米のタバコ警告画像義務化、見直しへ

米食品医薬品局(FDA)が進めてきた、たばこの広告やパッケージに画像入りの警告表示を義務付ける計画が、見直しされることになったと、米メディアが報じています。
米国のタバコ製造会社5社は、義務化は表現の自由を保障した合衆国憲法に違反するなどとして各地の裁判所へ提訴していましたが、昨年、ワシントン連邦地裁は、FDA案を違憲とする判断を示し、その後連邦控訴裁判所もこの判決を支持していました。3月19日付のCBSニュース(AP通信)は、上告を断念して法廷での争いを終結させ、画像案の見直しに着手する米政府の方針が、司法長官の書簡で明らかになったと報じました(下記参照①)。

裁判では、FDAが提示した画像が「純粋に真実であり、議論の余地のない情報」に当るかが争点になりました。FDAが提示した画像入り警告表示案は9種類で、たとえば、男性の喉に開いた穴から煙が出ている画像や、胸部に大きな手術後のある死体の画像などが含まれています(下記参照②)。ワシントン連邦地裁の判決は、誇張表現やデジタル処理された画像は「純粋に真実であり、議論の余地のない情報」には当たらず、感情に訴えるためにデザインされたものであるとしました。つまり、憲法が保障する表現の自由を制限して、こうした画像の掲載を強制することはできないというのが、裁判所の判断だったのです(下記参照④)。

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↑FDAによる警告画像案の紹介(下記参照②)

喫煙が健康に及ぼす影響について、社会の目が向けられるようになって以来、各国では様々な禁煙政策が導入されてきました。雑誌やTVからたばこの宣伝が消え、店頭に貼り出されたポスターやステッカーが消え、今や、たばこ会社のブランド・イメージ戦略はパッケージに集約されているといってもいいでしょう。それだけに、たばこパッケージへの警告画像の義務化策に対して、たばこ製造各社は必死の法廷闘争を展開してきたというわけです。とりあえず、今回はたばこ製造会社側の勝利となりましたが、さて、FDAによる見直しは今後どんな形で進んでいくことになるのでしょうか。
上記のCBSニュース記事によると、米国では、たばこのパッケージに初めて警告表示が記載されたのは1965年のことで、1980年代後半からは、現行の文字による警告文が掲載されているといいます。

ところで、米国や日本など、控えめな警告表示を維持する国は、国際社会では少数派になりつつあるようです。世界の禁煙政策で音頭をとる世界保健機構(WHO)のサイトには、たばこパッケージの警告表示のデータベースがあり、各国の事例を写真でみることができます。オーストラリア、カナダ、EU、ブラジルなどのケースは、比較的よく知られていますが、イラン、マレーシア、トルコなど様々な国で画像入りの警告表示が採用されていることには、いささか驚かされました(下記参照③)。
日本では、ようやくMILDの表記が退場したばかりですが、さて、画像入りの警告表示の導入が具体的な検討課題になるのは、いつのことになるでしょう。

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↑WHO 世界のタバコ警告画像データベースより―EU

[参照]
① CBSニュース>FDA's graphic cigarette labels rule goes up in smoke after U.S. abandons appeal(March 19, 2013)
http://www.cbsnews.com/8301-204_162-57575213/fdas-graphic-cigarette-labels-rule-goes-up-in-smoke-after-u.s-abandons-appeal/
② FDAサイト内記事・たばこ警告表示について
FDA>Cigarette Health Warnings
http://www.fda.gov/TobaccoProducts/Labeling/Labeling/CigaretteWarningLabels/default.htm
③ WHOのたばこ対策部門サイト内の情報
WHO FCTC Health Warnings Database
http://www.who.int/tobacco/healthwarningsdatabase/en/index.html
④ 関連の過去記事
「画像入りの警告表示義務化に差止命令|米国のタバコ問題」(2011/11/10)
http://33765910.at.webry.info/201111/article_6.html

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