今度はスコットランドで死亡事故|錠剤型ドラッグとPMA

前記事で、北アイルランドでPMMA、PMA含有錠剤による死亡事故が続発しているとお伝えしたばかりなのに、今度はスコットランドのグラスゴー地域から、錠剤型ドラッグによる死亡事故が続いているというニュースです(下記参照①)。
問題になっているのは、またしても緑色の錠剤で王冠マークが刻まれた、通称「ロレックス」というロゴ入りのもの。分析の結果、錠剤からはPMA(わが国では麻薬)が検出されたということです。
グラスゴー地域では、このタイプの錠剤に関係するといわれる事故が続き、ここ2か月で6人が死亡しています。犠牲者のほとんどは20歳代前半の若者だといいます。

スコットランドでは、5月にもAMT(わが国では麻薬)と5IT(わが国では5-APIの名で呼ばれる・指定薬物)を含有する錠剤で死亡事故が発生し、警戒情報が出されていたところです。様々な新タイプの薬物を主成分とする錠剤がエクスタシーとして出回り、警戒心を持たずに使ったユーザーが重篤な中毒事故に見舞われる・・・こんなケースが立て続けに起きているのです。

わが国では、錠剤型薬物の流通が減少し、中毒事故も減っていますが、欧米ではMDMAの供給が復活し始め、それに伴って多様な成分の錠剤型薬物が出回っています。やがて、わが国でも、再び錠剤型薬物の流入が増加する時が来るかもしれません。
錠剤型薬物の成分は、今や、きわめて多様化しています。表面に刻まれたロゴや色で、その成分をみわけることなど、とてもできません。
画像

↑「エクスタシー」として出回る錠剤の含有成分
World Drug Report 2013, 56ページより

●「エクスタシー」として出回る錠剤の含有成分―世界薬物報告書2013
そういえば、2013年版世界薬物報告書のなかに、“エクスタシー”として販売される錠剤に、MDMA以外の成分が含まれることが多い、という指摘がありました(55-56ページ)。
ヨーロッパでは、分析された錠剤型薬物の20%以上にピペラジン系のmCPP(わが国では麻薬)が含まれていたほか、2011-2012年の大規模製造施設の摘発では、メフェドロン、エチロン、N-エチルアンフェタミンなどの脱法ドラッグ成分を含有する錠剤がみつかっています(上の表を参照)。
ちなみに、アジアでは覚せい剤錠剤やケタミン錠剤が出回り、ニュージーランド・オーストラリアではピペラジン系薬物を含む錠剤が、頻繁に出回っています。

もともと、錠剤型薬物の成分として、MDMA以外のものが使われ出した背景には、原料の国際的なコントロールが奏功して、MDMAの生産・供給が減少したという事情がありました。ところが、近年、規制対象になっていない新たな原料からMDMAを合成する技術が普及し、MDMAの供給が増加し始めています。
そのせいか、薬物市場に出回る錠剤型薬物の成分の多様化の流れも底を打ったらしく、MDMAを主成分とするものの割合が増加傾向にあるといいます。オランダでは、「エクスタシー」として出回る錠剤の分析が継続的に行われていますが、MDMA錠剤の割合が最低を記録したのが2008-2009年(70%)、2011年には85%まで回復したということです(下記参照②)。

[参照]
①BBCニュース
Six deaths caused by fake ecstasy tablets in west of Scotland(5 July 2013)
http://www.bbc.co.uk/news/uk-scotland-glasgow-west-23207100
②2013年版世界薬物報告書
UNODC, World Drug Report 2013
http://www.unodc.org/wdr/

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