カルテルの標的はアジア太平洋地域|石材に隠した大量覚せい剤密輸

メキシコからの船積貨物を使った、覚せい剤の大型密輸が続々と摘発されています。今度は、重さ20トンの石材の中に大量の覚せい剤が隠されていたという事件。どうやら、これまでの密輸とは、少し違う流れが見え隠れしているようです。

<ニュースから>*****
●大理石に覚醒剤隠し密輸か、メキシコ人ら5人逮捕
大理石とみられる石材の塊の中に100キロ以上の覚醒剤を入れて営利目的で密輸しようとしたとして、メキシコ国籍の男ら5人が逮捕されました。警察は背景に大がかりな密輸グループがあるとみて調べています。
覚醒剤取締法違反の疑いで逮捕されたのは、メキシコ国籍のO容疑者(39)と鹿児島県曽於市の石材会社経営K容疑者(52)、そして、覚醒剤の運搬役など3人も逮捕されました。警察によりますと、O容疑者らは今年1月上旬、福岡県の博多港から密輸した覚醒剤を鹿児島県のK容疑者の会社の敷地内などに営利目的で所持した疑いが持たれています。
O容疑者らはおよそ20トンの大理石とみられる石材の中心部をくり抜き、その中に覚醒剤を隠す方法で、少なくとも100キロ以上の覚醒剤をメキシコからコンテナに入れて密輸していました。
警察は、7日朝から石材が保管されている神奈川県相模原市内の倉庫を捜索しています。取り調べに対し、5人は「知らない」などといずれも容疑を否認しています。
TBSニュース(07日11:29)
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●アジア太平洋地域でメキシコ系カルテルの暗躍が話題になっている
メキシコから発送された覚せい剤密輸が頻発しているのは、日本だけではありません。この1年ほど、中国やフィリピン、オーストラリアなどアジア太平洋地域一帯で、メキシコ系カルテルの活動が活発化し、話題になっているのです。
名指しされているのは、メキシコ最大の勢力をもつシナロア・カルテル。昨年メキシコで発表された治安関係の報告書によると、シナロアは、メキシコを起点に、米国からアジア太平洋一帯で流通する覚せい剤の80%を支配していると指摘されているそうです(この報告書はスペイン語のため私は原典を確認できていません)。また、最近の報道ではテンプル騎士団という組織の名も挙げられていて、こちらも気になる動きです。

しかも、メキシコ系カルテルは、アジア侵略にあたって、香港の三合会(いわゆる香港マフィア)と手を組み、様々な形で連携しているといいます。覚せい剤密造の原料となる化学品を中国で調達し、メキシコからは覚せい剤やコカインを中国やアジア太平洋諸国に密輸する、その黒い流通網の要所で、香港マフィアが重要な役割を果たしているようです。

メキシコ系カルテルと香港系組織が手を結んで、アジア太平洋地域一帯で繰り広げる薬物密輸、わが国もその重要な標的になっているのです。
アジア太平洋地域から、最近の話題を拾ってみましょう。

■オーストラリア
オーストラリアでも、近年、メキシコあるいは中南米からの覚せい剤密輸が急増しています。つい先日は、米国内で摘発されたオーストラリア向けの船積み貨物から60キロの覚せい剤が押収され、オーストラリア側ではコロンビア国籍などの5人が逮捕されました(下記参照①)。
1年前には、シドニー港で600キロという大量の覚せい剤密輸が摘発されました。これは中国から発送された貨物でしたが、最近の一連の流れの線上にある密輸事件かもしれません(下記参照②)。

■フィリピン
昨年12月下旬、マニラ南部の農場内の倉庫で84キロの覚せい剤が押収されました。逮捕された中国系フィリピン人の男性は、シナロア・カルテルの関係者とみられており、当局はメキシコ組織との関係について捜査しているといいます。警察関係者は、メキシコのカルテルが、中国系薬物組織と連携して、フィリピン国内での活動拠点を作りにかかっているようだとみています(下記参照③)。
下記の香港系ニュースによると、この事件の捜査を通じて、14Kや新義安という香港の三合会の関与が明らかになったということです。

■香港
今年1月、香港の英文ニュースは、消息筋からの情報として、上記のフィリピン事件の捜査陣は、香港の代表的な三合会グループ、14K、新義安メンバーの関与を明らかにしたと報じました(下記参照④)。
これまでも、香港の三合会とシナロアの関係は、様々なところで指摘されてきました。メキシコで密造される覚せい剤の原料は、中国から大量に出荷されています。また、香港や中国本土では、近年、メキシコから密輸されたとみられるコカインの押収が急増しています。こうした闇の流通に、香港系組織が関与しているといわれてきたのです。
しかし、香港の三合会にとって薬物の取り扱いは、上命下服の組織的な活動というより、むしろ個人的な営利活動という意味合いが強いといいます。シナロアと接点を持つ三合会メンバーが、シナロアの覚せい剤流通に深く関与しているのではないかとみられています。

■中国
中国にも、メキシコ系カルテルの浸透をうかがわせる摘発例があります。2013年2月、中国中央部の湖南省で、警察は薬物密造組織を摘発し、約220キロの覚せい剤、900キロ超の液体メタンフェタミンなどを押収したという発表がありました。逮捕されたなかには、3名の香港出身者、1名のメキシコ出身者が含まれていて、密造施設の立ち上げに関わったと見られています(下記参照⑤)。

[参照]
①オーストラリアでの摘発を報じる米移民関税局の記事
HIS>Australian law enforcement disrupt Colombian drug trafficking organization attempting to import methamphetamine into Australia(February 10, 2014)
http://www.ice.gov/news/releases/1402/140210washingtondc3.htm
②オーストラリアでの昨年の大量押収の記事(当サイト内)
中国発の覚せい剤密輸オーストラリアで摘発|グローバル化する覚せい剤2(2013/03/01)
http://33765910.at.webry.info/201303/article_1.html
③フィリピンでの摘発を報じるAP通信の記事
AP>Philippines probing drug link to Mexican cartel(Dec. 27, 2013)
http://bigstory.ap.org/article/philippines-probing-drug-link-mexican-cartel
④三合会の関与を伝える香港英文ニュースの記事
South China Morning Post>Hong Kong triads supply meth ingredients to Mexican drug cartels(12 January, 2014,)
http://www.scmp.com/news/hong-kong/article/1403433/hong-kong-triads-supply-meth-ingredients-mexican-drug-cartels
⑤中国での密造施設摘発の記事
Xinhua>Drug manufacturing ring busted in central China(2013-02-27)
http://news.xinhuanet.com/english/china/2013-02/27/c_132195860.htm

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