2ちゃんねるの違法情報放置問題

インターネット上の掲示板などに掲載される、薬物密売人による違法書き込みの放置をめぐって、2ちゃんねるがまた話題になっています。今年春、警視庁が関係先の捜索に踏み切って以来、何かと物議をかもしていますが・・・。

<ニュースから>*****
●警察庁長官:悪質管理者「検挙も」…掲示板の違法情報放置
インターネット掲示板「2ちゃんねる」の元管理人(36)を警視庁が麻薬特例法違反ほう助の容疑で書類送検した事件に関し、警察庁の片桐裕長官は27日の定例記者会見で、掲示板の違法情報を放置する悪質な管理人に対し、検挙を含めた厳しい対応を講じるよう全国の警察に指導する意向を明らかにした。
片桐長官は2ちゃんねるの事件について「再三の警告にもかかわらず、違法情報を放置し、結果として実害を生じさせた悪質な事案」と指摘。「違法情報と知りながら放置し、(削除要請を)無視する管理者には、検挙を含む措置を講じるよう指導する」と述べた。(記事の一部)
毎日jp(毎日新聞)2012年12月27日 13時06分
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<関連のニュース>*****
●2ちゃんねる:元管理人を薬物売買ほう助容疑で書類送検
インターネット掲示板「2ちゃんねる」に覚醒剤の売買をもちかける書き込みを放置したとして、警視庁は20日、2ちゃんねるの創設者で元管理人の男性(36)を麻薬特例法違反(あおり、唆し)ほう助の疑いで書類送検した。掲示板の違法な投稿を巡って管理人が立件されるのは異例。
送検容疑は、規制薬物の売買に関する投稿が「薬、違法」と題する掲示板に横行している状況を放置し、結果的に覚醒剤の密売を助けたとしている。密売した無職の男(55)=麻薬特例法違反(あおり、唆し)などの罪で有罪が確定=は、昨年5月に覚醒剤の売り込みを投稿したとして立件されている(記事の一部)。
毎日jp(毎日新聞)2012年12月21日 02時30分
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●なぜ薬物売買の書き込みが問題になるのか
実のところ、インターネット上の違法情報の中で、薬物売買に関する書き込みは決してメジャーな存在とはいえません。インターネット・ホットラインセンターの集計によると、同センターが2012年上半期に受け付けた通報のうち[違法情報]と判断した総数は17,791件、そのうち[規制薬物の広告]は2,195件(12.3%)でした。圧倒的に多かったのは[わいせつ物公然陳列]で12,385件(69.6%)。
画像

↑違法情報の内訳―2012年上半期
インターネット・ホットラインセンターの資料より(下記参照資料)

しかし、薬物売買の書き込みが問題になっているのは、受け付けた通報の件数ではなく、その処理結果なのです。インターネット・ホットラインセンターは、利用者からの通報について、違法情報と判断した場合は、警察に通報すると同時にプロバイダやサイト管理者などに対してその情報の削除を依頼しています。
違法情報の圧倒多数を占める[わいせつ物公然陳列]では、同センターの削除依頼に対して、96%が削除を完了しています。ところが[規制薬物の広告]では、削除完了の割合が大きく落ち込んでいるのです。削除依頼が功を奏していないというわけです。
[削除完了の割合]
・わいせつ物公然陳列・・・2011年上半期97.4%、2012年上半期96.0%
・規制薬物の広告・・・・・2011年上半期10.5%、2012年上半期67.2%

違法書き込みの放置が問題になって以来、2ちゃんねる側でも体制を見直し、違法書き込みの削除を始めたと伝えられています。実際、今年上半期の集計に早くも改善の傾向が見え始めているようです。また、書き込みされる[規制薬物の広告]も、目に見えて減少してきました。どうやらこの問題もあと一歩のところまで来ているようです。
[2011年上半期]
・違法情報と判断した通報・・・19,286件
・うち規制薬物の広告・・・・・ 5,356件
[2012年上半期]
・違法情報と判断した通報・・・17,791件
・うち規制薬物の広告・・・・・ 2,195件

しかし、変幻自在なインターネット上の情報、ひとつが消えてもたちまち別なものが登場します。しかも、多様なソーシャル・ネットワーク・メディアが登場して、ますます状況は見えにくくなっています。警察の取り締まりで対処できる領域は、おのずと限られます。インターネット利用者の声を吸い上げ、反映させる枠組みをもっと大きくしていくことこそ、今求められる対策ではないでしょうか。

●何を「通報」すべきか、もっとわかりやすく
たとえば、今話題の脱法ハーブを例にとってみましょう。インターネット上に多数ある脱法ハーブの販売サイトが、法(薬事法)に違反しているかどうか、その判定は実に微妙です。販売品の中に規制薬物が含まれているか、販売手法は薬事法の規定に違反していないか・・・、専門家でもすぐに判定はつきません。
いっぽう、「シロ上物あります。都内手渡し可」とわずか1行書き込んで、連絡先を添えたら、これはもう覚せい剤の密売を持ちかける広告です。だけど、薬物関係の掲示板に「あります。」とだけ書き込んだものは、はたして覚せい剤密売の広告といえるかどうか・・・。
いまインターネット上には、「よくわからないもの」が氾濫し、ユーザーの通報をためらわせています。違法かどうかわからないが、問題を感じるサイトや書き込みに出会ったとき、はたして通報すべきかどうか、市民はとまどっているはずです。

ユーザーからの通報をもっと広く呼びかけるために、まず、何を通報してほしいのか、ユーザーの立場で具体的に知らせる工夫がほしいものです。
・違法情報の具体例を豊富に知らせる
・違法性の判断を通報者に求めず、とりあえず通報をお願いする
・違法情報に該当しない通報の活用を図る
・解決事例をタイムリーに開示する
など、いますぐ検討すべき点がいくつもあります。とくに、違法情報とまではいえないが、多くの市民が問題を感じて通報したものをどう生かすか、この点は、「違法」や「有害」情報への対処と同様にきわめて重要だと思います。現状では、違法情報として対応の対象になるのは、通報のうちわずか20%程度なのですから。

[参照]
① インターネット・ホットラインセンターのサイト
http://www.internethotline.jp/index.html
② 平成24年上半期のインターネット・ホットラインセンターの運用状況について
http://www.internethotline.jp/statistics/first_half_2012.pdf
③ 平成23年上半期のインターネット・ホットラインセンターの運用状況について
http://www.internethotline.jp/statistics/first_half_2011.pdf

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