弁護士小森榮の薬物問題ノート

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zoom RSS 脱法ドラッグと日本、まだ歴史とは呼べない17年・2

<<   作成日時 : 2012/04/14 03:28   >>

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●マジックマッシュルーム―幻覚性ドラッグの盛衰
1960年代、アメリカではサイケデリック文化とともにLSDが急速に広まりましたが、事故が多発したことから、米連邦はこれをスケジュールT薬物として規制を開始します。その後、規制されたLSDに代わる幻覚性ドラッグとして人気を集めるようになったのがマジックマッシュルームです。栽培のガイドブックが登場し、若者向けのアングラ雑誌には栽培キットの通信販売の広告が掲載されました。

マジックマッシュルームが日本で販売されるようになったのは1990年代末ころからで、主に雑誌やインターネットの通信販売で、「鑑賞用」「植物標本」などと称して販売され始めました。当時、マジックマッシュルームに含まれる成分のサイロシン、サイロシビンは麻薬に指定されていましたが、キノコそのものは法規制の対象外であったため、脱法ドラッグとして販売され、乾燥キノコ、粉末状、胞子、瓶入りの菌糸と多様な製品が出回りました。(麻薬を含有する植物であっても、麻薬原料植物に指定されていない植物は麻薬ではありません。麻薬及び向精神薬取締法別表第1第76号ロ)


2001(平成13)年5月2日の読売新聞に掲載された記事から、当時の販売実態をみておきましょう。
「JR渋谷駅近くのある店では、乾燥したシメジのようなマジックマッシュルームが、0.5グラムずつビニール袋に入れられ陳列棚に並んでいる。『鑑賞用』の張り紙があるが、T袋2千円。・・・こうした合法ドラッグの専門店や露店は『ヘッドショップ』と呼ばれ、渋谷だけでも10店以上あり、新宿や池袋、秋葉原にもある。・・・・
(厚生労働省は)幻覚作用があると周知されているキノコを『食用』として販売した場合には、薬事法違反に当たるとしており、明らかな違反が見つかれば、刑事告発などの措置も取るという。」
画像

↑2001(平成13)年5月2日 読売新聞 より

記事は、さらに、マジックマッシュルームによって広がる、深刻な被害に焦点をあてます。取り上げられているのは、キノコ粉末を飲んだ男性が自宅の2階の窓から飛び降り重傷を負った例や、脱法ドラッグ店のアルバイト女性(19歳)の死亡、人気俳優が中毒症状を起こして救急搬送された例など。[下記資料@]

同年7月に掲載された朝日新聞の記事は、さらに被害の実態に迫っています。
「幻覚作用があるキノコ「マジックマッシュルーム」による事故やトラブルが若者を中心に増加している。・・・今年6月、東京都内の大学で、男子学生が急に錯乱する事件が発生。繁華街で粉末状のマジックマッシュルームを買い、友人と学内で飲んだらしい。・・・同月には関東地方でキノコ粉末を飲んだ男性がビル9階から落下、死亡するという事件も。また、慶応大学病院救急部には昨年、全身を強く打ってあちこち骨折した40代の男性が運び込まれた。患者は担当医に『インターネットを通じて買ったキノコの粉末を飲んで空が飛べると思い、自宅2階の窓から飛んでみた』と話したという。」[下記資料A]

●深刻な被害の増加
マジックマッシュルームによる事故は、現在の脱法ハーブの場合と似ていて、幻覚や錯乱から、救急搬送される例が相次ぎました。日本中毒情報センターは、その症状を次のように報告しています。
「摂取すると、直後から不安感、不穏状態のほか嘔気、脱力感、口唇のしびれ等が出現し、30〜60分後には幻覚、流涙、発汗、注意力低下等がみられる。1、2時間は幻覚の増大がみられるが、症状は徐々に消失し、4〜12時間内に正常に戻る場合が多い。幻視を主とするが、幻覚は聴覚や味覚にまで及ぶこともある。・・・精神的緊張や不安が高まりパニック状態(bad trip)となることがある。・・・痙攣、昏睡等の重症例はごく稀で、多くは対症療法のみで治療される。しかし、海外で痙攣重積による小児死亡例が1例あり、また、幻覚による自傷行為等が問題となる場合もあり注意が必要と思われる。」

幻覚性キノコに関する日本中毒情報センターへの問い合わせ件数は、1998年から目に見えて増加し始めます。1996年0件、1997年1件、1998年10件、1999年19件、2000年32件、2001年55件。同センターのまとめでは、患者は20代が40%を占めていたが、10代後半〜50代後半まで広がっており、入手状況が判明した12件中42%がインターネットや雑誌の通販で購入していたと報告されています。[下記資料B]

●そして規制へ
有名俳優が救急搬送されたことが報じられて以来、メディアはマジックマッシュルームを大きく取り上げ、社会の関心が集まり始めましたが、その反面では、使用者も急増したようで、事故は加速していきます。
2001年、厚生労働省は実態調査に乗り出すと発表して法規制に向けて動き出し、2002年5月には、政令改正により、マジックマッシュルームは新たに麻薬原料植物に指定されました。

【参照資料】
@読売新聞 2001(平成13)年5月2日「幻覚キノコ被害広がる―『鑑賞用』と堂々販売」
A朝日新聞2001年(平成13)7月18日「幻覚性キノコ若者に急増―『合法』装いネット販売」
B日本中毒情報センター編「マジックマッシュルーム」、最近の中毒と医療No.142

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