脱法ドラッグ対策、地方にできること1

脱法ドラッグ販売の拡大を封じる有効な対策が、なかなか進展しないなかで、都道府県条例の制定を模索する自治体が増えています。
そもそも、脱法ドラッグ対策を中心とした条例を最初に制定したのは東京都で、「東京都薬物の濫用防止に関する条例」を制定し、知事指定薬物を指定して脱法ドラッグ問題の解決に向けて動き出したのは、2005(平成17)年4月のことでした。その後、国の対策として、薬事法に基づく指定薬物の制度が導入され、東京都の知事指定薬物もそこに吸収されたことから、条令に基づく取締りも休眠状態となっていました。
しかし、脱法ハーブを看板に掲げる販売店が急増するなかで、このところ、自治体の間に、いわゆる脱法ドラッグ条例の制定を検討する動きが出始めています。国の対策に加えて、独自に知事指定薬物を指定するなど、より迅速な対応を模索するもので、大阪府では今議会で審議される予定、ほかに愛知県、徳島県でも条例化が検討されていると報じられています。
これまで国のレベルで進められてきた薬物問題への対応に、自治体はどんな役割を見出すことができるのか、自治体が乗り出すことで何が変わるのか、踏み込んで考えてみたいと思います。
まず、今回は現況のまとめから。

●自治体による脱法ドラッグ条例の動き
① 東京都の動き
今年6月、東京都は、新たに知事指定薬物としてブフェドロンなど5種を指定し、都条例に基づく規制を開始しました。国の指定薬物制度が導入されて以来、空白状態だった知事指定薬物が再び動き始めたわけです。
さらに同月、欧米で販売されている脱法ドラッグ成分を分析し、データベース化する計画も発表されました。新規薬物が日本に上陸する前に体制を整え、都内で販売が確認されたら即座に禁止措置をとるための体制を作り、規制の迅速化を図るというものです。
[参照]
■東京都>知事指定薬物の新規指定について(平成24年6月5日)
http://www.metro.tokyo.jp/INET/OSHIRASE/2012/06/20m65400.htm
■<脱法ドラッグ>上陸前に分析 すぐに禁止指定 都が新対策(毎日新聞6月28日)

② 大阪府の動き
大阪府が計画している「(仮称)大阪府薬物の濫用防止に関する条例」は、府民からの意見聴取(パブリック・コメント)を経て、開催中の府議会での審議にはいっています。
条例案は、
1、 知事指定薬物として独自に規制対象の薬物を指定し、その製造や販売等禁止し、違反者に罰則を科す
2、 知事指定薬物および薬事法の指定薬物について、使用目的所持や使用などを禁止
3、 知事指定薬物の使用目的所持や使用等の違反者に対して罰則を科す
としています。
画像

↑大阪府の条例案が想定する禁止行為
「大阪府薬物の濫用の防止に関する条例(案)」の概要より

麻薬や覚せい剤は、製造、販売などから一般人の所持や使用までを罰則付きで禁じていますが、指定薬物の場合は、罰則付きで禁止するのは製造や販売等であり、一般人の所持や使用についての規定はありません。また、東京都の条例では、一般人の使用、使用目的所持を禁止していますが、違反者に対する罰則は定められていません。そのなかで、大阪府の条例は、一般人の使用や所持までを禁じ、罰則を定めようとしているわけですが、この点を府議会はどのように評価するでしょうか。
なお、一般人の乱用行為に対して処罰を定めことの是非については、改めて論じるつもりです。

<ニュースから>*****
●脱法ハーブ、罰則一部断念…大阪府の規制条例案
麻薬に似た興奮や幻覚作用がある「脱法ハーブ」を独自に規制する大阪府の条例案を巡り、薬事法で指定された73種類の「薬物」について、府は当初案で検討していた使用目的所持と使用に関する罰則規定を盛り込まないことを決めた。
「法律で罰則がないのに条例で規定するのは困難」と判断した。21日開会の府議会に提案する。
薬事法では、73種類の指定薬物の使用目的所持や使用に関する罰則規定はない。条例の素案では、指定薬物を使用した場合「2年以下の懲役または100万円以下の罰金」を科するなどの罰則を設ける方針だったが、大阪地検や厚生労働省と協議した結果、「薬事法の指定薬物に対する罰則については国が判断すべきだ」などの異論が出たため断念した。
一方、薬事法の指定薬物とは別に、類似の成分と作用を持つものについては「知事指定薬物」として使用や使用目的所持を禁止し、罰則規定を盛り込む。
(読売新聞 9月20日(木)16時1分配信)
*****
[参照]
■ <大阪知事>脱法ハーブ規制、9月議会に提案へ(毎日新聞6月25日)
■ 条例制定の背景となる参考データ(大阪府8月10日)
http://www.pref.osaka.jp/hodo/attach/hodo-11022_6.pdf
■ 「大阪府薬物の濫用防止に関する条例(案)」の概要(大阪府8月10日)
http://www.pref.osaka.jp/hodo/attach/hodo-11022_4.pdf
■ ご意見等を踏まえた条例の概要(大阪府9月20日)
http://www.pref.osaka.jp/attach/17402/00000000/101_joureigaiyou_final.pdf

③ 他の自治体の動き
これまでに、愛知県、徳島県で条例制定が検討されていると報道されています。
<過去のニュースから>*****
●県:脱法ハーブ、独自規制へ 条例制定し、薬物指定 /徳島
麻薬に似た幻覚作用などがあり、「ハーブ」などとして販売される「脱法ドラッグ」への対策として、県は、独自に薬物を指定して規制する条例の制定を目指す方針を明らかにした。指定した薬物について製造・販売の禁止などを盛り込む方針で、12月定例県議会に条例案を提出する。
・・・条例では、県内で使われていたり、使われる恐れのある脱法ドラッグを「知事指定薬物」に指定。研究などの目的を除き、製造や栽培、販売、使用などを禁止する(抜粋)。
(毎日新聞・徳島9月13日朝刊)

●脱法ハーブ:愛知県、規制へ 9月議会に条例案
愛知県の大村秀章知事は6日の定例記者会見で「脱法ハーブ」を規制する独自条例案を県議会9月定例会に提出すると表明した。「薬事法の規制では追いつけない。販売の中心となっている(東京・大阪・愛知の)3都市で足並みをそろえて規制したい」と話した。
薬事法で指定されていなくても興奮や幻覚を起こす薬物を独自指定し、販売や販売目的の所持を禁止する。また、法務省と協議して違反時の刑事罰を定めることを検討する。(抜粋)
(毎日新聞 2012年08月07日 中部朝刊)

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この記事へのコメント

アップルパイ
2012年10月04日 22:44
ここまで社会問題になっている脱法ドラッグですが、早く包括規制をしてもらいたいです。子供達の未来を考えたら不安でたまりません。なぜすぐに規制をかけないか?ただ、厚労省麻薬取り締まり部がわざと誤認捜査をして税金泥棒してるとしか思えません。なんのための公務員か考えてもらいたいですね。社会正義の世界を作ってもらう事に期待してます。

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