危険ドラッグによる過労運転の検挙、今度は自転車

危険ドラッグの影響下での交通事故が相次いでいるなか、今度は、危険ドラッグを吸って自転車を運転したとして、東京で男性が逮捕されました。
薬物運転といえば自動車やオートバイと思い込んでいたのに、おっと、自転車もあったかと、素朴に驚いています。

<ニュースから>*****
●危険ドラッグ使用で自転車運転=容疑で29歳男を逮捕、全国初-警視庁
危険ドラッグを吸って自転車を運転したとして、警視庁交通捜査課と本所署は18日、道交法違反(過労運転等の禁止)容疑で、東京都台東区小島、職業不詳H容疑者(29)を逮捕した。「ハーブを吸って自転車を運転した」と容疑を認めているという。
同課によると、危険ドラッグを使用したとして、自転車運転者が同容疑で逮捕されたのは全国で初めて。
逮捕容疑は9月16日午後8時25分ごろ、墨田区錦糸の路上で、正常な運転ができない恐れがある状態で自転車を運転した疑い。
時事ドットコム・時事通信(2014/09/18-18:11)
*****

危険ドラッグ影響により正常な運転ができない恐れがある状態なのに自転車を運転した場合は、道路交通法66条が禁止する過労運転に当たります。
同条は「何人も、前条第一項に規定する場合(酒気帯び運転)のほか、過労、病気、薬物の影響その他の理由により、正常な運転ができないおそれがある状態で車両等を運転してはならない。」となっていて、ここでいう「車両等」のなかには自転車も含まれるので、危険ドラッグを吸って自転車を運転した場合は、自動車を運転した場合となんら変わりなく、過労運転罪に問われることになります。
なお、詳しく説明すると、同法66条がいう「車両等」とは車両又は路面電車をいい(2条1項17号)、車両とは自動車、原動機付自動車、軽車両、トロリーバスをいいます(同項8号)。そして、自転車はこの軽車両に当たるとされています(同項11号)。

自転車による交通事件が通常裁判で審理されることは少ないので、つい、私も意識の外に置いてしまいがちですが、そういえば、近年は自転車による交通事故が増え、警察でも指導取締りが強化されているところです。酒酔いでの自転車運転で、2012年には112人が検挙されているのですから(下記参照②)、危険ドラッグを吸っての自転車運転に対しても、同じように厳しい取り締まりが行われるのも、考えてみれば自然なことかもしれません。
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↑自転車運転に関する検挙件数の推移(平成16~23年)
下記参照①、6ページより転載

ついでに、日ごろあまり意識したことのない自転車による交通違反について、少しまとめてみました。

自転車による交通違反に対しては、まず、街頭での指導警告が行われます。自転車の二人乗りや無灯火などで警察官に呼び止められて注意を受けた、というケースがこの指導警告です。指導警告に従わずに違反行為を繰り返したり、通行車両や歩行者に対して具体的危険を生じさせるなど、悪質・危険な違反に対しては、検挙措置がとられます。
検挙されると、たいていは、いわゆる赤切符が切られるのですが、これは、刑事手続きが開始されることを告知する書類です。告知を受けた人は、道路交通法違反事件として取り調べを受け、起訴相当となれば多くの場合は略式起訴されて罰金を言い渡されます。自転車による交通違反の多くは、在宅で取り調べが行われますが、違反態様がとくに悪質な場合や、赤切符の受け取りを拒否した場合などは、逮捕されたり、正式裁判が行われることもあります。
自動車での交通違反でよく見かける青切符は、交通反則通告制度による行政処分で、反則金を支払えば刑事上の責任を問われずに済むのですが、赤切符の場合は有罪となって罰金の支払いを命じられることは、刑事処分です。
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↑自転車による交通違反をした場合の手続
下記参照資料①、8ページより転載

警察白書によると、自転車に関する指導取締り実績は、2012年では、
・指導警告・・・・2,485,497件
・検挙・・・・・・  5,321件
となっています。
検挙された違反の内容として特に多いのが、制動装置不良自転車(ブレーキがない自転車等と、信号無視。ほかに、遮断踏切立入、一時不停止、無灯火、酒酔い運転などが挙げられています(下記参照②)。

自転車運転の安全に対して社会の関心が高まるなかで、警察による指導取締りも厳しくなっています。危険ドラッグを吸っての自転車運転で、さらに検挙者が増加するような事態にならないよう、私たちも身近なところから危険ドラッグを減らしていく努力を続けたいものです。

[参照]
①警察庁交通局交通企画課編「自転車の交通事故の実態と自転車の交通ルールの徹底方策の現状(自転車の交通ルールの徹底方策に関する懇談会資料)」2012年10月
http://www.npa.go.jp/koutsuu/kikaku/bicycle/kondankai/siryo1-2.pdf

②警察庁編『平成25年版警察白書』
*自転車に対する指導取締りについては、p.149
http://www.npa.go.jp/hakusyo/h25/index.html

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この記事へのコメント

滅智蓮寺 熾
2014年09月19日 11:47
馬も自転車と同じく軽車両扱いだと聞きました。
そして、自転車でも飲酒運転が違法であるのと同じく、飲酒して乗馬するのも違法らしいんですね。
しかし、「居眠り乗馬」は飲酒していないので問題ないとか?
(実際、賢い馬は乗ってる人が眠っていても勝手に家まで連れ帰ってくれるそうです)
なんか釈然としない話ですね。

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