AM2201、MAM-2201を麻薬に指定・続報

前記事でも伝えたように、これまで指定薬物として規制されてきた合成カンナビノイド2種が、4月26日付で麻薬に指定変更され、厚生労働省のサイトに、麻薬指定に関する情報が掲載されました。
同サイトには新たに、2物質が検出された製品例が写真入りで公開されていますが、先に公開されたものと比べて製品事例が増え、なかには、ごく最近出回っている製品も含まれています。
[参照]
厚生労働省サイト内の公表情報
① 新たに2物質が麻薬に指定されます(注意喚起)(2013年4月26日)
http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iyakuhin/yakubuturanyou/oshirase/dl/20130426-01.pdf
② AM2201検出製品
http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iyakuhin/yakubuturanyou/oshirase/dl/20130426-02.pdf
③ MAM-2201検出製品
http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iyakuhin/yakubuturanyou/oshirase/dl/20130426-03.pdf

●業者の掲げる「規制対応」は当てにならない
2007年に指定薬物の制度が導入されて以来、脱法ドラッグ市場に次々と登場する新種の薬物への対策として、できるだけ速やかに指定薬物として規制を開始する方策がとられてきました。指定薬物に指定された成分は、この段階で流通しなくなり、わが国の脱法ドラッグ市場から退場することになるわけです。
しかし、なかには規制後もわが国の市場に出回ってしまうものもあります。指定薬物としての規制にもかかわらず市場にとどまり、ユーザーに健康被害をまき散らし続けるものに対しては、次の一手として麻薬への指定変更が行われることになります。昨年夏、JWH-018等4物質が指定薬物から麻薬に指定変更されたのを皮切りに、麻薬への変更が相次いでいますが、いずれも、指定薬物として規制された後も、わが国の脱法ドラッグ市場で流通が確認されたものだといいます。

新たな規制が行われるたびに、脱法ドラッグ販売業者は取扱う製品の一部を入れ替え、「第○世代」、「○月○日規制に完全対応」などとうたって販売をしています。ところが、「規制対応」を掲げて販売する製品中に、次々と規制されたはずの成分が検出され、その結果、こうして麻薬に格上げされるケースが相次いでいます。
販売業者がお題目のように掲げる「規制対応」の文言に、果たしてどれだけの信頼性があるかは、はなはだ疑わしい状況なのです。

市場規模の大きなアメリカでは、脱法ドラッグの製造業者や卸売業者のなかには、新製品を売り出す際には分析機関で成分分析をして、成分の証明書を発行する業者もあるといいます。ただし、この証明書の内容は、「本製品には規制薬物の成分である○○、××、△△・・・を含まないことを証明する。」といった内容で、肝心の含有成分は明らかにされていないのですが。
日本では、脱法ドラッグの成分分析をしてくれる民間の分析機関が限られることもあり、こうした証明書を発行する例を見聞きしたことはありません。米国から輸入されている製品が出回っているのをよくみかけますが、これだって、正規の卸売業者から仕入れているとは限らず、インターネットを通じて個人輸入するなどの方法で、日本に流入しているものも少なくないでしょう。そもそも、販売している脱法ドラッグ製品の成分を把握している業者が、はたしてどれだけあるでしょうか。内容成分さえ把握していない業者が、いったい何を根拠に「規制対応」の表示を掲げているのか、不明です。

そのリスクを負わされるのは、ユーザーです。指定薬物の制度が主に業者の流通行為を規制するのに対し、麻薬の場合はユーザーなど一般人の所持や使用にまで厳しい規制が及び、違反者には懲役刑が科されます。入手した製品に麻薬が含まれているなら、それを持っているユーザーは、麻薬所持という重大な違法に問われることになってしまいかねないのです。

