揺れる世界、動かぬ日本|たばこ規制

いま、たばこ包装規制の強化を求める措置の合憲性をめぐって、各国で大手たばこ会社と政府側との間で訴訟が展開されています。背景にあるのは、喫煙率の引き下げ策を進める各国で、たばこの包装などの規制を大幅に強化する法令が、続々と制定されているという動きです。

●オーストラリアではたばこ包装の規制を12月に導入
従来、ブランド・イメージを前面に打ち出してきた、たばこのパッケージから製品ロゴやブランド・イメージを排除し、銘柄の区別なくオリーブ色のパッケージに統一し、しかもその表面のほとんどが健康被害を警告する画像入りのメッセージで覆われるという、世界でも最も厳しい規制措置が、オーストラリアで導入されることになりました。
先にオーストラリア政府が打ち出した、「包装簡素法」に基づく統一パッケージ規制に対して、日本たばこ産業、フィリップ・モリスなどたばこ大手メーカー4社が、同法は憲法違反であるなどとして、その無効を求めて訴えを起こしていましたが、8月15日、オーストラリア連邦最高裁は会社側の訴えを斥け、新法を支持する判断を示しました。
これにより、新法に基づく統一パッケージ策の導入が確定し、12月から、オーストラリアで販売されるたばこから、ブランド名が消えることになります。
[参照]
①Yahoo!ニュース(産経新聞)>豪 たばこ規制 警告一色、包装を統一(2012年8月24日)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120824-00000100-san-int
②CNNジャパン>オーストラリア連邦最高裁、たばこの箱のデザイン規制を支持(2012.08.15)
http://www.cnn.co.jp/business/35020477.html

●EUは統一パッケージ導入を検討
オーストラリアでの動きを受けて、ニュージーランドやインドでも統一パッケージの導入が検討されているといいます。
また、欧州連合(EU)では、たばこパッケージのロゴ禁止などが検討されていますが、オーストラリアでの最高裁判決を受けて、統一パッケージ導入論が加速され、警告画像の表示も検討されていると伝えられました。
[参照]
③ロイター>たばこのロゴ禁止した統一パッケージ、EUも検討(2012年08月17日)
http://jp.reuters.com/article/worldNews/idJPTYE87G00D20120817

●アメリカでは画像入り警告表示の義務化に対し違憲の判決
いっぽうアメリカでは、8月24日、ワシントンの米連邦控訴裁判所が、タバコの警告画像表示の義務化をめぐる控訴審で、たばこのパッケージに画像入り警告の表示を義務付けることは違憲との判断を示し、米連邦食品医薬品局(FDA)の控訴を棄却しました。違憲性については、判事の間でも見解が分かれたが、写真掲載の義務化は表現の自由の侵害に当たるとの意見が多数を占めました。FDAが進めてきたタバコの画像入りの警告表示の義務化計画をめぐる審理は、最高裁に持ち越されることになりそうです。
たばこの広告やパッケージに、画像入りの警告表示を義務付ける方向で計画を進めてきたFDAは、2011年6月に具体的な画像の案を発表しましたが、これに対抗して、米国のタバコ製造会社5社は、合衆国憲法修正第1条などに違反するとしてFDAの措置の差止を求めて各地の裁判所へ提訴し、ワシントン連邦地裁ではFDAの規制案は表現の自由を保障した憲法に違反するという判断が示されていました。
同様の訴訟が全米各地で審理されていますが、今年3月、オハイオ州シンシナティの連邦控訴裁はFDA側を支持する判決を下しています。
[参照]
④CNNジャパン>米控訴裁、たばこの警告義務化に違憲判決(2012.08.25)
http://www.cnn.co.jp/business/35020906.html

● さて、日本では受動喫煙対策など規制法案の審議が棚上げされたまま
今年6月、朝日新聞に「たばこ対策進まぬ日本」という記事が掲載されていました。世界の各国で続々と導入され、検討されているたばこ規制政策の流れのなかで、「国主導の禁煙政策がなかなか進まない。国会に提出された規制法案も中ぶらりんのまま」という日本のたばこ対策の立ち遅れを厳しく批判する内容です。
画像

↑現在習慣的に喫煙している者の割合の年次推移
厚生労働省「平成22年 国民健康・栄養調査結果の概要」より転載
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r98520000020qbb.html

朝日新聞の上記記事から一部分を紹介します。
「日本の成人の喫煙率(10年)は男性32・2%、女性8・4%。公共の場での喫煙を禁止する法律はなく、海外に比べると、周回遅れの攻防が繰り広げられている。焦点は二つ。一つは、労働安全衛生法の改正。昨年12月、受動喫煙対策を職場に義務づける改正案が国会に提出されたが審議は始まっていない。もう一つは、喫煙率の削滅目標を国の計画に盛り込むかどうか。いずれも海外では何年も前に始まっている。」
政府は、6月8日、たばこの喫煙率を10年の19・5%(総数)から、今後10年間で12%まで下げる数値目標をはじめて掲げましたが、労働安全衛生法の改正案については、8月2日、民主・自民両党が、職場に受動喫煙対策を義務付ける規定を削除し、努力義務とすることに合意したとのことです。
これまた、大事なことは決められない政治がはびこっているようで、情けない限りです。
[参照]
⑤朝日新聞>たばこ対策進まぬ日本(2012年6月5日)
⑥朝日新聞>2012年8月3日

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