けた検討会開催(2014.9.3)
・骨子案:未公開 
⑥神奈川県
・知事が条例制定の方針との報道(神奈川新聞 2014.9.5等)
・骨子案:未公開
⑦岡山県
・知事が条例制定の方針との報道(中国新聞2014.9.15等)
・骨子案:未公開
⑧東京都豊島区
・進捗状況:案の公表(2014.9.22)意見募集開始
・骨子案:(仮称)豊島区危険ドラッグ排除条例(案)概要
 http://www.city.toshima.lg.jp/dbps_data/_material_/_files/000/000/033/710/kikendoraggu.pdf

先週、産経ニュース(インターネット版)に、各地の条例制定の動きをまとめた記事が掲載されたので、詳しくは、下記の記事をご参照ください。
[参照]
「危険ドラッグ規制条例、13都府県が導入・制定準備 罰則や知事監視強化」
MSN産経ニュース2014.9.13 22:31分配信
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/140913/crm14091322310011-n1.htm

●規制対象カテゴリーの工夫
現在条例を施行中の6都府県では、いずれも、規制対象として知事指定薬物を指定しています。
東京都の条例では、他の法律で規制される薬物と同等に、興奮、幻覚、陶酔その他これらに類する作用を人の精神に及ぼす物で、それを乱用することにより人の健康に被害が生じると認められるもののうち、都内において現に乱用され、又は乱用されるおそれがあると認めるものについて、知事は、あらかじめ東京都薬物情報評価委員会の意見を聴いて、知事指定薬物として指定することができるとしています。
知事指定薬物は、国の指定を先取りしたものと考えることができ、条例を施行している自治体では、国の規制に上乗せして、独自の規制対象薬物を指定していることになり、法規制導入の迅速化をさらに促進することになります。実際、インターネット上の危険ドラッグ販売サイトでは、商品によっては、条例制定地域への発送ができないとの断り書きが掲載されているなど、条例による上乗せ規制は、危険ドラッグ販売を抑制する有効な手段になっていると思われます。
しかし、独自に対象薬物を指定するために欠かせないのは、薬物を迅速に検査・分析する機能です。地域内に流通している危険ドラッグを検査して新規薬物を特定し、迅速な規制を着手することも、条例に基づいて指導・取り締まりを実施することも、その背後に充実した化学分析能力があってこそ実現できることなのです。逆からいえば、十分な化学分析能力を備えていない自治体では、国の規制を先取りしたカテゴリーを設けてみても、それを生かし切ることは難しくなります。
そうしたなかで、独自のカテゴリーを設けて、これを監視あるいは規制の対象とするという、新たな手法を取り入れる動きが広がっています。

【知事監視薬物・和歌山県】
危険ドラッグでは、既存の化学構造に小さな変化を加えた新しい成分が次々と開発され、流通するため、成分分析に時間を要し、対応が後手に回るという問題があるなかで、2012年に制定された和歌山県条例は、成分の特定を待たずに一定の薬物を規制する方策として「知事監視薬物」という新たなカテゴリーを設け、その販売に様々な義務を課すという手法を取り入れました。
知事監視製品とは、濫用することによって、興奮、幻覚、陶酔等の作用を人の精神に及ぼすおそれがあり、かつ、製品への表示、広告、販売方法その他の情報から、その製品の使用方法等に反して身体に使用されるおそれがあると認められるものについて、知事が指定するとされています。
知事監視製品に指定されると、その製品の販売業者は、購入者に対して使用方法を声明し説明書を交付する、購入者から目的以外の方法に使わない誓約書を取る、仕入れ記録作成、関係書類保存などの義務を負います。また、知事監視製品の購入者は、県内の販売業者からの購入者は販売業者に、県外やインターネットでの購入者は知事に、誓約書を提出することが義務付けられます。
知事監視製品の指定状況は、2014年7月15日現在、76製品(延べ159製品)で、同県はこれまでに購入者に対し、吸引など目的外に使用したとして4件の警告をだしています 。
[参照]
和歌山県「違法ドラッグ(脱法ドラッグ)対策」
http://www.pref.wakayama.lg.jp/prefg/050400/drug.html

【危険薬物・鳥取県】
鳥取県は、施行中の条例について、化学的な特定によらず規制対象とする物質を指定し、製造や販売、使用、所持を禁じる新たな規制策を取り入れる改正案を作成、県議会に提出しています。
改正案は、麻薬や覚醒剤と同じように興奮、幻覚、陶酔などの作用で健康被害を及ぼす恐れがあり、かつ、人が摂取するか吸引する恐れがあるものを「危険薬物」と定義し規制対象としています。
危険薬物のうち、従来の通り、①興奮、幻覚、陶酔等の作用を人の精神に及ぼすと特定されているものは知事指定薬物に指定しますが、加えて②名称、形状、表示内容、販売方法その他の情報から、人が摂取し、又は吸入して健康被害を生ずると考えられる物も、興奮、幻覚等を引き起こすという情報をもとに成分が特定されない段階で、知事指定薬物に指定することができ、成分構造によらず、製造や販売、使用、所持を禁じ、違反者には警告や中止命令を出すことができるとされています。
なお、知事指定薬物のうち、上の②の要件で指定されたものについては、製造・販売等を行おうとする者から、健康被害が生じないことを証明する書類等を提出して、知事指定薬物の解除の申立てができるとされています。
[参照]
鳥取県薬物の濫用の防止に関する条例一部改正(案)の概要
http://www.pref.tottori.lg.jp/221017.htm

【準備中の条例案での展開】
すでに骨子案が公表されている中で、佐賀県および石川県は、和歌山県の方式に倣って、知事指定薬物+知事監視製品による規制の導入を計画しています。
いっぽう、兵庫県は規制対象を物質から販売者へ切り替え、「危険薬物」を販売する店を知事が「危険薬物監視店」に指定し、「危険薬物」を販売する際に義務を課す方策を打ち出しています。条例案は、監視店が危険薬物等を販売する際、包装紙などに販売者や製造者の氏名、住所を明記し、危険性や順守事項を客に説明すること、購入者の住所氏名を確認することを義務づけています。また購入者から、用途以外の摂取をしないとの誓約書を受け取り、保存することを求めるなど、課される義務の内容は、和歌山県の場合とほぼ同様です。

規制対象とする物質を化学的な方法で特定しなくても、運用可能な方策を求めて、各自治体は創意工夫をこらしていますが、規制の前提として、その対象に関して、どれほどの厳密さが必要かについては、当然ながら異論もあることでしょう。
今後、京都府や神奈川県など、影響力の大きな自治体の案が提示される予定ですが、そこで、規制対象をどのようにとらえるかが注目されます。

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