ユーザーの皆さん、販売業者が掲げる「規制対応」の宣伝文句には、ほとんど根拠がないという現実をどうか忘れないでください。

●指定薬物から麻薬へ指定変更されたもの
[合成カンナビノイド]
・JWH-018(2012年7月4日麻薬指定)
・カンナビシクロヘキサノール(2012年7月4日麻薬指定)
・JWH-073(2013年1月30日麻薬指定)
・JWH-122(2013年1月30日麻薬指定)
・AM2201(2013年4月26日麻薬指定)
・MAM-2201 2013年4月26日麻薬指定) 
[カチノン類]
・MDPV(2012年7月4日麻薬指定)
・4-メチルメトカチノン(メフェドロン)(2012年7月4日麻薬指定)
・エトカチノン(2013年1月30日麻薬指定)
・α-PVP(2013年1月30日麻薬指定)
[その他]
・PMMA(2013年1月30日麻薬指定)
・5-MeO-DALT(2013年1月30日麻薬指定)
・2C-I 、2C-T-2、2C-T-4(2007年2月に指定薬物、同年12月に麻薬)
*なお、上記のほかに脱法ドラッグとして出回っていたNヒドロキシMDMAが2008年に麻薬に指定されている。

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この記事へのコメント

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2013年04月28日 03:34
失礼いたします。
その他、過去麻薬指定された物質で近年流通したものには下記のものがあります。
・メチロン(bk-MDMA)(2007年1月4日麻薬指定)
・AMT(α-メチルトリプタミン)(2005年3月18日麻薬指定)

AMTに関しては、若干特殊な事情があります。
・英国では違法薬物指定を受けておらず、現在も流通している事。
・5-API(5-IT、指定薬物)及びその位置異性体は、AMTの位置異性体であり、分析機材によってはそれを判別できない。あるいは合成不純物としてAMTが含まれる可能性がある。

また、麻薬指定物質の中には、厚生労働省が公表している名称以外の別名で流通している場合もあります。
例えば、JWH-018には「AM678」という別名があります。
カンナビシクロヘキサノールは、「CP47,497-(C8)」という名称のほうが多いかもしれません。
α-PVPは、開発元Organix inc.の与えた名称「O-2387」としても流通しています。
厚生労働省の麻薬一覧にはこれらの名称の記載は無いようなので、個人輸入をする場合は、その物質について十分に調べておく必要があります。

Benzo Furyの一部にBZPとTFMPPが含まれていた例があるように、個人輸入においても標榜する物質と異なるケースは多く、analysisと称する「分析結果」も、本当に分析したのかすら疑わしい、適当なものであることも多いです。
一方で、ヨーロッパの販売事業者の中には、「自社で開発しin vitro試験により受容体結合能を確認した」と主張するものも存在します。
個人輸入で、物質名を明記したものであっても、法的安全性は保障されていないのが現状のようです。
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2013年04月28日 03:40
ところで、一点ご質問がございます。
「プロドラッグ(前駆体)」と呼ばれる薬物が存在します。
例えば、トラゾドンという抗うつ薬は、代謝物として麻薬の3CPP(mCPP)を産生します。
アリピプラゾールという非定型抗精神病薬は、代謝物として、指定薬物に指定予定の2,3-DCPPを産生します。
(これら2剤は比較的一般的に精神科で処方される医薬品で、これらによる検挙例は当然聞いたことがございません)
体内でアンフェタミンに代謝される医薬品は数多く存在します。
特殊な例では、第一種向精神薬のメチルフェニデートは、あるものと同時摂取する事で指定薬物のエチルフェニデートに代謝されます。
医薬品のほかにも、脱法ドラッグの中には、体内で麻薬指定の物質を産生する物質が存在します。
これらは所持には該当しませんが、体内での代謝による化学変化は、規制区分による禁止要件の「製造」及び「施用・使用」にも該当しないという解釈でよろしいでしょうか。ご教示いただけますと幸いです。
小森 榮
2013年04月30日 02:41
尿中に検出された物質(規制薬物)が、体内で代謝されて生じたものか、あるいは摂取した物質の未変化体として排泄されたものかは、大きな問題であり、詳細に検証されています。
実際に、覚せい剤使用の案件では、尿中に検出されたメタンフェタミンについて、服用した○○のせいに違いない、などと主張する被疑者もあります。代謝によって規制薬物を生じる物質は多数ありますが、そのほとんどは把握され、代謝経路も理解されています。
なお、拙著「もう一歩踏み込んだ 薬物事件の弁護術」には、メタンフェタミンの場合について、かなり詳細に記載しているので、よかったらご参照ください。
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2013年04月30日 23:53
ご回答頂き有難うございます。
通常の医薬品であれば、詳細な分析を受けるので、大きな問題になることはあまり無いようですね。
ご紹介いただきました書籍については、機会がございましたら参照させていただきたく存じます。

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