NPSの広がり|世界薬物報告書3

国連薬物犯罪事務所(UNODC)が発表した「2013年版世界薬物報告書World Drug Report 2013」を通じて、新精神作用物質:NPS(New psychoactive substances)の問題を世界の視点で考えています。
今回は、主な地域別のNPSの状況について、報告書74ページ以下を読み進めます。
なお報告書は、NPSの状況、乱用の広がりなどについて、地域別に具体的に検討していますが、当ブログでこれまでに取り上げてきた内容と重複することが多いので、ここでは簡単にまとめます。

●ヨーロッパの概況
ヨーロッパでは、現在も多くのNPSが市場に登場し続けており、2012年上半期では、オランダで確認されたものが48種、次いで英国(UK)では38種となっています。なおオランダで新たに確認された新規物質の内訳は、フェネチルアミン系が15種、合成カンナビノイド9種、合成カチノン類9種でした。
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↑EU内での脱法ドラッグの15-24歳の経験率(2011年)
World Drug Report 2013, 79ページより

ヨーロッパでの乱用状況を把握する調査として、報告書はYouth Attitudes on Drugs: Analytical Reportを取り上げています。2011年に行われたこの調査は、15~24歳の青少年を対象に、いわゆる脱法ドラッグ(規制薬物に似た作用をもつ合法薬物)の使用経験を調べたものですが、当ブログの過去記事で紹介しているのでご参照ください(下記参照②)。
ヨーロッパで最も高い使用率を示したのはアイルランドで、2011年では、15-24歳の16.3%が脱法ドラッグの使用経験があると回答し、次いでポーランド(9%)、ラトビア(8.8%)、英国(8.2%)と続きます。
英国(UK)は、使用率の順位からいえば4番目ですが、このデータに人口を加味して、ユーザーの絶対数でみると、ヨーロッパで最大の脱法ドラッグ市場ということになり、ヨーロッパ全体の脱法ドラッグ使用者の4分の1近く(23%)が英国にいる計算になります。2010/2011年時点で、英国で最も広まったNPSはメフェドロンでしたが、2010年にこれが規制された後、脱法ドラッグ使用率も低下を見せ始めています。

●アメリカの状況
アメリカ(USA)では今や、ヨーロッパを上回る多様なNPSが出回っています。アメリカ当局が2012年中に確認したNPSは158種と、ヨーロッパで確認された種類の2倍を超えています。その内訳は合成カンナビノイドが51種、合成カチノンが31種、ほかに2Cグループを主体とするフェネチルアミン系などが76種でした。
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↑アメリカで確認されたNPS
・左のグラフは確認された新規物質の種類を示すもの
・右のグラフはNPS検出の報告件数を示すもの
・グラフの赤紫は合成カンナビノイド、青は合成カチノンを表す

カナダでもアメリカと同じように多様なNPSが出回り、2012年上半期で確認されたのは59種で、合成カチノンが19種、合成カンナビノイドが16種、フェネチルアミン系11種でした。
いっぽう中南米地域でも、北米に比べてはるかに低水準ではあるものの、NPS乱用の報告がみられます。たとえばブラジルではメフェドロンとDMMAの出現が報告され、チリではサルビアやトリプタミンが出現し、またコロンビアではケタミン乱用が報告されています。

[参照]
①2013年版世界薬物報告書
UNODC, World Drug Report 2013
http://www.unodc.org/wdr/
②EUの脱法ドラッグ使用状況調査について・過去記事
脱法ドラッグと青少年|欧米の実態調査から(2012/02/22)
http://33765910.at.webry.info/201202/article_11.html

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